第2話 転生・2
ん?唸り声?
そう思って振り返ってみたら、そこには。
大型犬と同じくらいの大きさがある、狼だった。
「でか…」
この世界に来て初めての言葉がそれでいいのか。つかここって日本語通じんのかな。
って、そんなこと思ってる場合じゃねぇ!
「グルルルル…」
むっちゃ唸ってる…ど、どうしよう…
狼は、今にも飛びかかってきそうな形相だ。
でも俺には戦える手段がない。つかなんでこんな草原に狼がいるんだよ。普通狼って森とかにいるもんだろ。
…そういやここって異世界なんだよな?もし、俺の知ってる異世界と同じ感じなら…魔法使えんじゃね?杖ないけど。
試してみる価値あるかもな…
てか魔法ってどうやって使うんだろう。なんか呪文とかいんのかな?
なんて、呑気に考えてたら。
「ガウッ!!!」
いきなり飛びかかってきた。やべぇ!!
あーもーどうにでもなれ!!
炎出ろ…炎出ろ…
そう念じながら、俺は手を狼の方に突き出した。
その瞬間。
それはもう、呆れるほど大きな火柱が狼を包み込んだ。
「ギャァァァァァァァ」
悲痛な叫び声をあげながら、狼は炎の中に消えていった。
火柱も大きな音を立てながら、ゆっくりと消えていった。
「すげぇ…」
まさか、こんなに大きな炎が出るとは思わなかった。
そして草原は、火柱があったところだけ見事に焦げていた。
なんか、ミステリーサークルみたい。そんなに綺麗じゃないけど。
つかこんな簡単に炎出せるんだ。便利ー。
俺、本当に転生して異世界に来たんだ。
この世界にはさっきの狼みたいな感じで、魔物がいるんだな。
ゲームみたいな世界だなぁ…
俺はこの世界について少し学んだ後、ようやく人探しに向けて歩き出した。
♢♢♢
この数日間、たくさんいろんな魔物にあった。
そしていろんな魔法を使った。
でっかい馬みたいなやつや、巨大蜂、小さな恐竜などなど…
つかなんで草原に恐竜いんだよ。馬とかはまだわかるけどさ。
魔法も、なかなかすごかった。
水出そうと思ったらでっかい水柱上がるし、風起こそうと思ったら、竜巻になるし。
ちょっと威力落として風起こそうと思ったら、かまいたちみたいなのでるし。
もう意味わからん。
ていうか、この草原広すぎだろ。どこまで続いてんだよ。
ざぁっと草が音を立てる。
そして、この数日間で初めて気づいたのが、自分の服装についてである。
全く気にしてなかったけど、俺はちゃんと服を着ていた。それもそうか。
真っ白なシャツに、カーキ色のズボン。一応袋みたいなのも持っていた。
なので俺は、その中にいろいろ戦利品を入れていた。
最近やっと制御できるようになった風魔法で倒した、牛みたいなやつの肉(焼いたやつ)を袋の中から取り出し、口にした。
あいにく、水入れは作ってないので、水だけは現地調達となった。
わりと草原生活も充実していき、楽しくなってきた頃。
やっと見つけた。
「あった…建物だ…」
うっすらと遠くに見えるのは、城のような形状の建物。
やっと人に会える。
すこしワクワクしながら、肉を袋に片付けていると。
「ここで何をしている。」
ここに来て、初めて人間の声を聞いた。
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