終末(体験版) 【その2】
---録音再開---
ふう、あ、ゲーム開始するところからでしたっけ。でしたよね。ええ。
で、終末のカセットを差して電源入れたらタイトル画面が出たんですよ。
画面の半分くらいに「週末(体験版)」ってドーン、って出て。まあ、ゴシック体がドットでちょっと荒くなってましたけど。
その下に「あと 47 かい」って文字と「PRESS START」って書いてました。BGMもチープな8bitの音でしたね。テッテレーテー、みたいな。
ああ、そうですね。特に気にしませんでした。中古だし、オジサンが「面白いよ」って言ってたから「何回かやったのかな、体験版だしこれはあと47回プレイできるのか」って思ったくらいです。「47回ってキリ悪いな」とかは思ってないですね。はい。まあ、「多いな」とは思いましたけど。
えっと、それでSTARTボタンを押したんですけど、そこでゲームがブチッ、って切れたんですよ。ええ、電源が。
あれっ、って思って何度か電源をオンオフしたんですけど反応なくて。5,6回オンオフした後座布団にゲーム機ごと投げ捨てました。
え?ああ、別に腹立ったってことはないです。安い無名のゲームなら無いことも無いですし、別にゲーム機壊れても何個かスペアありますからね。
いや、そこは別にどうでもいいんですよ。ここからなんですよ。
マジかよー、って思ってた時、付けっぱなしだったテレビで急に速報が流れたんですね。
バラエティとかでよく見る中年のアナウンサーが
「ただいま地球に超巨大隕石が猛接近しています!あと三十分で墜落予定です!」
みたいな感じで。
いやー、あの時は焦りましたね。アナウンサーの焦りようもそうですし、外はざわざわし始めますし、なんか聞いたことないサイレンの音が鳴りますし。
えー!どうしようどうしよう!とは思ったんですけど。ああいう時って時がたつの早いんですよね。あっという間に30分経って。
外が一瞬ピカッって光ったと思ったら真っ白な光に包まれて。
そこで目が覚めました。いや、覚めたっていうのも変な表現ですね。でも「覚めた」って感じでした。
僕は部屋で寝転がってて、ゲーム機が横で音楽鳴らしてました。
慌てて画面見てみたら黒い背景に「GAME OVER」って文字が点滅してました。音楽もなんか
そこでなんとなく察しましたね。
ああ、このゲームって「終末」ってゲームの「体験版」じゃあなくって、
「終末」を「体験」するゲームなんだなって。ええ。不思議なんですけど。
---録音一時停止---
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