限りなく短い短編集

最低な話

母は俺に言った。血が繋がっていても俺のことは心底嫌いだと。なぜなら半分は父親の血が混ざっているからだ、と言っていた。

　父親は、まぁ息子びいきに見ても人間のクズとしか表現しようがない。薬に、酒に、女に、暴力にとおおよそクズの資質のすべてを兼ね備えたperfect human だから。

　母親もそんなゴミクズを引き当てたと感心しきりだ。

　今日も今日とて俺の母親をぶん殴ってサイフを奪って出ていた。風俗かパチンコか、まぁどちらかだろう。

　昔、母親に訊いてみた。なんで警察やら弁護士やら、所謂助けてくれそうなところに駆け込まないのかを。

「私が殺されるかもしれないから」

　なんとも情けない返答だった。そもそも、母親のくせに子供の心配もしてくれないのかと悲しくなった記憶がある。さらに、そもそもだが、俺が親父に殴られてるときに一回とて助けてくれなかったからな。親父も頭狂ってるけど、母親も狂っている。

　そんなことを学校の体育館の裏で、ぷかーっと紫煙をもくもくさせて思ってた。ちなみに隣で不良仲間が女の子を回している。声が出ないように口をガムテープでぐるぐる巻きにして性欲の処理をしていた。突っ込まれてる顔つきの写真でも撮っておけば大事にはなるまい、と俺が言ったのがトリガーだったらしい。きっと女の子も一生モノのトラウマだな。いやぁせめて俺は性欲のはけ口にしないから許してほしいものである。

　ちなみに幼馴染(女)は俺のことも人間のクズだって言ってた。俺の隣で女の子が卑猥な意味でめちゃめちゃにされているのを冷めた目で見ている幼馴染も相当だと思うが……。

　あぁ。なんか面白いことないかなぁ。