終末(体験版) 【その3】
---録音再開---
その後は暇さえあればやってました。ええ。
いやあ、本当に。すごい面白いんですよ。毎回終末の原因が違うんですよね。
大地震が起こったりとか、疫病が蔓延したりとか。あっ、あと核戦争もありましたね。
宇宙人が攻めてきたー、とか。ゾンビが沸いたー、みたいなファンタジーなのもありましたよ。
正直、大体はゲームオーバーになるんですけど時折うまくいくことがあって。そうですね。クリアですね。ゲームクリア。
疫病を治すワクチンが発見された、みたいな僕が関係ないところでクリアになったってのもあるんですけど、必死にサバイバルして生き残れたってのもありましたね。あの時は本当に興奮しましたよ。
あなたにもやってもらいたかったなあ。
ああ、そうそう。言い忘れてた。
ゲーム内で何日経ったとしても、現実世界で目が覚めると大体5,6分くらいしか経ってないんです。
お陰様でほんの空いた隙間で楽しめるんで、最高でしたよ。学校の休み時間にもやってましたね。
そうそう、学校でやった時凄かったんですよ。僕のクラスだと窓から校門が見えるんですけど・・・
---一部省略---
ん、ああ。ごめんなさい話が反れましたよね。すいません。
えっと、で。ある日偶然ゲーム屋のオジサンと商店街で会ったんですよ。はい。
オジサンの方から話しかけてきて。
「お兄さん久しぶり。最近顔出さないじゃないか」って感じでしたね。
で、僕も「はい、すいません。あの終末ってゲームが楽しくって」って返したんですよね。
そしたらオジサンが「どこまでやった?」って聞くんですよ。はい。
多分残りプレイ回数のことを言ってんじゃないかなと思ったんですけど、正直残り何回かあまり覚えてなかったんで、
「えーっと、覚えてないですけど、あと一桁なのは覚えてますよ」って。言ったんです。
そしたらオジサン、いつものニコニコ笑ってる顔が更にいい笑顔になって。こう言ったんですよ。
「ちょっと店まで来てもらえるかな?」って。
僕も「ん?何で?」って思ったんですけど、まあ予定も無いし、オジサンについていったんです。
店に着いたんですけど、オジサンは別にレジに座るわけでもなく、そのまま事務所・・・というか自宅に繋がってるドア開けて、そのまま小さい和室に案内されたんですよ。ええ。多分自室とかじゃないかな。
あ、はい。そうですね。「変だな」とは思いましたけど。「もしかして終末の新しいカセットもらえたりするのかな」とか、そんなこと考えてました。
で、言われるままに座布団に座って。ちょうど僕とあなたみたいな感じで対面に座った感じになったんですね。はい。そしたらオジサンが突然、
「お兄さんはパラレルワールドって知ってるかい?」
って。そう言ったんです。ええ。本当に突然でした。はい。顔は相変わらずニコニコしてました。
---録音一時停止---
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます