第33話、レベル制。
我が『転生法』においては、『レベル制』の存在を、いかなる意味でも認めないこととする。
○理由、一言で言って、「ゲームのために作られた制度であって、現実世界にはそぐわない」からである。
・作り物のゲームのキャラならともかく、生きている人間をレベルで区別すること自体が、まず理解不能である。
・その結果、無用な差別や争いを生み、社会全体に計り知れない悪影響を及ぼしかねない。
・レベルを数値化する際の計算方法が、まったくもって根拠不明。
・そもそも、その人物の『真の意味でのレベル』──あえて綺麗な言葉を使わせてもらえば、『品格』というものは、数字なんかでは推し量れるものではない。
・こんな「一体誰のために設けられているのか不明」な制度があったところで、『転生法』における最大の目的である、現代日本からの異世界転生希望者の促進に、何かしらの効果が認められるとは思えない。
・むしろ低レベルからスタートしなければならないことを億劫がり、転生希望者が減少する畏れすらある。
・結局これはすべて、ゲーム脳と偏差値礼賛主義の元に生まれ育ってきた、Web作家によって作成された異世界転生系の作品における、最も顕著なる弊害の一つであり、現実の異世界に適用することなぞ、百害あって一利無しである。
○問題点、最大の問題は、レベル制自体が、レベル制を否定していることである。
・レベル制を導入している現代日本の異世界系のWeb小説では、特に主人公が低レベルの時点において、ほぼ例外なく、自分よりも圧倒的にレベルが上の敵に勝つことになっている。
・結局、レベル制なんてものは、とにかく主役の『俺TUEEE』を演出するために存在している、ダミー的制度でしかないのだ。
・つまりレベル制は、最初から否定されることを前提に、設けられているようなものなのである。
・もしそうであれば、誰がそんな
──以上に述べた諸々の点に基づいて、『レベル制』について、『転生法』においては、存在自体を無価値なものと見なし、いかなる異世界においても、その適用を認めないものとする。
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