第5話

 伝えられていた通り、13時半から講評・採用企画の発表が始まった。

 結論から言うと、3人の企画すべてが採用された。そんなのアリかよ。いや、嬉しいけれども。

 社長曰く、

「全ての企画にオリジナリティがあり、わが社の理念にふさわしいものである。1つだけを選び、他の2つを無下に切り捨てるのは先代に申し訳が立たない」

 とのこと。


 ただし、段階的にプロジェクトを始動させるため、結果的に3つの企画には優劣がついた。僕の企画は2番目に始動することとなった。つまり、1番にはなれなかったが採用はされた、という位置づけだ。


「冴島先輩」

 僕は先輩に会議室での出来事を伝えた。

「おう、1番になれなかったのは残念かもしれんが、採用されたってことはユウジの企画が認められたってことだ。胸張っていいぞ」

「ありがとうございます。冴島先輩に追い付けるようにこれからも頑張ります!」

「お、ライバル宣言か?受けて立つぞ?」

「いや、そんなつもりじゃ!訂正します、先輩の右腕になれるようにがんばります!」

「はは、期待してるぞ!」

 僕は再び冴島先輩にお礼を言って自分の席へ戻った。


 今日の僕はついている。折り畳み傘の件、冴島先輩に声をかけてもらえたこと、そしてクラウドの件。さらに、本来であれば採用されないはずだった企画の採用。

 エリへのプロポーズもきっとうまくいく。

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