赤黄色の金木犀

 秋って、急に来るよね。

 この前まで暑いなーって思ってたのに、気づいたら、登校中に金木犀の匂いがするようになってた。

 きっと、これからどんどん、紅葉が色づいてくるよ。


 私、この季節になると、「赤黄色の金木犀」って曲が聴きたくなるの。この季節にぴったりの本当に良い曲よ。きっと気にいると思うから、聴いてみて。


 ねぇ。……彼と別れたの。


 彼から、別れようって。あんたのことでいっぱいいっぱいで、一緒にいても上の空になってる私が嫌なんだって。


 確かに、私、彼の優しさに甘え過ぎてたかもしれない。彼とどんなことをしていても、結局あなたのことが頭から離れなかった。


 そんな状態の彼女といても楽しくないどころか、相手に失礼だよね。


 でもさ。


 たったひとりの親友がずっと意識を失ってるのに、心の底から楽しめるわけないじゃん。


 ねえ。もしも、過ぎ去ったあの人に、全て伝えられていたら、何か変わっていたのかな。


 答えてよ。ねえ。教えてよ。私はどうしたら良かったの?ねえ。


 いつになったら意識を取り戻してくれるの?


 あんたに、こんなこと言ってもしょうがないよね。わかってる。わかってるの。


 それでも、聞かずにはいられないの。ごめんね。


 ……また、来るね。

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