無題
満遍ないけど在るという光の中の
申し訳程度に濁って玉になっている幾かの部分が
神秘らしい感じを与えながら泳いでいるのが
視えるほどの日中なんかに
穏やかな時沿いの美しい老夫婦が
僕のことを傷つける訳なんてないのに
誰や どんな正しい営みの成果によって
頭ごと、強い皴の手の力で押し沈められる
この感覚を認めているのかしらね
成果である僕のこの心の立ち方は
けっして打ち明かさずに内々に
秘めて水晶玉のように袂ち続けて
時々は酸化もすることのない涙の筋を
ままにして這わせて浄めたつもりにでもなって
化石にまで行き着けたらいいのだけれど
わかっていながら不図した毎に
不甲斐なさを感じるなんて
僕は本当に恥じるべきだと思う
まるで犬より酷く、寧ろ
踏み馴らされたスリッパであるのも烏滸がましい
真実、
歴史だけれどそこに 重力はないのに
可哀相なわたくしのため
根っこのほうから離さないでいるんですよね
だから誇れもしないのが昼の話で夜は
けして眠ろうとはせずにただ眼を閉じて
これから始まる今日の中で
一番やさしい時間が訪れるのをじっと待って
悲しいことと愛おしいことを仕切られたあたりが
ばらりと崩れてゆくのを見送ったのに
形をもった、整える必要のある私は
一瞬で起立をさせられる
そして、
まこと誠心なはずの僕の誠意が
鏡の中できちんと真逆になっているのを
錯乱するほど確かめてからでないと僕は
あなたの前に現れることも出来ない
鬱蒼 滝雄然 @grn_ch
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