第四話「深い傷跡と冷酷な答え」
いつになったら忘れられるのかな。
いつになったら、また愛が訪れるのかな。
いつになったら、また誰かを愛し、愛される日が来るのかな。
分からない。
辛くて、苦しくて、息ができないくらい心がズキズキと痛む。
学校はもう十日間行ってない。
あっ休学だったね。
ふと夢から覚めた。
「隼人さん?」
両目に光が見えたが、手錠と足錠を付けられて動けない状態だ。
「おはよ…穂香」
「隼人さん?なんでこんなの付けたんですか…?」
「君を逃さないためだよ」
優しく黒髪にキスをする。
声が震えた。心が震えた。体が震えた。
(ああっこの人も…私のことを…)
「震える君が素敵だ。俺の天使」
「天使…?」
「君は本当に綺麗だよ…。きっと彼も君をこういうふうに監禁して、自分の者にしたんだろ?」
(どうして、どうして、この人は…!?)
怖すぎる。和誠より怖すぎると思った穂香だ。
「震える君を抱きしめたいけど、もう仕事だから出かけないと。留守してくれる?」
隼人は冷酷な笑顔を見せる。
「!!」
穂香にとってそれが怖くて、切なくてたまらなかった。
震える声で「助けて」と言いたいけど無理だ。
その後隼人が仕事に出かけた。
「彼ももしかして二重人格なのかな…?」
「どうしよ…また同じような人を好きになるかも」
(和誠さん…)
「あの事は知られないようにしないと」
その夜。
「穂香…君は俺の女だ」
「隼人さん…」
服を脱がれ、白い肌が露出する。
隼人の熱い体温が、穂香の弱くて脆い心を溶かす。
「君の過去は俺には関係ない。だけど今の君を俺なりに愛するよ」
「私は…殺人犯を好きになったことがありました。その人とはもう永遠に会えないんです」
「そうか。でも俺には関係ないな」
「君を監禁する程愛する男は大勢いるだろうけど…。俺じゃなきゃいけない体にしてやるよ」
グサッと心が痛む。
「ひどい…」
「さて…君を愛する手順から考えようか」
また明日から光を失う。
また明日から希望が消えてしまう。
そうなる前に息がしたかった。
穂香は心からそう思った。
「愛してる」
愛の言葉を囁きながら、そっと穂香の体を推し倒す。
心の中で呟く言葉。
(ああっこの人は本当に…私のことが好きなんだ。愛してしまうと、もう後戻りできないよね…?)
それが隼人に対する本音だ。
また明日も光を探そうと思う穂香だった。
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