第7話

 時計は18時45分を示している。12秒、13秒、14秒……。

 僕は予約していたレストランでエリを待っていた。

 いわゆる夜景の見えるレストラン。普段の僕からすると少し気取っている気もするが、プロポーズなんてそんなものだろう。輝く指輪を手元に、少しずつ早くなる鼓動を落ち着けるように僕は深呼吸をした。


 18時55分になった頃、携帯が震えた。

――ユウくん、

仕事が長引いて、予定していた電車に乗れなかったの。

少し待たせてしまうけれど、必ず行くわ。

心から楽しみにしていたの、

エリ


 了解した旨のメールを送ると、僕はレストランのウェイターにコースの開始を30分ほど遅らせてもらうようお願いした。ウェイターは裏方へそれを伝えに行った模様だ。


 数分して戻ってきたウェイターは、

「お客様、予約は元から19時半だったようですが?」

 と言った。レストランの入り口で対応してもらったウェイターも彼だったのだが、そのとき僕は19時からの予約だと告げたはずだった。名前しか確認していなかったのだろうか。

 しかし、予約の時間を変えるということは他の客との兼ね合いもあり、簡単にはいかないだろうと思っていたので、僕にとっては好都合だった。今日の僕はついている。そう思った。


 そして、19時30分を迎えようとしているころ、僕の携帯が鳴った。

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