第42話、ホワイトデー。

 ──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち、こんにちは☆


 前回、作者による露骨なテコ入れにより、急遽『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』というキャラ付けがなされた、『転生法』だよ♡


 今回『転生法わたし』が扱うのは、ズバリ、『ホワイトデー』なの!


 ──ああっ、ダメダメ、お兄ちゃんたち、ブラバしないで!


 今回は、もしもこれから先異世界に転生した暁には、たとえ現代日本では『非モテの極み』を全うしたお兄ちゃんたちでも、すごく役に立つ話をするんだから!


 ……え? 「ホワイトデーは、3月14日の昨日で済んでいるだろう」ですって?


 大丈夫、ヴァレンタインデーとは違って、ホワイトデーの日付なんかにこだわる人なんて、そんなにいないって!



 ……でもねえ、そんなふうにヴァレンタインデーばかりが注目されていて、いまいち忘れられがちなホワイトデーなんだけど、ドラマチックな異世界生活を送るに当たって、非常に役立つ演出道具だったりするのよ?



 ──実を言うとね、これって、現実世界においても、そうなの。



 ヴァレンタインデーが、恋人たちがただ単純にイチャイチャしたり、最近はパワハラやセクハラ扱いされ始めた、義理チョコが飛び交うだけだけど、ホワイトデーのほうでこそ、絶妙なる『男と女の駆け引き』が展開されたりしているのよ?


 それというのもね、本当にモテて、しかも男性の扱いがうまい女性にとっては、ヴァレンタインデーは単なる『エサまき』でしかなく、むしろ本番はホワイトデーのほうなの。


 つまり、彼女たちにとって重要なのはあくまでも、ホワイトデーにおける男性からの『お返し』の中身なわけ。


 例えば、たかがチョコレートごときをエサにしつつ、目の玉が飛び出すような高級品を貢がせたり、あわよくば意中の才色兼備の青年実業家あたりから、婚約指輪をせしめたりして、現在つき合っている男の『度量』を測るとともに、自分自身の女としての『価値』を再確認することができる、大切な日なの。


 このことをわきまえているだけで、男性サイドのほうも、ホワイトデーを存分に、『男と女の駆け引き』のために利用できるようになるわよ♡


 ……え? そもそもヴァレンタインデーにチョコレートをもらう当てがないから、ホワイトデーなんて関係ないですって?


 あはは、『転生法わたし』だって、冴えないお兄ちゃんたちの『今生』なんて、期待していないよ。



 だって『転生法わたし』はあくまでも、異世界転生における『指南書ルールブック』なんですもの、真の勝負は、『異世界に転生してから』に決まっているじゃない。



 何せ使いようによっては、ホワイトデーのほうは、男性のほうが能動的に、女性への告白において活用できるのですからね。



【具体例】


 例えば、こんなふうに活用してみればいいの。


 いまだ現代日本からホワイトデーどころかヴァレンタインデーすらも伝わっていない、異世界の片田舎の宿屋とかに、一週間程度滞在した後で、日付は別に3月14日にこだわる必要は無いから適当な日に、たまたまそこで働いていた超絶美少女の現地人に向かって、「実は今日は俺の故郷の現代日本では、『ホワイトデー』という催しが行われていて、男性が意中の女性に愛を込めて贈り物をすることになっているんだ、だからこれを受け取ってくれ」とか何とか適当なことを言いながら、これまでの冒険において、チートスキルや現代日本人ならではの特殊な知識によって手に入れることができた、異世界人にとっては貴重な品物をプレゼントして、まんまとオトしたりしてね♡


 ──え、「そんなにうまく行くはずはないだろ」ですって?


 あ、ごめーん、大事なことを言うのを忘れてた。


 現代日本の転生希望の、もう後のないお兄ちゃんたち、(逝く)準備はいい?


 せーのー、




「──ただし、イケメンに限る!!!」




 ということを、お忘れなくね♡







 ……まあ、冗談(?)はさておいて、


転生法わたし』が言いたいのはつまり、ホワイトデーでもヴァレンタインデーでもクリスマスでも、せっかく基本的にそういったものが存在しない異世界に行けたんなら、現代日本人における認識そのままではなく、その場の状況に応じて、自分の都合のいいように、適当に曲解して最大限に活用しましょうってことなのよ♡


 そしてそのためには、ヴァレンタインデーよりむしろホワイトデーのほうがいろいろと利用しやすいから、『非モテの天敵イベント』として毛嫌いすることなく、現代日本にいる時からいろいろと妄想──もとい、構想しておいて、望み叶って異世界に転生した暁には、存分に役立てていってね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る