第3話 矛盾少女
この社会は矛盾ばっかりだ。矛盾の中をギリギリスレスレで流れていく。その流れにあらがって私は醜い鯉から竜になってやろうと滝をのぼるんだけど意外と難しい。だって私も矛盾人間だから。
私は自分のことが大嫌いだ。鏡を三秒以上見ようとしたら吐き気がする。成績も中の下。周りがいつもキラキラに見えて憎い。羨ましいから自分より不幸な人を探して生きる気力を貰っているクソ野郎。
私は自分が大好きだ。自撮りした写真は何時間でも見ていられる。今日も笑顔が可愛いね、えへへありがとうって独り芝居するし、やればできるこだと思うし才能だってある。
二重人格ではないけれどこの二つの感情が私の中に行ったり来たりしているからよくあるカウンセリングの「自分のことが好きですか」にも答えられない。好きな飲み物もカフェオレという珈琲か牛乳かわからないやつ飲むし、炙りサーモンっていう生か焼いてるかはっきるしない殺し方のお寿司が大好きだ。
矛が盾を貫くことはないし盾が矛の攻撃に負けるかもしれないギリギリスレスレの世界で答えを探している理科と算数が嫌い。矛も盾も共存している世界で泳ぐことはとても楽しいし毎日疑問が尽きない世界は生きる意味があって私はこのままでいいと思っている。もう、どっちかはっきりしてよ優柔不断だなと怒られはするけれど皆結局決められない。
私の矛を貫かない盾は私しか作れないし、私の盾を貫く矛を投げられるのは私だけだ。今日も無駄な滝登りをする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます