第44話、飛行機械(全般)。

 ──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち、こんにちは☆


 実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ♡



 今回『転生法わたし』が扱うのは、ズバリ、『飛行機械』なの。



 ファンタジー異世界で、大空をある一定の人数以上で飛ぶ場合の乗り物の定番といえば、ドラゴンのような大型の飛翔系のモンスターか、『飛空艇』とか呼称されている飛行機械の類いになるよね?


 機械と言っても、完全に現代日本あたりの物理法則に則っているわけではなく、魔法的補助が施されていたり、ぶっちゃけエンジン部に巨大な『飛行石』が設置されていて、それを(主に浮遊するための)動力にしているのってのがほとんどだけど、ここで非常に重要な問題提起をしたいかと思います。




 実はね、飛行機械にしろモンスターにしろ、空を飛ぶための乗り物は、たとえそこがファンタジーワールドであろうとも、『物理学』というものをしっかり理解していないと、まっすぐに飛ばすことすらできず、絶対に目的地にたどり着くことは不可能なの!




 それなのにほとんどの異世界系のWeb小説の中には、物理学のぶの字も出てこないし、物理学を研究している学者なんて影も形も見えないでしょう?


 もしも飛行機械の類いを出したいんなら、ちゃんとその世界の中で、それなりに物理学が発展していることを言及しないと、絶対におかしいのにい。


 まさか魔法だけで、あんなに大きな飛空艇なんかを飛ばし続けるのは、どうしても無理があるしね。


 これは機械を用いないで、ドラゴン等のモンスターのみを、航空用の乗り物にする場合も同じなの。


 だって物理学を知らないと、目的地に向かってまっすぐ飛ぶことが不可能なのだから、乗り物が機械かモンスターかの違いは、別に問題じゃないのよ。



【空を飛ぶ乗り物に物理学が必要な理由】


・空には『道路』や『線路』がないから、空を飛ぶたびにパイロット自身が、道筋を見極めなければならない。


・魔女が空飛ぶ箒に乗ってちょっと近所に出かけるくらいならともかく、空には雲とか高山とかの遮蔽物があるから、たとえそれなりの高度をとろうが、常に目的地を目視できるわけではなく、あたかも潜水艦や宇宙船であるかのように、飛行機械に備え付けの『計器』や『レーダー』を頼りに、自分の現在位置や目的地を割り出して、しかも以下に記すような『各種の障害』を念頭に置いて、、適切な航行を行わなければならない。


・飛行機は以下の理由から、基本的には、ことになっている。


・自然的な障害としては、横風や上昇気流や下降気流等を常に考慮に入れなくてはならない。


・飛行機自体の物理的モーメントやトルク等の、物理的な各種障害も存在していて、特に昔の零戦のような機首に一つだけプロペラがついている機体なんかは、プロペラの回転方向に偏向するようになっているので、基本的にまっすぐ飛ぶことができず、何らかの是正処置を施す必要性が生ずる。



 ……とまあ、ざっと挙げただけでも、これだけの障害があり得るのだから、飛行機械を目的地までちゃんと飛ばすには、物理学に基づいた様々な工夫が必要になってくるの。



【飛行機械を目的地まで飛ばすための様々な工夫】


・飛行機に付属の、羅針盤や定針儀や水平儀や昇降計や旋回傾斜計や速度計や高度計や時計などで、上に挙げた気流等の自然的障害と、対地速度とを測定かつ比較することで、適切な航行を実現する、『計器航法』。


・地上の地形をマッピングレーダーで読み取り、地図と照会しながら航行する、『機上レーダー航法』。


・地上の基地と電波を出し合って、正確な位置を確認し合う、『電波航法』。


・上記の原始的な電波信号をレーダー等に置き換えた、『管制誘導航法』。



 ──等々が、主に第二次世界大戦の頃から使用されてきているの。



【まとめ】


 以上に述べてきたように、航空機をただ目的地にたどり着かせるためにも、いろいろな物理的知識が必要になってくるからして、異世界系Web小説によく見られるような、完全なるファンタジーワールドに、飛空艇のような飛行機械を登場させるのは、かなり無理があると言わざるを得ないのよねえ。


 よって、本作の作者が『わたくし、悪役令嬢ですの!』や『ただの正夢体質の俺が異世界の神様だと⁉【パイロット版】』等で設定しているように、異世界そのものに、現代日本からの転生者からもたらされた最新の科学技術が根付いており、古来からの魔法技術と融合を果たした、『量子魔導クォンタムマジック文化』が興隆しているとかいった、物理学が普通に活用されている、一種独特な世界観設定をすることが望ましいと思われるわ♡

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