第二章『色んな色』
万紀に学校を案内されながらついていく裕子。そういえば二年生の教室で色んな人がいたな……。マイペースそうな人や真面目そうな人、学年中囲まれてる人がいれば狐のような人、熱い人にさっき初めて出会った子供っぽい人、藤本亜弥。そう考えていくうちに三年生の教室に着いた。
万紀「ここは三年生の教室だ」と説明してたら、クールそうな人が私達の目の前に立った。
万紀「なんだよオメー!」
???「……」
万紀が問いかけても中々喋らない。特徴は綺麗な黒髪で前髪で右目を隠してる、後ろ髪が右側は短く、左側は長い、いかにクールそうな人。裕子が試しに声をかけてみる。
裕子「あの……何か用事があってきたの?」
するとクールそうな人が口を開いた。
???「そうでもない、ただ、貴方が気になっただけ」
裕子「え?」
突然の事に戸惑う裕子。クールそうな人が気になったのは裕子の方だ。
???「入学生が三年生の教室に訪れるなんて滅多に無い」
万紀「あぁ? 案内してんだけなんだけどよ」
???「貴方に聞いてない、貴方に聞いてるの」
裕子「私ですか?」
そう問いかけるとクールそうな人は頷く。
裕子「私、色彩学園に入学してから三日しか経ってなくて校内だけ知れたらいいなと思って……それで万紀さんに案内してもらってるの」
万紀「しゃーねぇから一人よりはマシかなともって案内してやってんだ」
???「なるほど」
クールそうな人が納得したのか、そのまま教室に戻ろうとしたその時、裕子が声をかけた。
裕子「あの! 貴方の名前は!」
???「……三年一組、灰谷史」
史はそのまま教室に戻ってしまったが、三年生の生徒達が一斉に騒つき始めた。
万紀「まずい 裕子! ここは一旦逃げるぞ!」
裕子「えぇ!?」
万紀の言うがままに裕子はそのまま三年生の教室を後にした。
三年生の教室には色んな人がいたな……ギャルっぽい人がいれば物静かな人、お母さんって呼びそうな人がいればポジィティブな人、ネガティブな人がいれば家庭的な人、そして、クールそうな人、灰谷史。そう考えながら逃げてるうちに屋上に着いた。
万紀「やっとここが落ち着く!」
裕子「どうして逃げたんですか?」
裕子の問いかけに万紀は深刻な顔で答えてきた。
万紀「噂なんだけどよ、灰谷史って奴か、滅多に喋らねえんだ、裕子が気になって喋ったって事は珍しい事だ、しかも名を名乗ったんだぜ? 名を名乗るのも珍しいらしく、それで三年生の奴らが騒ついたんだ、きっと、どうやったんだか聞きたくてしょうがねぇ奴らだ」
裕子「なるほど、それで逃げたんですね」
万紀の説明に納得した裕子、気になることがあるのか……
裕子「どうして学校の中を知ってるんですか?」
と問いかけてしまった。すると万紀は恥ずかしそうに答えた。
万紀「実はよ、五年留年してんだ」
裕子「え……」
あまりの驚きで裕子は放心してしまう。
万紀「驚くの無理もねぇな、最初は行ったんだけどよ、途中から行けなくなって、ずっと学校には行ってねぇだ、でもよ、あいつの言葉で改心して今は行けるようにはなった方だぜ、今は裕子と同じ学年だけど、本当は五つちげぇよ、あたしの方が大人だからな」
裕子「……そうだったんですね」
仲が深まった気がする。そう感じた裕子は万紀と共に自分の教室に戻ったのであった。
裕子がいる一年三組は可愛らしい人、藍原早織がいればヘッドホンをしてる人、ヤンキーみたいな人、黒沼万紀がいれば不真面目そうなオタクがいる、恥ずかしがり屋さんがいれば、普通の私、大無田裕子がいる。放課後、万紀は先に帰ってしまったけど、裕子は出来る事を考えてた。
裕子「どうしよ、どの部活に入っても何も出来ないし……」
そう考えたら何かが閃いた。
裕子「そうだ! 自分で部活を作ればいいんだ! 明日、映美先生に言わなきゃ!」
裕子はその期待を胸に秘め、教室を後にしたのだった……
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