第45話、ジェット戦闘機(真の)超入門。
──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち、こんにちは☆
実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ♡
今回『
何か最近、現代日本のインターネット上の『カクヨム』様のサイトにおいて、『ジェット機初めて物語』(※都合によりタイトルを微妙に変えております)を扱った作品?エッセイ?が、大人気を博しているというので、読んでみようと目次を開いてみたら……………………。
第一章、朝鮮戦争。
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阿呆がああああああああああああああああああああああああああっ!!!
何が、『朝鮮戦争』だ⁉ 何で、そこから始めるんだ⁉
『ジェット機事始め』とか『ジェット機開発物語』とか『初めてのジェット機航空戦』とか『初めてのジェット機エース』とか──というか、もうはっきり言って、『ジェット機という存在そのもの』について語る時、絶対外せないのは──
第二次世界大戦中の、ドイツ空軍──ルフトヴァッフェ、だろうが⁉
──何せ、ジェットエンジンやジェット機そのものはもちろん、ターボジェットエンジンもターボファンジェットエンジンもターボプロップエンジンもラムジェットエンジンもアフターバーナーも補助ロケットエンジンも後退翼機も前進翼機も三日月翼機も可変翼機もカナード翼機も無尾翼機もデルタ翼機も全翼機もスパークリティカル翼機もジェット戦闘爆撃機もジェット戦術爆撃機もジェット偵察機もジェット夜間戦闘機もジェット全天候型機も大口径機関砲も空対空ロケット弾も──等々というふうに、
現代においてもいまだ使用されている、ジェット機に関するほとんどの技術が、すでに第二次世界大戦中のドイツにおいて、実用化あるいは試作段階にあったのよ!
それなのに、第二次世界大戦中のドイツのジェット機開発や運用の実態を語らずして、何が『ジェット機初めて物語』よ⁉
朝鮮戦争のジェット航空戦なんて、第二次世界大戦末期にドイツで試作段階にあった、メッサーシュミットP1101と、フォッケウルフTa183のパクリである、F86とMiG15による、相も変わらぬ『物量攻勢のみによる能なし力押し』同士のつぶし合いじゃないの?
つうか、この二機に搭載されていた『遠心力式ターボジェットエンジン』なんて、第二次世界大戦段階ですでに時代遅れだった、無用の長物でしかなく、つまり朝鮮戦争なんて、ジェット機開発史の観点では、技術的に見るものがまったく無いんじゃないの? 相変わらずF86の主要兵器は、たった7ミリ口径の機銃しか搭載していないし。
それに引き換え、第二次世界大戦中のドイツにおいては、誰もがご存じの世界初の実用ジェット戦闘機である、メッサーシュミットMe262が、現在もあらゆるジェット機に使用されている軸流式ジェットエンジンを採用していたのを始め、空対空ロケット弾R4Mすらも実用化していたという先進性を誇っていたわ。
そんなことも知らないで(というか、知っていて無視して?)、先人の(しかも実録作品ではなく、事もあろうに)SF系の非現実的な作品や(『フライトなんとか』とか『エースなんとか』といった)ゲームなんかの知識のみに基づいて、知った風なことを言わないでちょうだい!
……すみません、ぐだぐだと長文にて、大変お目汚しをしてしまい、申し訳ございません。
一応本作の作者もWeb小説家の端くれとして、他人様の作品にケチをつけることは厳に慎んでおるのですが、この件に関しては、小説家と言うよりは一人の『ジェット戦闘機マニア』として、けして許せなかったので、このような駄文を垂れ流してしまった次第であります。ご気分を害された方がおられましたら、心よりお詫び申し上げます。
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──さあ、いい加減気を取り直して、ここからはいよいよ『本論』と参りましょう!
そもそも、私こと『転生法』──つまりは、『異世界転生を促進するための法律』と、推進機として結構高度な技術が用いられている『ジェットエンジン』とが、どう関係してくるかと申しますと、
実は、普通のプロペラ型の飛行機に使われているレシプロエンジンよりも、より高性能であるジェットエンジンのほうが、現代日本よりも科学技術が大幅に遅れているファンタジー異世界においては、あらゆる点において『ふさわしい』航空機用のエンジンと言えるからなの。
おそらくみんな誤解していると思うけど、特に航空機用のエンジンおいては、複雑な機構にすればそれだけ高性能になるというわけじゃなくて、
あえて細部をはしょって言っちゃうと、エンジンというものは燃料を燃やして、その爆発力というか熱量というかをエネルギーにして推進力を得るんだけど、当然爆発力や熱量をそのまま推進力に利用できれば、より強い効果を発揮できるものの、一般の自動車のエンジンなんかとほぼ同様のレシプロエンジンは、回転運動だけでなく、ピスト運動や過給器(いわゆるターボエンジン)の稼働のために、余計なエネルギーを費やしてしまうので、非常に非効率なエンジンでしかないの。
それに比べてジェットエンジンは、自分自身が高速で飛びながらエンジンに取り入れた空気を、軸流式(あるいは遠心式)の圧縮機で圧縮した後に、燃料を混ぜて燃やして高温化して、いわゆる『ジェット気流』を人工的に作り出して、それを推進力にするという、非常にシンプルな機構になっているから効率も良く、レシプロエンジンよりも速度性や高高度性において、遙かに優れた性能を誇っているの。
特に、究極のジェットエンジンとも言われる『ラムジェットエンジン』においては、極論すれば『ただの筒のようなもの』でしかなく、ただ単純に高速で空を飛べば、エンジンに取り込まれた空気が勝手に圧縮されてくれて、後は燃料を混ぜてジェット気流にして排出すれば良く、通常のジェットエンジンよりも圧倒的にシンプルな機構でありながら、より高性能を得ることができるという、まさしく理想的な航空機用のエンジンなの!
更には燃料事情についても、ジェットエンジンの採用は、圧倒的なメリットをもたらしてくれるの。
自動車を持っている人はようくご存じでしょうけど、レシプロエンジン等のいわゆる『ピストンエンジン』は非常にデリケートだから、最高の性能を発揮させるためには、最上級の燃料を使用しなければならないの。
自動車に興味の無い人なら、「ハイオクって何だ? ガソリンを変えるくらいで、そんなに性能が変わるのか?」とか、思ったことがお有りかと思うけど、残念ながら変わるんですよねえ、これがあ。
でもこれって、ハイオクガソリンがすごいんじゃなくて、ピストンエンジンが──つまりは、レシプロエンジンが、駄目なだけなの。
だって、レギュラーガソリンをいくら使い続けていても、本来秘められている性能をいつまでたっても出せないんじゃ、ただの『欠陥品』でしょう? 日本の自動車メーカー関係者の皆様は一度、『レギュラー』の意味を辞書で調べてみたらいかがかしら?
それに比べてジェットエンジンは、ただ単に飛行中に取り入れた空気を熱するためだけに燃料を使っているので、極論すれば『燃えれば良く』、何と第二次世界大戦中のドイツにおいては、ジェット機に『軽油』や『灯油』を用いた例もあったそうよ。
そうそう、同じく第二次世界大戦中の大日本帝国におけるエピソードの一つで、『松根油』ってあったのはご存じかしら?
書いて字のごとく、『松の根から絞り出した油』を、航空機用の燃料として利用しようとしたんだけど、良く『当時の日本の逼迫した燃料事情を揶揄する』時に使われる逸話なんだけど、ほんと、こういったところも、人の受け売りばかりで自分の脳みそで考えようとせず、『ジェットエンジンの開発史』のことも本当は何も知らない、有象無象どもは哀れよね。
そうなのよ、実はこの『松根油』って、当時旧日本軍が国を挙げて開発に取り組んでいた、ジェット自爆機──もとい、ジェット特殊攻撃機『橘花』用の燃料として、慌てて用立てようとしていたのよ。
ジェットエンジンならば、極論すれば『火を燃やすもの』=『油』だったら何でも良く、『松根油』だってもしかしたら使えたかも知れず、けして敗戦国をあざ笑い鞭打つための『笑い話』なんかではなく、むしろ反戦主義者の皆さんは、貴重なジェット機を性懲りもなく、自爆攻撃に使用しようとしていたことのほうを、糾弾すべきだと思うの。
とにかく、ここで言いたいのは何よりも、ジェットエンジンはその使用燃料においても、安上がりかついろいろと融通が利き、あまり推奨したくはないけれど、戦時中のような非常事態においては、より好ましい航空機用エンジンと言えるわけ。
……となると、とてもハイオクガソリン等の高品質な燃料を精製できるとは思えない、ファンタジー異世界においても、ジェットエンジンこそが航空機用推進機としてふさわしいことが、よくわかるでしょう?
【ファンタジーワールドならではの、ジェットエンジンの活用方法】
もちろんジェットエンジンも、いいことばかりではなく、欠点も少なからず存在しているわ。
・まず何と言っても、燃費が悪いこと。
・特にラムジェットエンジンにおいて顕著な欠点なんだけど、エンジンに空気を大量かつ高速に取り入れるためには、航空機自体が高速に飛んでいることが必要となり、すると当然離陸して高速状態になるまでは、ラムジェット以外のエンジンが必要になるという、何か『とんち話』みたいになってしまうこと。
・機構が単純であるとは言っても、何度も説明したように、エンジン内で空気を熱したり爆発させたりしなくてはならないので、非常に熱に強い材料でできた部品が必要になるが、科学技術や工業技術が大きく立ち後れている、ファンタジー異世界においては、とても実現不可能と思われること。
──なんかが、主に挙げられるわ。
これらに関しては、現代日本においては、
・燃費の悪さについては、空中給油等によって、必要なつど何らかの手段で、燃料を補給することによって、ほぼ解決しているわ。
・特にラムジェット機については、高速になるまで別の大型機の直下に吊り下げて運搬してもらったり、普通のターボジェットエンジンを追加して装備したり、ラムジェットとターボジェットの合いの子みたいなエンジンを使用したりしているといった、工夫をしているんだけど、それでも十分ではなく、現在においても本格的な実用化はなされていないの。
・エンジン内部の耐熱機構については、現代日本においては現時点では、技術的にも材料的にも問題は無いけど、やはりどう考えても、『中世ヨーロッパ』レベルと言われるファンタジー異世界において、それをそっくりそのまま再現するのは不可能でしょうね。
──では、一体どうすれば、いいのか?
そうなのです、まさしくここからが本番なのです!
──つまり、『科学技術』で立ち後れているというのなら、ファンタジー異世界ならではの、『魔法技術』で補いましょうって、わけなのよ♡
まず大前提として、ファンタジー異世界におけるジェットエンジンはすべて、より高性能で機構がシンプルな、ラムジェットエンジンこそを使用することを、全面的に推奨するわ!
・すでに現代日本においても確認されているように、ラムジェットエンジンは非常に効率がいいから、燃費に関してはまったく問題ないし。
・エンジン内部の耐熱機構についても、錬金術を使って熱に強い金属を新たに創出すればいいし、もしかしたら熱に強い魔法金属が探せばあるかも知れないし、いっそのこと魔法使いのパイロットの魔力によって、エンジン内が自動的に冷却されるようにしてもいいしね。
・『最初から高速であることが必要というとんち話』についても、要は『流入空気』が高速であればいいんだから、やはり魔法使いのパイロットが地上に駐機している状態からすでに、風魔法か何かでエンジン内に強風を吹き込ませることによって、ラムジェットを始動させて、そのまま離陸して航行していけばいいの。
──つまり、現代日本の高度な科学技術と、ファンタジー異世界の古来よりの魔法技術とが合わさってこそ、現代日本でもいまだ本格的には実用化されていない、ラムジェット機を、異世界において実用化することだって、十分可能だということなのよ。
……ほうらね、第二次世界大戦中のドイツにおけるジェット機の知識だけで、最新のラムジェットエンジンについての未解決問題すらも、見事に(Web小説家ならではに、異世界ファンタジー的に)解決できたでしょう?
──ただし、ここで肝に銘じてもらいたいのは、あくまでも科学技術のほうを
魔法の箒ぐらいならともかく、軍用機などといった鉄の塊を、魔法だけで動かすなんて、非効率すぎるでしょう?
武器等の兵装についてもそうで、何も『魔法ビーム』なんか出せなくても、普通の機関砲や対空ミサイルで十分よ。
そう、基本的には現代日本レベルの軍用機を、そのまま飛ばせれば十分なのであり、もし戦争状態になった場合も、敵の飛空艇やドラゴンといった航空兵力を、速度や武装において圧倒して、制空権を完全に掌握して、戦争自体を優位に進めることができるでしょう。
魔法でまかなうべきは、赤外線とかに反応する『追尾ミサイル』の特殊な挙動を、科学技術ではなく魔法で実現するといったところくらいかしら?
とにかくここまで読んでもらえば、科学技術と魔法技術との
まさに『
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