第十一章『アニオタ朱』
学校の昼休み、万紀と優梨子と裕子は待ちきれないのか、ボランティアの依頼ボックスの様子を伺った。
裕子「さて、箱の中身はどうなってるかな?」
万紀「箱の中を確かめる為に箱を振るだけだそ?」
裕子「大丈夫、分かってるって」
優梨子「私も気になります」
裕子はボランティアの依頼ボックスを揺さぶった、すると沢山の用紙を擦れる音が聞こえた。
万紀「おっ! 結構いっぱい入ってるんじゃねぇか!」
優梨子「すごいです」
裕子「やった! 私達頼れてるかな?」
万紀「裕子、浮かれすぎだぞ……」
裕子が浮かれてることを心配する万紀、すると優梨子が何かが気づいた。
優梨子「え……誰でしたっけ?」
千晶「優梨子もう忘れたの? 朱宮千晶よ」
優梨子「千晶ちゃん」
万紀「あたし達に何の用だよ?」
万紀にそう伺うと千晶は答えた。
千晶「丁度裕子達にお願いがあってきたんだけど」
裕子「何?」
千晶「今日は火曜日でしょ?私におススメのアニメを紹介して欲しいの、パレット部達に伝えてくれる?」
千晶の急な願いに。
裕子「分かった、丁度暇だし引き受けるよ」
万紀「そうだな」
優梨子「喜んで」
千晶「ありがとう、おススメのアニメを参考にしたいから明日に紹介してほしいの」
そう言った千晶はそのまま教室に戻ろうとしたが、何故か裕子達にも付いてきた。
千晶「なんで付いてきてるの?」
裕子「私、一年三組だからよ」
万紀「あぁ。」
優梨子「私もです」
千晶「ごめん、すっかり忘れてた」
うっかりしてた千晶、裕子達はそのまま一年三組に戻ったのだった……
放課後、パレット部室で緊急会議が始まった。
裕子「今日はレンタル屋さんに行って千晶さんにおススメのアニメを探します」
万紀「おぉ! アニメはわかんねぇけど探さねぇとな」
優梨子「私、アニメなんて見たことないです」
史「残念ながら私も詳しくないわ」
亜弥「私は小さい頃なら見たことあるけど後からは見てないな」
映美「アニメか……全く見てないから分からないが……」
裕子「私も小さい頃なら見たことあるけど……」
なんといきなりのピンチ、それでも千晶の約束を果たしたい裕子は
裕子「よし!レンタル屋さんに行こう!」
全員「お!」
映美「残念だが、私は仕事が残ってるため学校に残る、ぐれぐれも帰りには気をつけてな」
全員「はーい」
パレット部員達は映美先生を残してレンタル屋さんに向かったのだった……
レンタル屋さんで千晶のおススメのアニメを探すパレット部員達、しかし、自分が思うようにおススメするアニメが見つからない。
万紀「あぁ! 全然わかんねぇ!」
優梨子「う……どれも分からないよ……」
史「本当、限界だわ」
亜弥「子供向けのアニメしか分からないよ!」
すると裕子が小さい頃見たアニメを手に取った、そのアニメのタイトルは『彩った世界の真ん中で』
万紀「んだこりゃこのアニメは?」
裕子「これは主人公の綾が世界中に失った色を取り戻す物語です、主人公の綾がレイピアを使って色を嫌う敵、モノグナーを倒して七体のボスがいるんですけど、一体ずつボスを倒すことに一色を世界に彩っていくんです、最終的にはモノグナーの大魔王、モノグヤに倒しに行くため世界中を旅に出るんです」
優梨子「へぇ……」
史「明らかに子供が見るアニメじゃないわね」
亜弥「主人公の名前、漢字は違うけど同じだ!」
裕子「よし! これに決めた!」
千晶におススメするアニメが見つかった部員達は会計を済まし、そのまま解散になった。
翌日の昼休み、一年三組で万紀と優梨子と裕子は千晶の元に行った。
裕子「千晶ちゃん!」
千晶「何?」
優梨子「千晶ちゃんにおススメのアニメを紹介しにきました」
万紀「気にいるとありがてぇが……」
千晶「どんなアニメ?」
すると裕子はアニメを取り出し、千晶に見せた。
千晶「『彩った世界の真ん中で』?」
裕子「はい、主人公の綾が世界中に失った色を取り戻す物語です、主人公の綾がレイピアを使って色を嫌う敵、モノグナーを倒して七体のボスがいるんですけど、一体ずつボスを倒すことに一色を世界に彩っていくんです、最終的にはモノグナーの大魔王、モノグヤに倒しに行くため世界中を旅に出るんです」
千晶「……」
突然、黙り込んでしまった千晶、そして。
千晶「このアニメ、懐かしいわ、私も小さい時に見た」
裕子「そうなんですか? 私も小さい頃、このアニメを観ました、たまになんですけどDVDでみたりしてるよ?」
千晶「え!? 嘘? 『彩った世界の真ん中で』のDVD全部持ってるの!?」
裕子「はい、全部持ってます」
千晶「いいな〜!」
裕子が『彩った世界の真ん中で』のDVD全部を持ったことに羨ましがる千晶。
千晶「ありがとう、何かが目覚めた気がする」
裕子「いいえ」
優梨子「裕子ちゃんすごいです」
万紀「さっすが裕子! やるな!」
二人に褒められて照れる裕子、すると千晶からこんな言葉を述べた。
千晶「あのさ、パレット部に入っていい?」
裕子「どうしてですか?」
千晶「今までアニメーション部をやってたんだけど、行き詰まっちゃったから、何かの刺激が欲しい、だから入らせて」
裕子「喜んで!」
なんと!千晶がパレット部に入部したのだ!
裕子「よろしくね、千晶ちゃん」
優梨子「よ……よろしくお願いします」
万紀「よろしくな! 千晶!」
千晶「うん、みんなよろしくね」
千晶がパレット部に加入したことで喜ぶ部員達は笑いが絶えない昼休みが続いたのであった。
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