第98話、リスク回避の極地『慎○勇者』こそ、真の『量子論SF』だったりして⁉

 ──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃん&お姉ちゃん、こんにちは☆


 実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ!




 ……はい。


 前回『リスク管理』に関して、『この勇者が俺TUEEEくせに慎○すぎる』──略称、『慎○勇者』の原作Web小説版やアニメ版のことを、『期待外れ』であるかのように述べたりして、当作品の原作者様、並びにファンの皆様、出版社やアニメ制作スタッフ等関係者の皆様、誠に申し訳ございませんでした!




 むしろ『慎○勇者』こそ、本作の作者が最も重要視している『リスク管理』を、真に理想的な形で実現してくださった『革新的超傑作』であることを、ここに改めて宣言させていただきます!




 どうしてこのようにいきなり意見を180度転換したかについては、作者の別作品である『わたくし、悪役令嬢ですの!』の第898話を再掲することで、具体的かつ詳細にお伝えしたいかと存じます。







『わたくし、悪役令嬢ですの!』第898話、「わたくし、『慎○勇者』こそ真の『量子論SF』だと思いますの⁉」




ちょい悪令嬢「──はい、各動画サイト様で絶賛配信中の傑作アニメをご紹介する当【座談会】ですが、今回は『この勇者が俺TUEEEくせに慎○すぎる』──略して、『慎○勇者』について語りたいかと思います!」




メリーさん太「……今回も冒頭のっけから飛ばしているな? ──しかしそれにしても、『慎○勇者』だと?」




ちょい悪令嬢「おや、メリーさん、『慎○勇者』について、何かご不満でも?」


メリーさん太「もちろん『慎○勇者』はWeb小説全体においても、(特に第1部は)不朽の名作と思うし、不満なんか有りはしないけど──」


ちょい悪令嬢「けど?」


メリーさん太「何で今更『慎○勇者』なんだよ? アニメ版はもちろん原作のWeb小説版も(特に一部に関しては)、とっくに視聴&読破済みで、確か本作においても何度か考証を行っているはずなのに、どうして今回改めて取り上げることにしたんだ?」




ちょい悪令嬢「──それは本作の作者にとっての『慎○勇者』が、ある意味『期待外れ』であるとともに、『期待以上の超傑作』であったからです!」




メリーさん太「期待外れなのに期待以上でもあったって、何だそりゃ⁉」




ちょい悪令嬢「そもそも本作の作者が『慎○勇者』に興味を惹かれたのは、そのタイトルやあらすじに書かれたことに、尋常ならぬ『親和感シンパシー』を覚えたからなのです」


メリーさん太「タイトルやあらすじに書かれていたこと?………………『慎重』以外に、何か引っかかるようなものが有ったっけ?」


ちょい悪令嬢「いやまさにその、『慎重』なんですが?」


メリーさん太「──ほんと、今更だな⁉ いやいやいや、この作品って、『慎重』であることこそがウリなのであって、これまで一体何を見ていたわけ⁉」




ちょい悪令嬢「……実はお恥ずかしいことにも、その『慎重』というものを、これまで完全に見誤っていたのですよ」




メリーさん太「慎重を見誤る、って……」


ちょい悪令嬢「時にメリーさん、『慎重』とは一体、何でしょうね?」


メリーさん太「は? 何だよいきなり、慎重は慎重だろ? できるだけ危険な目に遭わないように、細心の注意を払いながら物事に取り組むことじゃないの?」


ちょい悪令嬢「そうです、慎重とはできるだけ前もって、『危険を回避すること』です。──さて、『危険』とは英語で何と言いましたっけ?」


メリーさん太「……『危険』の英訳って、確か『デインジャー』とか『デンジャラス』とかだろ?」


ちょい悪令嬢「他には?」


メリーさん太「他って…………ええと、『危険』の英語訳って、他にあったっけ?」


ちょい悪令嬢「例えば、『リスク』とかは、どうでしょう?」


メリーさん太「へ? リスク、って……」




ちょい悪令嬢「そうです、『慎重』とは、未来に起こり得る『リスクを回避するため』に、細心の注意を払って行動することなのです!」




メリーさん太「──おいっ、『リスク回避』と言えば、本作の作者のモットーの最たるものの一つじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、そういう意味もありまして、てっきり『慎○勇者』も『リスク回避』を作品そのものにとっての──ひいては、主人公の勇者さんにとっての『最大のテーマ』と見なして、おそらくは勇者さんにはあたかも量子コンピュータそのままな、無限の未来の可能性を予測計算シミュレーションするチートスキルが備わっていて、ありとあらゆるリスクを事前にすべて回避していくといった、『量子論SF』を隠し味にした異世界ファンタジー作品モノだと思っていたものの、」


メリーさん太「ものの?」




ちょい悪令嬢「原作のWeb小説版を読んでみたところ、単なる『ギャグ作品モノ』だったのですよ」




メリーさん太「……あー」


ちょい悪令嬢「確かにある意味『リスク回避』は行っていたものの、ストーリーの主眼はどちらかと言うと、『必要以上に慎重に振る舞う勇者を笑いの対象にする』と言った路線で、別に『量子論SF』なんて影も形も無く、普通に魔王退治を着々進めていくばかりでした」


メリーさん太「うんまあ、それって本当は、『勇者作品モノ』としては正しいんだけどね。本作の作者としては、不満だと?」


ちょい悪令嬢「不満なんて、とんでもない! むしろ『大満足』だったのです!」


メリーさん太「──一体、どっちやねん⁉」




ちょい悪令嬢「原作のWeb小説版の第1部のクライマックスにおいて、どうして主人公があれ程までに『慎重』であるかが明かされた瞬間、これまでギャグっぽくも見えた彼の行動のすべてが腑に落ちると同時に、かつて無いほどの大感動に包み込まれるという、まさしく希に見る『神展開』! いやあ、これぞWeb小説最高級の超傑作ファンタジー作品ですわ!」




メリーさん太「──またすっごく、べた褒めだな! いや、その気持ちもわかるけど! 『慎○勇者』の特に第1部は、名作中の名作だからな!」


ちょい悪令嬢「実はわたくし、すべて事情が判明した瞬間、不覚ながらも大泣きしてしまいましたよ!」


メリーさん太「いや、あそこで泣かなかったら、人間じゃないよ! …………うん、あたしは『都市伝説』だけど、ほろりときたことは白状しておこうか?」


ちょい悪令嬢「と言うわけで、『期待外れ』だったのは、本作の作者が勝手に想定した『量子論SF』についてであり、『慎○勇者』という作品が最高であるのは、心からお認めいたしますわ!」


メリーさん太「……つまり、これこそがさっきあんたが言った、『期待外れであると同時に期待以上だった』と言うことか?」




ちょい悪令嬢「いえ、違います」




メリーさん太「──違うのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「このように当作品における『慎重』の真の意味を知った本作の作者は、原作Web小説版にしろアニメ版にしろ、クライマックス以外の『慎重シーン』はあくまでも『前フリ的なギャグ』として流し見していたのですが、つい先日久方振りに各動画サイト様で行われた、全話一挙無料配信を見ていて気がついたのです」


メリーさん太「気がついたって、何に?」


ちょい悪令嬢「ネタバレになるので詳しくは申しませんが、『戦帝』というキャラが中心となったエピソードで、主人公がとても考えられないとんでもない行動をとるのですよ」


メリーさん太「とんでもない行動、って?」


ちょい悪令嬢「完全に御都合主義そのもので、『このタイミングで主人公がヒロイン救出に駆けつけられるわけが無いだろう⁉』といったものでした」


メリーさん太「──駄目じゃん⁉」


ちょい悪令嬢「ところが、この『慎○勇者』に限っては、『御都合主義が御都合主義では無くなる』のです!」


メリーさん太「は?」




ちょい悪令嬢「だってこれまで主人公は、『まさかそんなことがあり得るわけが無いじゃないか?』と言われることに対して、『いや、確かにあいつは一見人の良さそうな顔をしているが、実は魔王の手先かも知れない!』などと言った(いかにも頭のイッちゃってることを)言い続けてきたのであって、このエピソードにおいてさる人物が実は魔王の手先かも知れないと疑って、その動向を影ながら監視していても、別におかしくは無くなるのですよ!」




メリーさん太「──うおおおおっ! そういえば、まったくその通りじゃないか⁉」




ちょい悪令嬢「つまりそれまでいかにもギャグそのままにやっていたことが、すべてこのエピソードのための『前フリ』だったのです!」


メリーさん太「……言うなれば、『ギャグ』のようでいて、実はギャグでは無かったわけか」




ちょい悪令嬢「実はこれって、高等な演出技法の一つである『お約束の逆利用』そのものなのであり、別の某作品においても、武術の超天才である主人公に対して、なぜか唯一暴力ヒロインだけが(物理的な)ツッコミを入れることができるのを、いかにも『お約束ギャグ』のように描いていたのですが、ようく考えてみたら、素人の女の子が武芸の達人にツッコミ(物理)を入れたりできるはずが無く、実は彼女自身も『予知能力』を有する亡国の王族の末裔であったことが判明するのです」




メリーさん太「──何と、『暴力ヒロイン』って、予知能力者だったのか⁉」




ちょい悪令嬢「しかもこの、『常識ではあり得ないあらゆるリスク』を事前に予測計算シミュレーションすることこそ、量子コンピュータにとって『真にあるべき姿』なのであり、『慎○勇者』は本作の作者にとって当初の期待通りに、『真の量子論SF』とも呼び得る作品だったのですよ!」




メリーさん太「……ああ、これも本作において、何度も何度も言っていたよな。量子コンピュータとはけして、『望み得るたった一つの解答』を得るもの、むしろ『望まぬすべてのリスク』を事前に予測計算シミュレーションして、あらゆるパターンに対して対策を練るためにこそ活用すべきってやつか」




ちょい悪令嬢「まさしく『我が意を得たり』といった感じで、今更ながらに『慎○勇者』に対する評価が爆上がりですよ!」




メリーさん太「それもこれも、ここ最近立て続けに各動画サイト様において、全話無料配信が開始されたものだから、本作の作者も目にすることになったんだよな? どうしてこんな時期に、再配信に踏み切ったんだろう?」


ちょい悪令嬢「もしかしたら、近々『アニメ二期』が発表されたりして☆」


メリーさん太「ええっ⁉ 確かに『慎○勇者』はアニメ版も傑作だけど、第1部だけで綺麗にまとまっているんだから、続編は必要ないんじゃないのか⁉」




ちょい悪令嬢「ところがどっこい、実は第2部の舞台はまさに、勇者と女神が本編以前に魔王討伐に挑戦して失敗した世界なので、その『リベンジ』という意味でも、特に女神にとっては事実上の『生まれ故郷の救済』という意味でも、超重要な世界なのであり、アニメの二期作成が非常に期待されているのですよ!」




メリーさん太「何と、そうだったのか! 『慎○勇者』って、まだまだ見所満載だったんだ⁉」




ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、関係者の皆様、何かと本作の作者の作風との合致点も多くて大いにシンパシーを(勝手に)感じている、『慎○勇者』のアニメ版二期を、首を長くしてお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたしますわ♡」

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