第12話 きょういてきな話をしよう

「ふむ、ふむ……」

「私は……素敵な服見つけたって、はしゃぎたい気分ですが……」

「大人っぽいけど優しさと言うか……落ち着いた感じがす――あ……え、と」


 鮎鮫秋名が劣化ドリアード服を着た西郡灯花を眺めて感心したように呟き……似合ってるのか確信が持てない西郡灯花が発言する中、水川悠が服の感想が口から出てる事に気付く……水川悠は遠慮しなければ結構喋る子疑惑、浮上かな。


「配置だけ再現したし、本物から樹脂になったから胸元ブローチのアメジストは偽物っぷりが半端じゃなくなったねー……随所に散りばめた小粒のペリドットの方は色味は出てるから大丈夫……あ、アメジストは天然じゃなくて成長計算した組成から作られたヤツ……人気の宝石は鉱山まで再現してるけど高価だよねー」


 ラバロンの麻雀部が使ってる牌が竹の成長をデータ段階で計算により導き出しその中から良質なものを切り出した際の組成を立体プリントすれば、実際に竹を採取した時に近い素材が手に入る……


 これに対し、長い年月を掛けて生み出された鉱山を計算したものを実際に立体プリントし、そこから採取された原石を宝石にする……掘り尽くされた鉱山だけでなく、ニュー・クリアで空いた地図の大穴を埋める事により出来た土地の一部にはそういう感じの活用方法もあります。


 さて、西郡灯花の瞳は銀色で鮮やかな青髪を三つ編みにし肩から右流し……


 その結び目にはカッパーバッジと同じで光沢もあるリボン……胸は茶遠一以上塔子未満……そんな女性が今は黄緑色を始めとした緑、青緑などで濃淡巧みにデザインされた長スカートの袖ありワンピースを着ています。


 胸元には元と同様カットされた大きな紫色の樹脂をはめたブローチと至る所にペリドット色の樹脂が散りばめられ……


 それでいて大人の女性と年上の若いお姉さんの雰囲気を融合させたような服のデザインなのは鮎鮫秋名の力作である事を示してるね。


 そんな西郡灯花の姿を見て、周囲が反応……


「大人っぽさと可愛らしさが絶妙……なの」

「胸元の露出は暗い青緑で塞いでて、大きく開いた背中の露出部分を埋めた所だけでもデザインが凄い……大人しくてファンタジーな雰囲気だなぁ」

「おー! ともかちゃん、似合ってるぅ!」

「ブロンズバッジは外れやすいから、まだまだ初期制服でいいと思ってたけど、こういう風にお洒落して学園内を歩き回れるんだなぁ」


 岩瀬麻七、茶遠一、北内桃奈子、塔子が発言し、程なく劣化ドリアード服……以降はドリアード服と言うかな……宣言通り茶遠一が支払い、このまま着用する事になったので……


 鮎鮫秋名が西郡智花の左胸部分にカッパーバッジを付けて……やがて各々が店内を散策する中、大理石エリアで岩瀬麻七が叫び鮎鮫秋名が言う。


「こ……これは! 伝説の……! しかも、白い……の」

「それを着るなら、白のニーハイソックスも一緒に着るといいよ……塔子さんの服は迷うね……ピンクの色合いの出る灰色髪にオレンジの瞳なら何を着ても似合いそうだけど……」


「あー! 黒服白エプロンと単純だけどメイド服がある! 委託コーナーも結構漁り甲斐あるなー……」

「何この制服、お洒落。可愛い……」


 北内桃奈子が叫び、水川悠がアニメキャラのイメージに寄せて作られた制服を眺めながら思わず呟き……岩瀬麻七が試着コーナーのカーテンを開いたけど……せっかくなので、この場にいない暗城雲雀、恵森清河、佐野山心愛、船気智里も引き合いに出して、身長の話をしようか……


 低い順から言うと佐野山先生が15歳どころか初等教育学校卒業してるかも怪しい背丈で、その少し上のお姉さんくらいの身長が水川悠になる感じ……その次に背が高いとは言え岩瀬麻七も小柄な部類。


 塔子は肉体年齢から見た年代では標準からやや低い感じで……もう少し高くなると茶遠一だけど茶遠一のやや手前に北内桃奈子が来て、茶遠一をやや一回り高くしたのが暗城雲雀、茶遠一を一回り高くすれば西郡灯花の背丈になり……


 更に気持ち1つ高くしたら恵森清河で……結構身長差が開いて鮎鮫秋名……そして断トツという言葉が使えるくらい身長があるのが船気智里……実に180センチ後半に迫る背丈です。


「な、何とか着れたの……」


 そう呟いた岩瀬麻七の姿を説明する流れだけど……ここで今言った10名の胸のサイズを小さい順で……


 恵森清河が小さくも大きくもない中間的な膨らみだけど……ここから一段階小さくしたのが水川悠で、恵森清河の胸をひと回り膨らませれば茶遠一になるね。


 茶遠一の胸を本当に気持ち程度膨らませば北内桃奈子の大きさで、茶遠一の胸がある程度大きくなったのが枚南塔子……西郡灯花は塔子のサイズにあと一歩及ばずだけど……


 岩瀬麻七と暗城雲雀は格上のサイズで塔子が小さく見えるくらい差がある……


 暗城雲雀の方が上だけどゴスロリ服で着やせすれば岩瀬麻七の方が大きく見えるので、お風呂場で遭遇でもしないと暗城雲雀の方が幾らか膨らみが勝る事に気付けなさそう……鮎鮫秋名は岩瀬麻七と暗城雲雀のほぼ中間だね。


 佐野山先生は恵森清河に傍まで来てる程度だけど年内に急成長が始まり、成人年齢に近づく頃には背は鮎鮫秋名をやや越して、胸は暗城雲雀を少し上回る……何度か使った完全体って、そんな状態の佐野山先生の事です。


 岩瀬麻七を眺めながら、鮎鮫秋名が発言する。


「……その服はサイズ足りない方が絵になる場合があるからね」


 それは小中高で行われる授業の為に作られ授業の目的の為にデザインされた結果胴体部の露出度は目に見えて低く、当時はナイロンやポリエステルで作られるのが主流の簡素な服だった……


 でもこれに情欲を刺激される男性などが後を絶たず、漫画・アニメ・同人などからなる二次元文化では圧倒的な地位を築き上げ、その魔性の覇気に今日も誰かが魅了されてるであろう紺色の水着、その名を――


「白スクニーハイ……そんな組み合わせが」


 スクール水着、学校指定の水着……そう呼ばれた。


 茶遠一が言った通り岩瀬麻七が試着したのは白いけどね……生地の厚み次第では肌の部分が見えそう……


「白い水着と白いニーハイの間で露出する太もも上部……昔の人が絶対領域と呼んでたそれが、この組み合わせだと、どう見えるのかなと思ったから……ふむ」

「はちきれんばかりって、この事を言うんだなぁ……」

「スゴイデスネー」


 鮎鮫秋名、塔子が発言し……水川悠に至っては、何かに失望したような声と表情と声色でそう言ったよ。


 岩瀬麻七はベージュ髪のショート寄りのミドルヘアで後髪は首を覆い切れてるか怪しい……全体的に丸みを帯びた形状の髪型の正面は前髪が右目を隠すように伸びてて左目は真っ赤で右目はピンクのオッドアイ。


 胸のサイズは今店内にいる女性陣の中で一番大きく、そんな体型でサイズの合わない白のスクール水着を着用したもんだから、胸の頭頂部辺りに肩を通す細い部分が来てて、豊満な胸が内側に圧迫され肉厚な谷間が形成されてるにも拘らず胸の外側部分がかなり露出してる状態……そんな中、岩瀬麻七がシトラに言う。


「シトラさん。今から適当にポーズ取るから撮影して私に送って欲しいの」


 程なく岩瀬麻七は何かで見たのであろうポーズを、それが何かもよく理解してない様子で次々と決め始めて……動く内に肩紐部分が片方取れかけてるのに気付かぬままポージングを続け……結構撮影した後、岩瀬麻七は映像素子空間へ行く。


「んー……後半の肩紐が外れかけてるポーズにいいのが多いの……その中から選ぶなら……これなの!」


 岩瀬麻七がそう言いながら撮影した立体画像群を表示させ、平面画像化した上で遂に1枚の画像を選び取る……際どい眺めの角度だけど、全体の服装がよく把握出来るポーズを……


 表情だけでなく体全体で活発な明るさを放つ分、健全な印象に飲まれる余地はあるかな……そんな岩瀬麻七に対し、北内桃奈子が言う。


「随分気合の入った記念写真だねー」

「お父さんとお母さんに送るの! 自分の娘が全身白い服を着た時、それを見た親は泣いて喜ぶって聞いた事があるの!」

「ではこちらの画像を岩瀬麻七さまと、その御両親のみが閲覧可能で、娘からのプレゼントであるという設定を付与しますのでメッセージを入力してください」


「ウェディングドレスかー……今度頑張ってデザインしてみるかな」

「そういえば去年ひばりちゃんと一緒に比較的知り合いの皆でエプロン持ち寄って、パジャマパーティーならぬ裸エプロンパーティーした事あったなー……横乳見てたら思い出した」

「私もそんな風に集めた皆で学園の映像スタジアム使用許可貰ってカジノ映像の中でバニーガールパーティーやったなー」


「そういう事の為に作られたんじゃないのに、どう見てもアブナイ事になって、特に背中が寒くて……こんな服装で街中歩いたら、その昔出没したというコート羽織って中身裸の変質者と何が違うのかって議論になったなぁ」

「……これが進んでるって、果たして言えるのか」


 岩瀬、シトラ、店主、西郡、店主、西郡、水川が発言し……やがて岩瀬麻七がこう言います。


「メッセージ添えて送ったの……じゃあ撮影画像は……」

「岩瀬麻七さま。オウカ様が一連の撮影画像の幾つかを買い取りたいとの事です……画像を元に顔や体型を変更し再計算しますので、そのまま使われる事はありません。サンプルと一緒に買取提示額を秘匿送信します。ラバロン学園長とも話は付けてあります……そのサンプル画像を全て送信するという形で」


「すごいの……全然私に見えないの! この価格にも満足なの! 承諾しました……お金はお父さんとお母さんの共有口座に送ってください……なの」

「これって両親の為にカラダ売った事に……」

「アルファはこれが限界かな」


 シトラ、岩瀬麻七が発言し、水川悠だけでなく塔子も独り言……更にシトラが提案する。


「残った画像データは全て完全抹消という事でよろしいでしょうか?」

「あ、シトラさん。皆にもサンプル見せてください……全然別人なの」

「この服装を提案されました鮎鮫秋名さまにはオウカ様が直々にご覧の高級素材から1つ作成される形で謝礼とさせて頂きましたが……熟慮なさいますか?」


「いや、この鴇の羽の色素が高濃度になったと仮定した上で再現して織った反物にする……あのデザインをこれでやるか……」

「かしこまりました。今からオウカ様が新しく作成されますのでお時間が掛かりますが出来次第、転送装置を介さずに配送致します」


「表情が何というか、溶け崩れてるというか……」

「顔の上半分隠しただけなのに、何かオーラが凄い……」

「……お洒落な帽子探そうっと」


 岩瀬麻七、シトラ、鮎鮫秋名、シトラと発言し……北内桃奈子と西郡灯花の順の発言だったけど岩瀬麻七が皆に見せた画像は、500餡で買い取られたポーズ群を元に作成した女性の白スクニーハイ画像で、表情を蕩け顔にしたり目隠ししたり、スク水だけ紺色にしたりと色々派生が……


 これらは狙い撃ち夜間広告に添えられる女性の画像枠などに使われます。


 北内桃奈子と西郡灯花がその画像サンプルに反応する中、水川悠は何処か呆れるような口調でそう呟き、店の中を散策し始めました。


 各々が試着する様はまだ所々紹介するけど……隙を見てゴールドの話をしたいと思います……ゴールドは現金のみで全て硬貨制……アンバーやキューブと比べると結構特殊なんだよね……


 ところで学園長は一連の夜間素材画像を閲覧したわけだけど……認可後、傍に置いてたドリンクを少し飲んで一呼吸した後……こう呟いてた。


「若い――わねぇ……」


 ラバロン学園長こと放雷ほうらい磨十射まといの肉体年齢は8歳で、背丈も佐野山先生より

一回り下……飲んでるのは上物の蜜柑で作られたもの。


 学園長はそれを更に飲み進めたけど……つまり傍から見ると8歳幼女がオレン

ジジュースを飲みながら、幼女らしい声でそんな発言をした光景であります。

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