第31話 悪霊塗装のマスカレード
恵森清河がアイシクルグレーターを生成すると目の前の
この大型氷柱の発生は驚異的な早さだけど、射撃としての速度は一般人が見てから避けれる程度で……
特に今は中距離から発射したから黒き深緑が……ここは恵森清河の視界内容で言うかな……迫る氷柱に対しイビルスピリッツは一瞬消え、斜め上に出現する事でアイシクルグレーターを回避……
そんな瞬間移動もイビルスピリッツが黒き深緑に描画された映像だと理解してればイビルスピリッツの描画を迷彩描画に切り替え、黒き深緑移動後にイビルスピリッツの描画に戻せば出来る手品だって気付けるかな。
程なく黒き深緑の体の一部が斜めに開き、下の部分に発振器らしき宝石が現れ……レーザーを発射しながら溝の上部まで移動……
データ上は高出力レーザーが発射されたけど実際は発射されず恵森清河にはイビルスピリッツから血が噴き出し、長射程の赤い斬撃が来たように視えてて……恵森清河は瞬間移動に気を取られた直後だったので防御してない……
映像上で恵森清河の前方に浮かぶシールドに斬撃が直撃し、緑だった光のシールドは黄色の段階がある事も気付けない速度で赤くなり……シールド全体にヒビが入って一気に広がるや、砕け散った。
すぐに新しいシールドが目の前に出現する事で補充されたけど、早くもシールドを1枚失った恵森清河は至近距離で射撃しようと間合いを詰め始め……
さっきまでの武装を既に閉じてた黒き深緑は体の一部を今度は大きな円形に開き、そこには幾つかの銃口が円に沿って並んでて……映像上はイビルスピリッツの顔部分の口の1つが同じ大きさと形で開き、赤い火球ショットを連射してるね……
恵森清河はサドンフリーズで氷の防壁を展開したので映像シールドは無傷……黒き深緑はボディの向きを変え、表面にはさっきのレーザー発振器を動かす経路が3か所展開済みで……
それぞれ違う方向で経路の端に移動しながらデーター上は一斉に発射……サドンフリーズは健在なので映像上での吐血斬撃を受け止める。
というわけで恵森清河は兵器を相手取って、そのデータ取りをさせられてます。
レーザーを最大出力で射出した場合の発振器や回路の破損具合やそれが修復するまでの時間をデータ空間上でもシミュレーションしてて……それを悟られない為にエビルスピリッツという悪霊映像を被せてる感じです。
そんな黒き深緑がまた体の一部を円形に展開し、今度はその大穴自体が発射口……データ上ではミサイルを放ち、映像上でイビルスピリッツの口から吐き出されたのは
真っ赤な血が模様を成すように、その身を濡らした大きな棘状の白い骨……発射された棘は意志を持つかのように向きを変えながら恵森清河に迫って行く……
不規則に曲線を描き続ける血濡れの棘を恵森清河が見失った瞬間、恵森清河は自身の周囲にサドンフリーズをドーム状に展開。
データ上のミサイルには制御機構が内蔵されてるけど、恵森清河の視界での骨の棘は氷の壁に阻まれ、血の霧を大量に吐き出すかのように爆発……
ここで学園長から次の指示が来ます。
「短い間だけど悪霊は今から停止するわ。速やかに攻撃しなさい」
スタジアム内には実際に発声された学園長の声がアナウンスされてるけど……
この時期の
奮闘中です。
接近出来ると判った恵森清河は手の平にアイスソードを形成すると握り締め……駆け込んだ勢いで黒き深緑に斬り掛かるけど、その表面をやや食い込んだ状態で剣は止まる……
この感触により、この相手は彫刻テストの合金ブロックより硬い事を理解した恵森清河はアイシクルグレーターを連射しながら後退し……
十分な距離を取った地点でまだ動かない黒き深緑に向け、大声気味に言った。
「ヴォルテクスフレア!」
発声した瞬間、黒き深緑は大型機用のヘリポートを飲み込まんばかりの規模の炎の渦に包まれ……
炎の勢いが安定して恵森清河が自由に動けるようになった、その直後……レーザーの描画である吐血が固定されたまま発射され、シールドを直撃し2枚目が消滅。
程なく炎の渦から黒き深緑が抜け出して来て、瞬間的な短距離移動を目紛しく繰り返し……恵森清河からはイビルスピリッツが分身してるかのように視えてるね……
黒き深緑はホバー飛行特化のスラスターを搭載……と言うの半分不正解で、確かにこの戦闘中ずっとスラスターを起動させ常時浮遊し、変則的な移動を可能にしてはいる……その説明を続ける前に、黒き深緑の次の行動。
目紛しい移動の際にレーザーではなく大口径のビームショットをデータ上で放ち、映像上では、赤い血肉の塊を吐き出しててイビルスピリッツ本体と同じ色のオーラに包まれてるね……
これで今まで黒き深緑が使用した兵装はホバースラスター、レーザー、ガトリング砲、制御式ミサイル、大口径ビーム砲になるけど……前述の通り黒き深緑は球体で、大きさは直立した人間が余裕で入れる程度……一度にここまで大型兵装を搭載するのは構造的に無理があるかも……
だったら一度に搭載しなければいい――
黒き深緑の様子だけど……どうやら十分なデータが採れたみたいで恵森清河に終了の連絡が入りました……じゃあ説明を続けよう。
例えば2つの転送装置があって片方に結構細かく割れたお皿を入れて転送すると、そのままの状態で転送する事も出来るけど……割れる前のお皿の構造データがあればそれと同じように再構築した状態でもう片方の転送装置へ移動させる事が可能……
そんな転送装置を成す機構が黒き深緑の内部にあって、その内部構造を攻撃の度に内側から組み直し、表面の外殻は様々な開閉形状に対応出来る構造になってます……かなり細かいタイルが並んだ形状とでも言っておくかな……
そして転送装置による転送対象の構築速度は処理するCPUに依存……交戦状況下で次の行動に間に合わせるほどの速さで再構築出来るのはイーリスしかいません……この学園には第六のイーリス、リオナがいるけどね。
リオナはこのまま終わるのは味気ないからと、ちょっとしたイベントシーンを用意したみたい……ここからは全て恵森清河が視てる映像です。
恵森清河の目の前に人の頭ほどある宝玉が現れ、水色に輝くその球体の中ではラバロン学園の校章が縦軸で回転……
その宝玉を恵森清河が手にすると殺風景で何も無いスタジアムの内装が
幾つか挙げるとナース服、スク水、体操服とコスプレ路線だったりシスターや魔法使いだったりとバリエーションに事欠かない上に1種に付き2色用意してる……ナース服はピンクと白、シスター服は青と黒といった感じで……
大聖堂の天井には円状の大きなステンドグラスがあり……学園長の顔部分を快活な表情にしてアニメタッチでデフォルメした絵が描かれたそれが輝き出すとイビルスピリッツに光が差し込み、イビルスピリッツの流動的な動きが大幅に弱まり、恵森清河の頭上に見事なデザインの弓が生成され、手元に降りて来る……
意図を理解した恵森清河が弦を引くと光の粒子と共に金色の矢が現れ、それをイビルスピリッツに放つとイビルスピリッツは獣の咆哮のような力強い叫び声を体の至る所にある顔と共に上げた後、全体の動きが止まり……
程なく人の声に近い断末魔の声を大聖堂に轟かせながら急速に蒸発しました。
少しして恵森清河の足元から草原が広がって行き、辺りは花弁が舞う一面の草原へと変化……
ちなみに黒き深緑の本体は少し前に運び込まれてた転送装置の中へ移動し、転送ではなく物質レベルに分解され資源に戻りました……姿を隠す時と同様に周囲に溶け込むように迷彩されてたから、恵森清河は気付いて無いね……
やがて学園長がスタジアム入口まで来ると、それまでの映像記録は全て抹消……その上でこの草原フィールドの映像が延々と続く内容に上書きされました。
学園長が恵森清河の所まで来ると、持って来たランチボックスからサンドイッチを取り出し、恵森清河と一緒に食べ始めます。
ここでどんな会話をするかも戦闘開始前に打ち合わせてある……だから何でリオナが消去されると判ってたのに、あんな気合の入った演出をしたのかと言うと……リオナはイーリス六姉妹の中で一番下の末っ子……
だからお姉ちゃんに頼られたのが嬉しくて、張り切っちゃったんだろうね。
さて今回のデータ採取協力は最上級生を呼んでた場合、これが何の目的で行われたか見破られたと見て間違いない……特に
今回の事で恵森清河はカッパーバッジに昇格……今も使ってる部屋の一部が映像素子充満空間の寮の部屋はこの時に与えられ、雀宝の全自動卓とその牌を実際に触るかのように出来る設備も付いてます。
今回の兵器のデータ採取依頼が成就した際、依頼主は学園側に結構な額を支払うからバッジポイントが付与される条件の1つである『学園への多大な貢献』に該当した結果だね……
後日、恵森清河は相変わらずシャツとデニムパンツの西郡灯花と共に雀宝のボス戦に挑みます……
強さと打ち方がサファイアデーモンと同じで、ウルトラマリンの長い髪と瞳をしたノースリーブの白いワンピースと白いつば広帽子を身に着け、その肌の色は通常で背丈は標準、胸は結構大きめの膨らみ……そんなゲーム言う人族の女性、青の少女……
そして今回のボスである、
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