神様を信じない者の詩

この世界には神様がいるらしい。らしい、というのは私は見たことがないからという理由。


実際、神様がいるとしても凡そ人間のことは好きじゃないんだろうかと思う。でも私でも考えたことがある。海の小さな小さななにやらから人間になるなんて想像ができない。だから私は「神様は人間を創ったけど、さほど愛着はない」と結論付けた。


その話を彼氏にしたらすごく難しい顔で「暇なの?」って聞いてきた。失礼極まりない。


神様がいて、人間が好きで、私に施しをくれるなら、生まれた時から頭の中でずっと流れているピアノソナタ「月光」を止めて欲しい。統合失調症というらしい。薬を飲んでも、カウンセリングを受けても治らないこれを止めて欲しい。


あとは赤ちゃんが産める身体にはして欲しかった。


だから私はこう言った。

「神様。信じてないけど助けて」ってね。


そしてそのままぷつりと生命の糸が切れた音がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る