全然変わらない
家に着くと、玄関は真っ暗で、誰も私の家出に気付いた様子はない。
……息を吐く。
引きこもりの兄はゲームに夢中で私のことなんか眼中にないし、弱い母親は彼氏の家にいるかあるいはこの家の寝室でセックスしてるんだろう。
男がいないとだめだから。
父は、いない。
母は、妻子ある男と恋仲になり、兄と私を産んだ。
母はアホなんだ。なんで子供を二人も産んだのか理解できない。
おかげで家庭はめちゃくちゃだ。
だから淋しさに耐えかねて母が彼氏をつくるんだ。
私なんていてもいなくてもどうでもいい。
早く自立してこの家を出て、家族と縁を切りたい。
でも中学生の私には無理だ。家を出て働くなんて。
だけど。
私も夜の化物と戦えれば。
学校から帰ってきた後、家に帰らなくていいのかもしれない。
家か、学校。
中学生なんて、そこ以外、どこにもいけない。
別の場所に行きたいのに。
私は家を出る。
自転車に乗り、ダムへ戻る。
また襲われればきっと。私は、目覚めて、こことは別の場所に行ける。
ダムに架かる橋の上、希望を胸に、ぼうっと立っていた。
しばらく待っても何も起こらない。
三日間、同じことを繰り返したけど。
何も起こらなかった。
私はずっと寝不足で、風邪を引いたと学校に連絡して、その間じゅう欠席した。
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