白痴



ぼくの〇〇年間という燃えかすに群がり


頭のなかを這いずる蟲の胴の


なんと白く透き通ることか




ぼくにはもはやする事もないので


やあ と言って捩れていると


悲しみのほうからぼくの元へやってくるので


ぼくは やあ と言ったまま


口の形だけ変えてみるのだ




すると悲しみは挨拶もせずに


ぼくの中へとかえってくるので


ぼくはぼくの空洞を悲しみの形に合わせてやる




そうして暫く


ぼくと、ぼくの中に在るぼく以外のものとの癒着を待って


じっとしようとしていると、


どこからきたのだろうか


きれいな水がほそくほそく流れ込んできて


それらの隙間をみたしはじめる





ぼくは同時に闇がみたくなって、


片手で片手を動かしながら、


閉じる瞼を探すのだ




ぼくがぼくの身体を見つけたとき、


ぼくの頭とぼくの身体は出会い、


ようやく


こんにちは


と、悲しく息をしたのであった




そうして僕は再生しながら、


いつでもおんなじ形を保っているのは、


いつでも今が生まれたてなので。




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