第3話 転生・3

初めて聴く、人間の声。


柔らかい、女性の声。つか日本語だし。ここ日本語通じんのかよ。


振り返ってみると、そこには。


肩まで伸びた柔らかそうな金髪。鮮やかな青い瞳。端正な顔立ち。推定年齢16、7くらい。


可愛い女の子が立っていた。


「えっと…」


「君はここで何をしている。」


女の子は再度聞いてきた。


やっぱ日本語じゃん。ここの公用語日本語なの?


「えーっと、君こそ、何をしてるんだ?」


俺は何にも答えられないから、質問返しした。


女の子は少し考えて、


「探索している。」


と答えた。探索って…この何にもない草原で?


「探索…って、なにか探してるとか?」


「…最近、ここら辺で異常な魔力を感知した。その原因を探っている。」


女の子は淡々と答えた。見た目はめっちゃ可愛いのに、反応は可愛くねーな。


っていうか、異常な魔力…?なんか強い魔物でもいんのか?


すると女の子は突然、俺を指差した。


「…!?」


「君から、異常な魔力を感じる。君が原因か。」


…は?俺?


てかまてまて、魔力ってなんだよ。俺この世界きてからまだ数日しか経ってないんだぞ。


って、そんなことこいつにいってもわかんないかぁ…


「あー…あのさ、一度、君の名前を教えてくれない?」


「その前に自分が名乗るのが礼儀だろう。」


くっそ、かわいくねーな。


名前かぁ…前世の名前でいっか。ここ日本語通じるなら、発音しやすいだろうし。


「俺はカケル。よろしく。」


「…私はラウラ。」


あ、意外と外国名だった。俺もかっこいい名前にすりゃよかったな。まあいっか。


「それで…俺から異常な魔力を感じるって?」


「…自分で気づいてないの?」


気づいてないも何も、ここに来てまだ日が浅いんだって…


「…あの、さ。こんなこと言って信じてもらえないと思うけど…俺、別世界から来たんだ。」


「別世界…?じゃあ君はこの世界の者ではないのか。」


「そうそう。」


あれ?意外とわかってくれてる?


「…わかってくれた?」


「…それは信じてもいいのか?」


「そりゃもちろん!」


「…わかった。信じよう。」


あら、あっさり。物分かりいいねー。


「なら君は、どうやって魔法を発動させていた?」


「あー、それがわかんないんだよね。適当に頭の中で念じたら、いきなり出てきた。」


そう言うと、ラウラは驚愕した。え、そんなに驚くこと?


「無詠唱だと…!?」


「む、無詠唱?」


「…魔法は呪文を唱えないと発動しない。それなのに君は…」


え、まじか。あれ意外とすごかったのか。


「やはり君は…」


ラウラは俺を見て、なにかを確信したかのように頷いた。


「カケル。今から、私とともに、“ラメスト王国”に来てくれないか?」




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俺の魔王討伐ライフ 柊 紅蓮 @0005-guren

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