第30話、第666条【秘匿条項】『××転生』。
全異世界的宗教組織『聖レーン転生教団』総本山、聖都『ユニセクス』、教皇庁地下最深部『
専属研究員の他、一握りの上層部の者以外には、その存在すら秘匿された、教団における極秘中の極秘の研究機関。
まさしく現在ここでは、宗教組織にあるまじき、『神の領分』を侵す禁呪実験が行われていた。
『──検体番号126番、現代日本からの異世界転生反応、確認!』
『──駄目です! 依然生命反応、ありません!』
『──電気ショックを与えてみろ!』
『──これ以上は、検体が耐えきれません!』
『──やはり×細胞が、一定以上死滅している検体では、いくら転生者の×をインストールしても無駄なのか……』
『──もっと新鮮な、屍×はないのか⁉』
『──おいっ、「×体」と言うな、「検体」と呼べ!』
『──これ以上、転生者の
『──この実験で、異世界転生希望者が激減しては、本末転倒じゃないのか⁉』
『──わかっている、しかし今更実験をやめるわけにはいかん!』
『──左様、何せ「×人の蘇×」は、「不老不死」と並んで、我々人類にとって最大の悲願だからな』
『──しかし、皮肉なものですな。市井において、異世界転生を利用しての「×人の蘇×」を絶対的に禁止して、違反者は「異端者」として極刑に処している、我々聖レーン転生教団の研究所が、こうして密かに「×人の蘇×」の実験を行っているとはね』
『──「×人の蘇×」が実現すれば、当然金になりますからなあ』
『──場合によれば、国の内外を問わず、権力者に恩も売れますしね』
『──一般に「×人の蘇×」を禁じているのも、倫理的理由ではなく、案外、莫大な利益を教団で独占するためだったりしてね』
『──おいっ、無駄口は大概にしろ! こんな話、上層部に知られたら、それこそ「異端認定」をされて、闇から闇に葬られるぞ⁉』
『──とにかく俺たちは、どんなに無駄に過ぎず馬鹿馬鹿しいと思っていても、上層部から中止命令が出るまでは、ただ言われるままに実験を続けるしかないのだ!』
『……そして、実験成功の暁には、俺たち全員、口封じのために××されたりしてな』
『……あり得るな?』
『……とほほ、その時までに、この「×人の蘇×」の禁呪が、完成していればいいんだけどな』
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