第4話 異常

洞窟に入って二日目。

別れ道を1の穴に進んだ俺たちは昨日と特に変わらずに進んでいた。

ただ昨日と違うのは、魔物の数だろう。

はっきり言って異常だ。

四方八方から次々と魔物が押し寄せる。

そのせいか、前衛二人にも余裕がなくなってきている。

おっと、ただでさえ魔物が多いのにほかの人の心配をしてる暇なんてなかったな。

人の心配といえば蒼のほうもやばいことになっている。

相変わらず反撃はできていない。

ということで、ただでさえ忙しいのに、

蒼の護衛的なことまでやる羽目になっている。

ちなみに俺は今日だけでレベルが三つも上がった。

そのおかげでステータスも平均200になっている。

といってもみんなには追いつけない。

俺で三つも上がったんだ。

成長率アップのスキルがついた蒼と光は、倍くらい上がっている。

俺がステータスで追いつけるような次元に皆はいないんだ。

ちなみにレベルが上がるにつれて必要な経験値は増えていくようだ。

同じ魔物を個体差はあれどより多く倒さなければ、

レベルが上がらないのがその証拠。

ここまで呑気に考え事をしていたが、

そろそろ本当に余裕がなくなってきた。

多すぎてさばききれなくなってきた。

いくらステータスを強化してるとはいえこれ以上は限界だ。

ここで俺の持っている武器の特性を利用する。

俺の武器は27個の塊からできている。

そして使っていない塊は宙に浮かせて自由に扱える。

しかも浮かせた状態でも好きな形に変えられる。

というわけで、塊をすべて剣の刃の形に変える。

そうしてビットのようにすれば完了。

これであふれた敵も倒せる。

ただ同時に扱えるのは今のところ2本だけ。

さすがにそこまで化け物のような頭の処理能力はしていない。

とにかく今自分の持てる全力をもってして、

目の前の事態に対処していった。


☆――


どのくらい経っただろうか。

三十分は経ったように思えるがもしかすると十分も経ってないかもしれない。

とにかくそれだけ疲れたということだろう。

エリシアにいつもこんなものなのか聞いてみたところ、

答えはNOだった。

「ここまで多いのは初めてだ。

それに、時々ここでは出てこないような魔物の姿も確認できた。

はっきり言ってありえない」

「つまり、、異常事態、、ということですか?」

光が息も絶え絶えながらにエリシアに聞いた。

「そういうことだ。かなりおかしい」

その後も少し話していたようだが、

それも終わると、「とにかく用心だけはしておこう」

というエリシアの声とともにまたすすみ始めるのた。

進み始めたところで蒼が「ごめんね」と謝ってきた。

「どうしたんだ?」

「だっていつも守られっぱなしだし」

「それは別にいいよ。こっちとしても困っている人を放って措く理由もないし」

これは一応本心だ。

別に冷淡な奴のように見られたいわけじゃないからな。

「でもかなり負担でしょ?」

「まあそうだけど。でもやっぱり危なっかしいし」

「そう、、だよね。うん。じゃあこれからもお願いしていいかな」

そういう彼女の顔には自分不甲斐なさがにじみ出ていた。

「いいよ。別に」

そんな彼女の表情に対して俺は苦笑いで答えるのだった。


☆――


道中、やはり魔物は多かった。

本当にうんざりするほどに。

そして今まで戦ってきて、気づいたことがある。

魔物たちはかなり必死に何かを守っているようなのだ。

それは俺たちが先へ進むにつれてより顕著なものになっていた。

この先に何があるのか。

その疑問は一瞬で解消された。

今までただ地面を掘りぬいただけだった通路。

それが、突然純白の煉瓦で形づくられたものに変わった。

まるで王城の廊下のような荘厳さがあった。

エリシアのほうを見てみても、何が何だかわからないという顔をしていた。

しかもここから先、見えるところまで一体も魔物がいない。

ここが異常の元凶だと誰でも察しが付く。

「とにかく進もう。先に行っていた人たちが心配だ」

そういったのは光。

その言葉を聞いてエリシアも呆けたままの顔から元の顔に戻った。

「そうだな。行くしかないようだ」

そのまま進み始める。

この先に何が待ち受けているのか。

まるで、これから全校集会で登壇しようかというような焦りや緊張が生まれた。

しかしそんなことを考え終わる前に、道が終わっていた。

突き当りには扉があった。

そこまで大きくないがそれこそ、屋敷の門のような壮大さがあった。

まわり同様白に統一されている。

少し違うところといえば、金の装飾が施されているところだろう。

なんだろうこの悪寒。

はっきり言うと、とにかく不気味。

とても質素で鮮やかなのに、見た目に反して生理的嫌悪感を覚える。

ほかの皆はそんな事はなく、むしろ何かに取りつかれたように扉を見ている。

とにかくこの先に皆がいることを信じて先に進むしかないだろう。

そうしてエリシアに声をかけると

「、、、!ああ、そうだな」

と焦ったように言っていたのでかなり魅入られていたようだった。

皆を正気に戻し、おもむろに扉を開ける。

向こうのほうが明るいのか、光が差し込む、白い壁と相まってまるで天国の光のようだ。

そのまま扉を開けていきそして目の前が開けたとき、

天国とは似ても似つかない地獄のような光景が広がっていた。

震えながら端っこに固まった生徒たち。

あわてる王国騎士達。

そして何より、人の頭から上をすっぽりと覆う魔物の影。

そのまま魔物は顔を上げる。

そこで騎士の体はポトリと落ちた。


☆――


突然の出来事に俺だけでなく光や蒼はもちろん、

エリシアまでも茫然自失といった感じになっている。

誰一人その場を動けず、まさに蛇に睨まれた蛙のようだ。

事実その魔物は蛇のようであり、睨まれているのも現実。

動けたとしても腰を抜かして後ずさりするのが落ちだ。

そんな人一人を簡単に加えられるような蛇が、今度はこちらに興味を向けてきた。

蛇が進み始める。それと同時にエリシアが蛇に切りかかった。

「エリシアさん!!何してるんです!!」

「逃げろ!!皆を連れて!!」

「そんな、、、。エリシアさんを置いて逃げるなんて!!」

光は必死になって参戦しようとしている。

「いいから行け!!今お前たちはこっちに近づけないだろう!!」

図星だ。

エリシアが戦っているんだ。

今すぐにでも協力に行きたかった。でも足がすくんで動けない。

ちょっとずつ近づくのがやっとの状態だ。

「それにどうせお前たちでは勝てない。この魔物はダークネスサーペント。

ステータスが高いからといって勝てる相手じゃない!!」

「でも、、、。」

「光。行くぞ!!」

「おい!!どういうことだ傀儡。エリシアさんを置いて逃げるのか!?」

「どうせ俺たちじゃ足手まといだ。蒼はここで待ってて」

「え!?、、あ、わかった」

そう言って確認するとみんなのほうへ走り出した。

「おい!!待てよ傀儡!!」

光も後を追いかけてくる。

俺は周りの目を気にして生活してきた。

いつも通りであれば、おそらく、エリシアさんを助けに行っていたであろう。

現に、助けに行きたくてもどかしい思いだ。

でも俺のことを俺たちのことを真っ直ぐに気にかけてきてくれているエリシアの気持ちを無下にはできない。

だから俺は走った。

もう少し!!あともう少しでみんなの所に着く。

その時。

「皆集まったか」

美しい声が響いた。

恐ろしいほどただただ美しい声。

すべての意識を持って行かれた。

気づけばダークネスサーペントまで止まっている。

声はそれほどの力を持っていた。

不意に漆黒の羽が、光をも吸い込まんとするほどの羽が、雪のように舞い始めた。

羽の出所を恐る恐る見つめた。

目に入ってきたのは『天使』のよう何か。

光輪と羽は黒く、それでいて美しい。

顔は男性とも女性ともつかない中性。

声も同じく。

「ごきげんよう。突然の無礼申し訳ない」

一挙一動、そのすべてに注目してしまう。

しかし、そこまでの美しさを持ちながら湧き上がる感情は、

恐怖だけ。

「まずは名乗ろう。わが名は堕天使ルシファー」

緊張感が空気を支配する中、

「皆はこう呼ぶ。悪魔サタンと」

堕天使は名乗り、言った。

「申し訳ないが、皆様には、少しの間、止まっていていただきたい」

サタンはおもむろに指を鳴らす。

音がはじけた瞬間、体が固まる。

しかしそれも一瞬。

すぐ動けるようになった。

少し動きかけてすぐに止まる。

下手に動いて相手に気づかれでもしたら厄介なことになる。

「驚きました。まさか動けるとは!!」

まずいやらかしたと思ったが、

「さすがは騎士というわけですか」

という言葉でエリシアたちのことだと気づく。

エリシアたちは、俺たちを守る形でサタンに立ちふさがっていた。

「まあいいでしょう。あなたたちは眼中にない。

ペットの遊び相手でもしてもらいましょうか」

その声に反応してダークネスサーペントが動き出す。

エリシアたちもすぐに動き出す。

人数にも余裕があるためか、先ほどとは打って変わってかなり余裕を取り戻している。

しかし、ダークネスサーペントン騎士たちがかかりっきりになるということは、

サタンが自由に動くことができると言うこと。

サタンはそのままゆっくりとみんなと離れた位置にいる蒼のほうに向かう。

まずいと思った時には遅かった。

サタンは虚空から剣を取り出し、蒼に切りかかった。

大きな衝撃音と火花。

蒼の『ジャッジメント』が発動する

「なるほど、厄介な力ですね」

そういうとサタンは何度も剣を振る。

焦って『観察』を発動。

蒼のMPがゴリゴリ削れ、感情が恐怖に塗りつぶされていく。

そんな蒼を見て騎士の一人がこちらに目を向ける。

その瞬間騎士の首が跳ね飛んだ。

一瞬でも気を抜けば瞬間、死が訪れる。

そんな相手を前にした騎士たちは頼りになりそうもない。

おそらくこの状況の中、騎士以外で自由に動けるのは、スキルで抵抗し倒れくらいだろう。

そうなれば蒼が助かるには俺が動くしかない。

だけれども、動けない。

正確には動いてはいけない。

今のおれではサタンには太刀打ちできないはずだ。

ステータスはわからないが、確認する気にもなれない。

それほど相手が挌上ということ。

動くことはできない。

でも、あの時の蒼の顔をふと思い出したとき、見捨てようという思いは微塵もなくなった。

あの顔は、何かを背負っている顔。

何かに取りつかれ、何かを清算できていない顔。

今でも蒼の思いは、恐怖の中に後悔が生じている。

そんな蒼を見て俺が思ったことはただ一つ。

清算していないものは清算しなければいけない。

それが終わるまでは人間は死んではいけないのだ。

少なくとも、自分の納得いくまで突き詰めなければならない。

そして、この感情には裏がない。

少なくとも俺には裏があるようには見えない。

そんなまっすぐな蒼を見て、俺は、憧れた。

他人から自分を隠してきた自分にとって、そんな真っ直ぐな感情を持てることが、

心底うらやましいい。

だから俺は、そんな憧れの人を、助けることに決めた。

これは俺が、人間を最後まであきらめていない、その証拠かもしれない。

ステータスの瞬発力と筋力を限界まで上昇させる。

これくらいなら、十分くらいは動けると思う。

そして足を折り曲げ越しに力をためる。

剣を形作り、宙に浮かせて待機させる。

サタンはまだ蒼への攻撃に夢中でまだ気が付いていない。

最後に俺は、武器を取りためた力を開放して、跳躍する。

爆音と衝撃波とともに、雲を引き連れて、サタンへ切り込む。

音速を超えた速度に目はついていけず、体は耐えられない。

そこで筋力を強化して、自壊を防ぐ。

目が追い付かない為、剣はサタンに向けておく。

走り抜き様の一閃。

手ごたえを感じ、瞬時に振り向く。

雲が晴れるとそこには、

片翼を失ったサタンがそこに立っていた。

「やってくれますね。まさか勇者たちにこれほどまでの実力者がいるとは。

『観察』が発動し、サタンの次の動きの軌跡が見えた。

すぐさま回避。

その横を、サタンの剣が掠めていく。

「今のをよけますか。どんなからくりがあるか、見せてもらいましょう」

サタンが距離を取り、目を閉じる。

すぐさま追撃しようと距離を詰めたとき、おもむろに目を見開いた。

「天啓眼!!」

瞬間体が硬直し、すべてを見透かされているような感覚に陥る。

「なるほど、レベル、ステータスはともに低いですね。

ということはスキルか魔法でステータスを底上げしているのでしょうか、

しかし、肝心のスキルがわかりませんね」

硬直はすぐに溶け、瞬時に間合いを詰めて切りかかる。

「これでも完全に止めることができないとは。あなた何者なんですか?」

「信用できないやつに、教えることは何もないね!」

油断したところへの奇襲。

しかしそれはあっさりと受け止められた。

その後何度も剣はぶつかり合ったが、一分ほどたったころ、

「相手の実力もわかったところでそろそろ本気で行きますか。」

サタンの動きはもはや別物へと変わった。

攻撃の手数も増し、完全に防戦一方となってしまった。

このままではすぐに限界が来ると思った俺は、残りのキューブを全部使い剣を作り出した。

「まだそんなものまで隠し持っていたのですか。

いったいどれだけ私を驚かせれば気が済むんですか。」

サタンの攻撃を剣で防ぎ、間に合わないものを空中の剣で迎撃。

そのうち攻撃を返せる余裕もできてきた。

このままいけると思ったその時、

「なかなかしぶといですね。でもこれで終わりです!」

次の瞬間観察によりサタンの次の手が見える。

まずい。

そう思って剣を三つ合わせて大盾へと変形すかさず空中へ固定し自分でも支える。

大きな衝撃の次に目の前が激しく移り変わり、次に見えた光景は天井だった。

「今のまで防ぐとは。本当にどんなスキルを持っているのでしょうか。

気になってきましたがそれはまた後日としましょう。今は彼女をかたずけるとしましょう」

すべてが遠く感じる。

ステータスを開いてみると体力はもう100と残っていなかった。

蒼のもとへサタンが向かっていたが、骨が折れているらしく体はピクリとも動かなかった。

今一度サタンは蒼へ剣を振り上げる。

しかしもう止めに行けるような力は残っていなかった。

サタンの剣がもう一度振り下ろそうとされたとき、ジャッジメントの音とは違う、

剣と剣のぶつかり合う硬質な音が響いた。

「おや?ダークネスサーペントはどうしましたか。もうやられてしまったんですか?」

「そういうことだ!」

エリシアが、サタンと蒼の間に割って入っていた。

しかし、サタンは気にも留めず虫けらを殺すかのように単純に剣を振りぬく、

だがエリシアはその剣を受け流すと反撃で返した。

サタンはすかさず飛び退くが若干のダメージを負ったようだ。

「まったく。もうちょっと楽な仕事かと思っていたが、

こうまで面倒だと気が滅入りそうですね」

「残念ながら私たちの中には優秀なのが多くてね。そう一筋縄で

は行かないぞ?」

「そのようですね。はあ、。こんなことなら、

ちゃんと配下の一人や二人は連れてくるべきでしたね。」

そんな会話も今ではぼんやりとしか聞こえない。

やっぱり勝つことなんてできなかった。

勝てるわけなかった。

でもエリシアさんも間に合った。

俺のHPはまだ減り始めていない。

このままいったらおそらく助かるだろう。

そう動かない脳みそでぼんやりと考えていた。

しかし現実はそう思い道理にはいかない。

エリシアさんが押され始めた。

いや、歯が立っていないという表現が正しいだろう。

結局何一つ成功なんてしていなかった。

こんなことならいつも道理周りに合わせて人形らしくおとなしくしていればよかったな。

そんな考えが浮かんだ。

でも時間は戻らない。

過去は変えられない。

しかし、こんなところで死ぬ気もない。

最後の力を振り絞り、闇属性魔法を発動させ、自分の姿を隠し、

自分がいるところにダミーを作る。

そして俺は立ち上がる。

体がとてつもなく痛い。

でも俺は人形だ。

すべてを『マリオネット』して、強制的に歩き始める。

そして今現状を打破できる可能性のある人物のもとに歩き出した。

一歩また一歩確実に歩いていく。

一歩ずつHPが1ずつ減っていく。

激痛が走る。

でもあきらめない。

たしかに蒼は助けたい。

憧れ殺すほど人間をやめることはできていないんだ。

だから、その人物のもとまで歩くんだ。

たどり着いたとき、その人物は、いや、周りの人たちは自失茫然。

何が起こっているのかまったくわかっていないようだった。 

目の前で人が死んだのに何も感じないほうがおかしいのか。

今はそんなことは関係ない。

その人物にだけ隠ぺいを解除する。

「立華」

「宿木!?」

「静かに。今から立華が打てる最高威力の魔法を準備してくれ」

立華綾乃

勇者である彼女ならばステータスも足りるだろう。

「どういう風の吹き回し?あなたから私に声をかけてくるなんて」

「今はそんなこと話してる暇はないだろ。

とにかく今撃てる最高威力の魔法を準備してくれ」

「私にそんなことする義理はないはずよね」

「ここで死にたいのか?」

「どうせ蒼にしか興味がないようだし私たちが殺されることはないでしょう?」

このままじゃ埒が明かない。

ちょっと『観察』してみた。

立華の声が見える。

(でもこのまま見殺しにするのは、いやね)

「見殺しにしたくないならおれの案を使うしかないだろう」

「なんで私が見殺しにしたくないとわかるの?」

あくまで白を切るか。

「どうしてそこまで拒否したがる」

「私に得がないからよ。

それに、もし外したり、倒せなかったりしたら私が狙われるのよ?」

「じゃあ俺への貸作りだ。これ文句ないだろ?」

「何でそこまで助けたいの?もしかして好きなの」

にやにやしながら聞いてくる立華に多少いらいらしつつ答える。

「俺のけがを治したいからだよ。もうHPも50しかない」

立華は深いため息をついた後、

「これは貸だからね」

と言って詠唱を始めた。

周辺一mに隠蔽魔法をかける。

詠唱が始まる。

『灯火は炎を経て太陽となり、小川は大河を経て海となり、土くれは岩を経て大地を作り、

そよ風は大風を経て嵐となる。

そして、世界を映す光よそのすべてをまとめてわが敵を撃ち滅ぼせ!』

詠唱の小節ごとに小さな光ができる。そして徐々に輝きを増し始める。

「エリシア!よけろ!」

「穿て!エレメンタルスパーク!!」

詠唱を聞いていたときは少し痛いと思ってしまったが、

威力を見た瞬間そんな考えは吹き飛んだ。

地面を抉りながら猛烈に砂煙を上げて虹x色の光の線が直進する。

エリシアさんは間一髪でよけたが、

サタンには俺の妨害魔法で直前まで何の情報も入っていない.

サタンが気づいたとき名はもう遅い。

そのまま虹色の光の線に飲み込まれる。

光の線が細くなっていき、煙が徐々に晴れる。

しかしサタンはまだそこに立っていた。

「まったくどこまで規格外なんだ!ここまで妨害されては殺すことなどできない。

ここは一旦退きましょう」

サタンはそう言って虚空に消えた。

助かった。その思いで心はいっぱいになった。

そして俺の意識はそこで暗転した。

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