厄災
世界を巻き込んだ大戦からおよそ15年、世界中が再度きな臭い気配を漂わせつつあったその日、大洋上に浮かぶ大陸で災厄は突然始まったという。
大陸中央部の秘境から突如飛び出したのは、それまで神話の世界のものと信じられていた龍という存在であった。その種類は多様であり、地上を走ることに特化したものから空を自由に飛ぶもの、大きさも人より少々大きいサイズのものから、クジラを超える巨体を持つものまでいる。
いずれも共通するのは、他の生物への攻撃性。当然、人に対しても例外はなく、大陸の都市はひと月待たずして壊滅した。龍が海には進出しなかったのは幸いであり、龍の襲撃を生き延びた人々は海路により周辺諸国へ逃げることができた。
ともあれ、人類は龍という共通の敵への対処を求められ、戦争間近の気配は遠ざかり、共同での大陸奪還作戦が考案された。作戦の中核は、大陸国家と同盟関係にあったアルビオン帝国と、世界の軍事力の雄であるゲオルギウス合衆国。それに、その他の諸国からなる連合部隊であった。
作戦開始から半年あまり、その間に上陸作戦が決行され、少なからぬ被害を出しながらも人類の橋頭保を築くことに成功していた。龍を駆逐した半島には港や滑走路を備えた基地が整備され、進行拠点が整ったことで、部隊は人類の領域を取り戻すべく、再び攻勢を開始した。
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