事故の詳細
先生は軽いむち打ち症で済んだそうだ。
保護者会で説明を受けた母親から聞いた。
でも事故の状況を細く聞くと、俺は先生の身を案じた自分が間違っていなかった事が分かった。
学校と消防署は目と鼻の先。
立地的には、消防署が北側から学校を見下ろしている。
石本先生が校門に車をぶつけた音に気付いた消防隊員がいた。
すぐに駆け付けてくれたそうだ。
小さな軽自動車は、後ろ半分が大破、運転席のドアは開かなかったと言う。
タンクからガソリンが漏れ、もし引火すればあっという間に火の車。一刻を争う状況だった。
ガソリンに引火しないよう特殊な液体をまき、その後レスキュー隊員が二人がかりでドアを開け、閉じ込められていた石本先生を救出したと言う。
不幸中の幸いだったのだ。
聡が言った言葉を思い出した。
「俺たち危なかったじゃん。先週」
『もし、後部座席に乗っていたら』
想像したら身の毛がよだった。
やっと本気で自分の身を案じた。
『俺は少し優しすぎるのだろうか?』
初めてそんなことを思った。
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