限りある愛情

「ねえ。私のこと好きって言って」

「腐れ縁だけど、さして好きって訳じゃないんだよなぁ」

「なにが不満なの? あれだけ中出し許してたのに」

「好きじゃなくても女は抱けるし。だいたいゴム無しを求めたのはお前だろ?」

こんな最低の会話をできるのは世界ひろしと我が幼なじみの惠憂様だけだ。

後先考えないでヤラセてもらったけど愛情がさーっと消えたのは割と早かった。女の愛情は長く燃えているのな。

実際惠憂のことを好きか嫌いかと言われれば好きと答えるけど、質問の内容が好き、嫌い、なんとも思っていない、の3択ならなんとも思ってないって答えるね。

だって好きだったらもっと愛想良くなるし、嫌いだったら離れるし。なんとも思っていないから程々の関係を保っているのだ。

惠憂には分からないんだろうな。世の中を白と黒で分けている内は分からないわ。

母親の顔も知らない。父親はヤク中で借金をたんまり残して夜逃げ。親戚はいない。そんな人生を16歳から送っているのだ。

まぁでも惠憂にはキレイな世界を見せてあげたい。

これが恋愛感情なのかは俺も解らない。

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