第一章『初めましての色』
色彩学園に入学してから三日経った。裕子のクラスは一年三組。そろそろ友達が出来る頃だが、裕子だけ中々友達が出来ずにいた。
裕子「どうしよう……友達なんて出来ないのかな……」
独り言をしていたらチャイムが鳴り、ホームルームが始まった。裕子の担任の先生は茶髪で少し緩んだ一つ結び、ちょっとだらしないが中身はしっかりしる、一色映美(いっしょくえみ)先生が現れた。担当教科は美術だ。
映美「はーい! これからホームルームが始まるよ!」
裕子達は席を座り、映美先生からこんな言葉を繰り出した。
映美「他のクラスはもう自己紹介を終わったけど、今日は自己紹介をやってもらうよ」
急な事に騒つく生徒達、そういえば、入学式の時と昨日の時はなんだかの都合で映美先生はいなかった。そう、今日は初めて私達の担任の先生が来たのだ。騒つく生徒達を映美先生は自己紹介の説明をした。
映美「自己紹介の内容は名前、好きな物を言って、短くすませるようにしろ」
なんていう雑なまとめ方、仕方なく生徒達は自己紹介をした。
???「こんにちは、私の名前は藍原早織(あいはらさお)です。好きな物は一生懸命頑張る人です。よろしくお願いします!」
なんて可愛らしい、黒髪でツインテールをしている、裕子より明るそうな人だ。
生徒達が自己紹介をしていくうちにやっと裕子の出番が周ってきた。思わず緊張してしまう裕子、それでも乗り越えなきゃいけない。頑張って自己紹介をした。
裕子「は……初めまして、私の名前は大無田裕子です。好きな物は雲のグッズです。よろしくお願いします……」
やっと自分の自己紹介を終えて、少しホッとした。クラスの自己紹介を終わるまで私はずっと聞いていた。
昼休み、裕子は学校を散策していた。色んな教室が裕子の視線を見渡す。
裕子「色んな教室があるんだ……」
独り言をしてたら子供のような女子高生が裕子に声をかけてきた。
???「やぁ!」
裕子「わぁ!」
???「君入学生? 私は藤本亜弥(ふじもとあや)って言うんだ! 君は君は?」
入学生が来たのが興味津々で裕子を見る亜弥にそれを困る裕子。すると、裕子の後ろから大きな声で叫んできた。
???「何やってんだよオラァ!」
亜弥「わわわ……やばい! ヤヤヤヤンキーだ!」
裕子の後ろにいる人物に驚いて逃げてしまう亜弥。裕子はすぐ後ろを向いた。ヤンキーみたいな人だ。すると……
???「オメー大丈夫か?」
裕子「はい、だだだ大丈夫です」
ヤンキーみたいな人に怯える裕子、それを見たヤンキーみたいな人は
???「なんで怯えるんだよ! オメーが困ってるから助けてやったんだぞ!」
裕子「あ……ありがとうございます。私、大無田裕子です」
???「あ? 大無田裕子? 聞いた事ねぇな……あ! 裕子! あたしのクラスの人か!」
裕子「はい、そうですけど……」
???「どうりに見た事ねぇなと思ったんだ! あたし、午後から学校来ちまったからよく分かんねぇけど……」
そういえば、裕子のクラスに一人居なかった。その一人がヤンキーみたいな人だったのだ。
???「そうだ! いちよう名だけ名乗らないとな! あたしは黒沼万紀(くろぬままき)、よろしくな。」
裕子「よろしくお願いします。」
万紀「せっかくだし、学校の中を案内してやるぜ!感謝しな!」
裕子「ありがとうございます。」
裕子は万紀に学校の中を案内してもらうことにした。
裕子と万紀は学校の中を案内しながら散策し、少しお喋りをした。
万紀「裕子がさっき来たのは二年生の教室だ。厄介なやつばっかりだけど、本当はいい奴だぜ」
裕子「そうなんですね」
万紀「裕子、もしかして友達いねぇのか?」
裕子「はい、居ないです」
万紀「なんでだ? 普通に居そうだが……」
裕子「中学時代、全ての部活が出来ない理由でいじめられてたんですけど、友達に助けて貰って毎日楽しかったんです。でもその友達は別の高校に行っちゃったんです」
裕子の話を聞いたら万紀が泣き出してしまった。
万紀「裕子! いい友達持ってんじゃねぇかぁぁあぁぁあ……羨ましいぜええぇえ……」
突然泣き出す万紀に驚く裕子。
裕子「えー! どうして泣くんですか!?」
万紀「悪りぃ悪りぃ、こういう話によえーほうなんだ」
どうやら万紀は感動話に弱く、泣き出してしまうことがあるそうだ。つまり、情に脆い。
万紀「つー事で次行くぞ!」
裕子「あっ! はい!」
裕子は万紀についてくように学校を散策したのだった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます