「 息は切れ、次の状態へ」幽玄と言う戦略の中の水分の有限を超えて

 第三節


 『護符について』


 レベル2対策の微妙な所は、見えた人と見えない人がいる所。そして、姿形が異なる事、目視条件が完全に異なってしまう事だ。レベルワンから、幽霊は殺傷力を持つ。禁止した状態という意味だ。対策を講じ実行する。主に禁止事項を守らせる。これは、外側の論理だ。未満の間は危険領域では無く眠っている形となる。環境や条件が整う事が、殺傷力向上の鍵となる。レベルを下げる。これを、可能としたのがカリバーンや、怪しい武器達で有り、通常白い目で見られる物達でもある。お守りや護符は何度も頭に去来した事が有るが、独特のストレスから人間が中身を取り出など、ありがたさの部分を解除し、食べてしまう。有るだけでムカつくかのような、そう言う対策を幽霊側は常々与えて来る。禁止されているのは持ち込みもそう。確かに、心理戦での逃げ場に護符やお守りは成る。



 高回転系の幽霊の攻撃は続き、痛みは、全体にバラけさせることで身体は動く状態を維持している。サンドバックを蹴って動かなくなり、それが痛みだけなら蹴った脚は痛いが練習は成功した方だと言えるだろう。蓄積と弱気と安心感が動かない状態を誘発する。これは強制力を持つ物だ。試合中はあと何分動くと言った、今、とてもかっこいい状態だ。こちら三発位のヒットに対して、向こうはガードの上でも視界がぐらつく様に衝撃波の様な打撃を加えて来る事も有る。技術系がもう、違い、武器術に相当する。極めて厳しいが徒手空拳寄り遥かにましだ。初日なら四体倒せたのではないかと言う感じで、堂々と足元を固め、相手のローキックをいなすという、習って無い荒業が駆使されている。先手先手を取り距離を離す黒い鉄棒を横目に、膠着させる為の戦いが続く。しかし、視界情報に対し怖さからか圧力をかけれず、集中力を欠いた状態だ。

「はっ」とかバカな呼吸法を知らないのがバカな所だ。四・五次元での情報だ。仕留めるか、落とすか。『死』型が落ちると言う事はほぼ無い。筋力はスタミナと共に振りが重くなり、威力が弱くなってきている。減衰した威力はそろそろ投げ技に移行する事が出来る。『傷』型が現実には笑い出した。能面の美貌は暗闇の中で蒼く発光すると言う特性を持って、強烈な依存心を生む。今までのを無理矢理変えるのだ。それが出来無ければ死を生む。それは自分の体をい払ってだ。未だ、我が国日本では火葬が行われている。

 これも蒼き炎の火葬を思い付くと特にであるが事実は強く死を強烈に連想させる。

 そう、身体が焼けて来ているような錯覚に陥るのだ。中央の人間は特にそう。今までのこれまた強烈な個性を捨て、矯正された人間に成り代わっている。時間限定だが厳しいものだ。ストレスと言うやつはエゴと言うもので自由だった頃へと自己不満というか独特の攻撃型を持って襲い掛かり、呼吸が奪われていると特に自殺行為へと走ってしまう。簡単に言うと今でなくていいのが、幽霊側の事実であり、死へのルートは実に多岐に渡る。

 楽な、『病』型は見えない。『死』型一体を中央部に押し付けて済まない。あとは全て『傷』型だ。うすら笑いを浮かべている。ケタケタケタケタと、いう音声が圧倒的に攻撃力を上げる。今は懐かしい『病』型は威力を振りかざす対象だった。向こうには左側にはベンチ待ちの様に『死』型をリーダーとし、『病』型が何体もいる。一体何体いるんだ。風来玲央の思考だ。

 逃げれば、即座に交代要員がカバーに入る。危険領域に入ったならやはり、交代要員がカバーに入る。

「学習は終えた」

『傷』型が笑った理由だ。『死』型の声がした。勿論、囚人に取っては意味が分からない。口呼吸のし過ぎで声が塞がれた様な状態だ。凍える様な恐怖は身体を刺し抜け無い。突破口が欲しい。時間等、コントウ頭に無かった。抵抗感は、塊となり突破口を拓く事を完全に塞がれた。勝利と言うものは防がれた状態であり、「まだ、奪えて無い。動くよ、ああ」これが、テゴシの脳内だ。交替無く高機動の戦いは続く。いちいち細かい事は覚えてられない。それを言ったら感情的な人間になった気がする。三人の共通点だ。

「まだか」一打が、そろそろ終われという命令に変わる。中央部の右足前の人間は思う。怒りを奮い立たせようにも精神が物理に変換した様な物理干渉が激しい。そう言う状態だ。汗もまた敵だ。脱水症状は頭脳である頭痛に直接響く。そろそろ、無自覚に潜行していた“それ”がやって来る。

「トイレって行けたっけ?」

「人に頼めば何故か」 

 中央部の人間の問いに対し、テゴシが答える。囚人達のツナギは襟が立ち、コーティングのせいも有り丈夫な上に固い素材と化している。

「飲料奪取でゴーだぞ」

 左頬の傷の男は笑って言った。柔道着の固い部分の上着で出来ている気がし、それは夏でも着れる。それが、囚人達が着ているツナギだ。印象上は、掴み難く破れにくい。実際は掴みやすいが、それがケンカを防いでいる。物理インフラと言うやつだ。下着に関しては文句は言えない。武器を扱え、先のここに来るまでの移動の様にコンシールドキャリーと言うほどではないが、中央の人間が行った様に、武器を隠す事が出来る。それは昔から老若男女問わず下着を用いられる。名前を名乗らない彼はまた、タクティクスだろうと推定される。不用意なビビりは顔の傷の様に、笑顔でも精神に圧迫感では無く鋭い傷跡を残す。

 これらが、足を引っ張る行為となり、不用意に彼は幽霊に身を提供してしまう事になる。全体の足も引っ張るのはこれも、憑依から死へと全滅を意味する。3000人以上の死者を出す事に付いて人間の知力が及ばないと言う事は無いのが通常だ。係の人間の仕事を信じると言う行為が、幽霊の影響をレベル2以下に下げる。それは例え、信じる行為が形だけでも起こる。地形上、そもそも不利ではある。システムを知らないと言う事を囚人の言葉は語っている。

 視界がうすぼんやりして来ているのが事実、意志力は思ったより身体を明確にコントロールする。

「十体の幽霊ですが。現実的にはどうすれば」

「不利だが、ああ。ほぼ不可だ」

 一番見える風来が答え、要望を出した左頬傷の男が答える。実際には左手でアイアンクローをかければ、掴み上げられ綺麗な柔道技を仕掛けられ無ければ、右手のナイフが襲いかかる。アイアンクローは有効打だが、同時に強烈な憑依への危険を伴う。頭は小さくスタイルは良い。これもまた、グッサリと刺さる人間には刺さり、他人との比較や罵倒を旨として生きて来た人間にとっては、死に到る階段の一つだ。人格障害と言う因子全てにおいて問題が無いようにしなければ、死に到る。そういう環境だ。条件設定を付ける最悪クラスのスイッチを、正確が豹変するそれまでのパブリックを打ち破る心の部分を中国の様に老獪さと狡猾さで持って幽霊は利用、あっさりと死へと誘われる。

「時間が見えないんですが。時間制限のカウンター考えた人間って知ってます?あれって、ナイフを順手で持ってI国のマフィア流だったらしいですよ」

「参考にする。ありがとう」

「あ、ああ。すいません」

 左頬の傷の男が言い、テゴシ、風来の順で答える。反応に近い。体力はもうそんな状態だ。損傷していると言っても過言ではない肉体の状態だ。筋繊維を初め、ズタズタでは無い程度に、ノーミスの空気が支配したヒト側の状態だ。

 大型に近いカランビットのナイフは、本来軌跡を鋭く描く。照明の下ではそうだが、幽霊の照明の元だと幽霊の味方の様な気がしてくる。風来はそんな錯覚に支配されて来た。テゴシはもう、とっくにそんな状態だ。ヒットアンドアウェイを続ける幽霊に対し、一発も当たらないのは、高速かつ、プロとアマチュアの試合の様に当然である。しかし、振り払わなければなら無い。抵抗は霊に対して振り払うと言う、一種の絶望感が漂う抵抗行動を続ける。レベル3だからこれが違う。しかし、圧倒的に殺傷力が違う。幽霊は監視、思考を辿り、利用して体内に侵入するように憑依する。「話す」というのは、心の傷が付かない等高等テクニックを要する。つまり、会話だけで、身体が動かなくなるような状態に追い込む事はほぼ不可能である。

 対策を立てれば分かるように誘われるようにと言うのは、より能動的アクションなので、触れる必要がある。サワレル必要と言うやつで、一方的な戦力は「障れる」と言う感じの状態であり、未知の領域は人類は必ずと言っていいほど全滅の姿を呈して来た。歴史の大体は例え、愚かさが支配していなくともこうであり、代償として死が支配する。成功者は勇者として栄光と名誉を手に入れる。現場や現状はどれだけうす汚くともという感じであっても、こう感じるのは幽霊レベル3が当然となったからであり、とにかくコンパクトにまとめなければならない。囚人達全員を支配する空気はこれが正体、死の恐怖がこちら側に生きる本能が暴走した加速力を与え、普段出来ないエゴの無力化を可能とする。

 暴力からの屈服と敗北は死を意味する。これが、レベル3だ。両膝をついて敗北の意を示しても遅い。何も無い位にあっさりと生体エネルギーを抜かれ、死因不明の状態へ集中砲火の様な、弾速の憑依が待っている。

 脳への知覚が変わって来た。うすぼんやりとした視界は外部からの光では無く光っている。風来がこれだ。今の状態、長く続けば、死ぬ。動く事が困難から、ノーカウントと刃が襲い掛からなくなった瞬間、憑依され死に至る。抵抗は終わりを告げたのだ。その為の高速格闘戦術が延々と続き、端的に言うと身体を動かさせられている状態だ。幽霊の攻撃を直撃をもらえば死に至る有効打となる。外せば、ダメージは減り身体のモーションが多いので身体は熱を持ち、発汗する。「秋だから良い方だ」風来は明確にそう思った。

 そして、思いがけない事実が一つ、六十五歳以上の人間は絶対全員死に至る。


 ローキックに対処出来ないで来た、黒い鉄棒の男が息も絶え絶えと切り出す。

「この意味は」

「スリーパーホールドだよ。一番怖いのでね」

 質問にテゴシが答える。殺人鬼と呼ばれても風来にはセーフだ。なぜなら彼は、本気で「冤罪だ」と思い込んでいた。なるほどと、息も絶え絶えと反応を返すのに言葉を風来も返す。

「確かに、厳しいですが。対処不可能より、痛みですか。なるほど。その先はスリーパーで取り憑かれた先は、憑依ですもんね」

「経験者なのでね」

「面倒は見てもらえないと」

「まあ」

 テゴシと鉄棒の会話だ。やり取りが続く。確かに、ローキックが有効打として入り出した。即、効果が出る訳ではないが、蹴れなくなる。蹴れなくなるとは、軸足が定まらないだけで無く、痛みで動けなくなる事を意味している。前進後退が、意味も無く膠着状態の様な挙動になりそれはプロの技では無く、望まない意味の無い脳の命令に対する本来の脚部からフィジカル、呼吸器系のスペックを差す。痛みが、全てハッキングのようにつまり、ジャミングのように這い寄った黄金のイバラのように邪魔をする。まるで、魔法だ。力技なら行使可能だが、力みで固まった状態とは本来望まず、チャンスをみすみす逃しプロっぽい膠着状態を作る。手が出ない状態は、いわゆる班とされる状態だ。仕留める為の下準備と言ったところだ。四・五次元ではこうだ。「神聖魔法なんだけどね。うん」

「常人離れしたストレートは止めれ無いんですか」

 風来が主にテゴシに先輩に聞く。

「いい質問だ。ほぼ無い。刃を当てて」

「同感、武器で止めるしか」

 この弱気見たか、と言わんばかりの風来に対しテゴシ、黒い鉄棒は答える。確かにいい質問ではあり、激痛が二・五秒なら呼吸が止まらずいい方な処理だ。旧型幽霊以外は百六十から百六十五センチの規格品だ。そのような印象を与える。事実はそこら辺に統一されているらしい。バックアップが万全な幽霊の大群相手は失望から泣きそうだ。風来は痛みと敵意が弱く、喉をギリギリと痛めているので、何故だか脳の命令に従わず涙線に来た。

 脱水症状は加速する。


 脱水症状は進行する。空を裂くフックともならなくなって来た。防御は何処かで聞いた内用の整合性だ。常軌を逸した状態に合わない物は抜け落ちている。そぐわない物を寄こした連中に憎悪が沸く。状況に合うのはプロの書いた物の記憶。プロの物と囚人のもの、プロの物の方がやはり多い。風来は少なくともそう言うタイプだ。


 ステップインからロー、ハイ、ミドル等左右の蹴りを余裕で連射するようになってきた。バックステップで距離を取り、余裕の笑みを浮かべる。向こうの足で右左左の順だ。下着は、テニス用の適当に隠れるタイプか。確認させつつ、これも依存心かと風来は逆にファイトが沸く。全て対処できない。物に依っては見えなくなってくるだろう。視認できなければ、ノックアウト死の一撃だ。首をその方に向けてでも攻撃を見る。男なのに女みたいな奴に攻撃を決められ続けると言うのは心にバイスがかかった感じで挟みこまれるようだ。バイスとは罪でお前が悪いと言う意味を含む。黒い悔恨の塊が意識を狭めて来る。精神を含め圧縮された状態だ。「意識を取り戻さねば」そう思う。喉と徹底的な攻撃の攻めで女に見える奴かららの一方的な状態いわゆるワンサイドゲームは心が折れて泣きそうだ。事実を認めないと、別の命令に喰われて、その行動をしそうだ。風来の身体の状態はそのじょうたいである。ストレートを褒める事が、どうしようもない不可抗力の一撃への対策から対抗になると考えた。向こうの手が肘に当たれば確実にその周辺は動き自体が渋くなる。良くてそんなものだ。痛覚は確実に疲れを加算して行き、普通の状態の日々の中絶好調でもこの環境は両腕を下げて口を空けだらけてたであろう。そう考える。カリバーンは抵抗を命じる。人差し指だけのホールドからの残忍な一撃は使えない。カーブしたクナイくらいが普通の人の印象だろう。刃を直接持てる彼は何度か試みたが全て不発、完璧なステップにしてやられる。これはトレーニングモデルだから出来る、確実性と実戦での素早さだが、ボクサー相手の素人よりもどうしようも無い。リーチが変わり対処不可になる人間や場合やチャンスを作り出したいのが目的だ。両手で刃を持っても刀身で無いので、素早く確実に行える。ロングフックの失敗のスナップから来る切り傷の事故は起きない。それでも駄目だ。

 カリバーンに対する物とその国民の想いを別チャンネルの霊視で視るとこのナイフの形にそうなると言われている。大型のプロフェッショナル用の分類だが、銀色がここまで精神を立て直すとは思わなかった。依存する。これが武器の仕事かと騎士道を思う。隣は、十手の操法じゃ無いと対処出来ない、正義の味方を実演では無く嘘や偽善の動きでは無く実践させられている。カリバーン自体は最大クラスでは無く八十パーセント辺りの大型の辺りに存在する。かっこいいと素直に喜びたかった。正直な所、そうだ。

 水分が攻めて来た。明確に、足りない。足に力が入らないのでは無い。特に大事な時力が入るか不安だ。不安で不安で仕方なくなった辺りは意識が飛んで死んでいるだろう。憑依されて。栄養分を身体中からかき集めるかの様に集中させ無理強いして働かせ、急激な筋肉の膨張後死に至る。激痛が永遠に続くらしい。白化する意識でも戦わなければなら無い。


 衝撃が大きいキック主体になって来た。パンチは切り傷をナイフで作るかのように刺さる。カットが散見されない事から、そう言う攻撃が無いとばかり思っていたが、ここら辺はレベル3干渉ルールとしか言えない。傷は別の生き物かと思わせる。『傷』型が憑依すると不幸が続く事が思い出される。コンスタントに悪い状態が続くので、外傷を突如負ったりなど、他人のコントロール無く狙った幽霊の一撃「怨念晴らす死の一撃となる」と言う事は無い。風来は必死に最悪環境下の『死』型や死を避ける妄想をしている。口が利けたら「もうダメだ」と即座に言っていただろう。『傷』型は不幸への序曲として最も旧型が支配する中でも対策が取られたものだ。それでも、効かない病院一個を思い出すべきであり、それは、全て不幸によって死に至ったと考えられる。コンタクトを取れるなんてあり得る訳が無い。幽霊に挑もうものなら、テレビが撮影の為に対策をいくら取ろうとも、抹消されてきた事実がある。事実を己が利得の為に利用するからだ。これを嗅ぎつけられ、集中憑依で死に至る。それも、『傷』型の誘導によってだ。

 この事故が多かったので、対策は主位や周囲においてはかなりとられたであろうし、多発した事故は素人を含め冒険を含め、命知らずなので祈願や祈りの類いに含まれるだろうと推定される。『癒される』からだ。それを行うと自分が傷付けた者の面倒を見る事が癒しであるという心境が次々と吐露されるのが今のネットの状態だ。「癒されるぅ~」でいい方だ。そんな看護師が待っている。絶対に負けてはならない。乳酸という物質と戦いながら風来は時間無制限の思いと共に戦っている。上手いガードと弾きしか、考えが無く、「今のパリイング上手く行った」などと言う極めてネガティブな思考しか展開出来ない。幽霊がテレビや無謀な冒険を狙ったのは、きっと有効打を潰す為だろう。環境上恐怖に対する対策が立たない今の状態だから分かる。

 仲間や準備と言うのは、恐怖に対する対策となる。結果は良好なのは晴れの天気予報よりも明るい未来への布石だ。予定では全体的にいい結果へと導くと言う事になる。少しだけでもポイ捨てし、放り込んだ幽霊に対し責任感を感じるのが事実。そういう涙線と理解の正義の欺瞞だがクリエイションへのニーズもまた事実、コンスタントに存在する。


 時間は経つ。しかし、憑依だけは避ける。互いの連携無しだ。ある種の勝利を囚人達は収めている。


 風来はデータを思い出している。ここに来るまでの経緯では無い。ケンカ、殺人鬼との付き合いが続く、ストレスは増大する。冤罪であると言う事も向こうからすれば同じだ。風来に起きた事はいわゆる行政の処理は、窃盗と詐欺と恫喝からくる精神障害を与えたそっち系の傷害として恋愛系に有りそうなのをこってりと盛られた嫌なサービスだ。六十五歳以上と言うのは、もう老化で対応出来ない事を意味している。懲役期間中死ぬと言う意味だ。そう言う意味では利用する『入居者』はい無いが『自殺志願者』は最大限の恐怖を持って死に至る。サイレントに声を発する事も出来ず、特殊な能力を持とうとも、幽霊の用いる戦術、特殊な侵蝕型の恐怖に対し身が持たない。尻もちをつき状態はそのまま後ろに後ずさりながら手で制動をかけようと右手を伸ばしてバイバイしたかのような感じで死んでいる事例が多い。風来は気付く。「気温自体は快適でありがたい。最適なのは思考のミスが減るからか」おかれた環境を思い出す。特に、『傷』型の幽霊の影響か、コンタクトが長いと人間側は影響されてくる。コピーと戦略上の引き込みから来る、フレンドシップだ。

「大丈夫、僕らは習慣だから」

 テゴシが怖く答える。その通り、膠着が続き仕留めれない事も多々あると言う意味だ。

 幽霊が反撃して答える。『死』型が中央部に上から規則的にセンタリングしたかのように二人一人三人と幽霊たちは並んだ。蒼い尾がなびいた後、ピタッと音も無く止まる。怒りがそれほど凄まじかったのだろう。幽霊たちの動きが一瞬止まった。テゴシの眼には特に英語圏でのゴーストとのフレンドシップを切る為に見える。「闘いはまた、健闘を生む」と。何となく伝わって来る。「健闘を称えるからだ」

「答えてあげる。私達が武器を持たないのは、それを拾ったら、私達に効くから」

 バサッ、幽霊が突如消えた。

「ヒールの練習に乗ってくれてどうも。殺人鬼だよ。殺人鬼だよ。こいつら殺しちゃうよ。コイツラコロシチャウヨ。なんだよね。言うタイミングが難しい」

 テゴシの言葉が虚空に響く。

 乗った状態と言うのは、思ったよりスタミナの定義より身体が動くものだ。そして、安全だった。何より、安全性が高かった事を優先視したい。

「俺は、黒磯よろしくな」

「俺も」

 鉄棒を持った黒磯と名乗った彼と、スリーワンと呼ばれるだけあるテゴシは言った。

「こちらこそ」

 そう、風来は新人だ。みんな武器を見せポーズの替わりにしている。離すのは互いの距離で、照明が安全性を告げ、座り込み飲料の所に辿り着く。手は届き、我先にというほどヘトヘトな感で部屋へと運ばれて行く。

 和やかな殺戮の逆、殺伐とした空気から互いの力を認め合うような検討し合う状態は、抵抗力としては案外効き目が高く、憎悪の環境に持ち込み、一つでも先の傷害を爆破しスイッチを押し切りメーターの針を振り切った状態にしなければならない。互いに傷つけ合うような状態は仲違いの上の状態の不和は多量の先のスイッチを押す。フラッシュバックと言うやつを脳では無く腹部で起こさせ、ヒトでは無くさせるのが目標だ。憑依はそうすれば容易い。人格障害のスイッチさえ押せば起爆は死に繋がる。死と言う勝利へのルートは強力でもあり、幽霊達の工作に抜かりは無い。情報はその為に与える。幽霊の基本戦略はこうだ。

 認識にやや依存するので、サイボーグにも対応している。そう、考えられている。


 激痛が支配したのは安全が確認される前からでは無かったが、叫べない、うめき声すら上げれないレベルの激痛が支配した。彼は思う。初めての『傷』型について。


 病院では次々と倒されたのでは無く、見えないレベルでの憑依が続いたのだろう。弱点を探す傾向性から、メスを振り回しただろうが、消えた事から憑依があったか。最後には目視されて全員が気絶から白目寄りに倒れていた事から、恐怖への誘いか。『死』型が何処からともなく利用されるか現れ葬り去ったか。病魔を増大させるなどして人を死に追いやったか。全滅が事実、ここまでほぼ全て外れだろう。

 事実は『傷』型による不幸の増産で有る。連鎖的に死に追いやったヘラヘラ笑う癖はパズルをまるで解くかのようだ。風来はそう、経験から認識を改める。頭が良いと。

 ヘタレと言われても少々多めに風来玲央は休息を取り、恐怖からの脱却とした。行動論理による減刑についての説明を見ている。幽霊撃退件数、種類は問わ無い。幽霊退治参加、『A国製、対害制止薬物』使用による収容所内における体感経過時間稼ぎこれの三つだ。

 女子はまたルールが違う可能性が有るが、イメージが悪い。知識はイメージで有り同一の未来を引っ張って来る。嫌だと思った事が現実化するやつだ。よくやるしよく有る。幽霊撃退を効力を五だとすると、他の行動論理は参加〇~三、薬物使用は、半分の効力二・五だ。


 物を持っての、腹筋が一番身体がスムーズに動く。アマチュアでもプロの様なダッキングが可能と言うアレのトレーニングを思い出す。二・五キログラムを持ち、腹筋を五十回、薬は与えられ無いので高速で動く事を重要視する。重ささえ分かれば本の重量だ。これで、行ける。変人だがこれしか無い。それが病院の全滅を思い出させる。自由時間に彼は引き籠もるのでは無く、図書室に行く事にした。何かが起きる予感がする。こう思うが、幽霊撃退件数による減刑に代表される、行動論理における減刑の説明は、重量が分かっている最後の方の資料でもある。徹底的に早く帰る事を基軸とするので部屋で快適に過ごす等のグッズは極力控えたい。対幽霊用、部屋の掃除グッズを配給からもらう事にした。ホコリ取りの弱い粘着テープと、白い清潔な雑巾二枚だ。潔癖症を意図的に作り出す為に使われる。トレーニングはさっさと終わり、武道の本を読んだようにムーブの練習をした。視界に入ったままのダッキングと視界を思いっ切り下に落とすダッキングは基本、練習しないと話になら無い。前者はヒザを主に使い、後者は、グリップが吸いつくレベルを理想とする。そんな感じのはずだ。「確か」とこう、思うが。カリバーンは、背の部分に英字のスペルがそれっぽい魔術や魔法の気分を盛り立てるフォントで刻まれている。トレーニングモデルであるのでフロント部分まで太く、少々重量配分が違うのだが、こちらは「トレーニング モデル カリバーン」となっている。本家はそのままカリバーンだ。メーカーの名前と共に刻まれている。対してこちらはメーカーのマークだ。グリップには一応の滑りとめにと、すべすべの粗めの梨地が見た目通りの仕事をする。メーカーのエングレーブがエンブレムの形状を取っており、感謝に到る。手や皮や豆、汗など全てに対応した物だ。今は持ってないが手に取るように解る。製作においては妨害や邪魔があっただろう。執着や欲望を切る属性はそのまま産業の停滞を通常意味する。訳も無くサーチアンドデストロイを喰らっただろうと女だろうが作った奴の男気に敬意を表する。囚人だからではない。図書室の天井を見つめるとそう、思ってしまう。反省もまた有効打だと風来は信じる。

 鋭く尖っている先端部分を持つ普通はポイントと処理の名前を言うのだが。カリバーンは情け容赦無く、トレーニングモデルは先端部分は丸く円形に処理されている。これが、距離の問題を生んだ。これ位しか反省出来ない。これが今の状況だ。強いて言えばタントーだったらどうかぐらいだ。ポイントの処理の事だ。その部分のカットの事を言う。形状は性能だ。使用出来る用途が変わるからだ。人によってはメスで充分理解する。しかし、ほとんどの人は彫刻刀で理解する。「俺は不遇だったのか」改めてそう思う。

 ダッキングとは頭を振り下げ、相手のフックをかわす為の技だ。そして、それはそのままタックルへの移行を取り敢えずはスムーズにする。ストレスから三百回以上の腹筋は食事が苦行を超え顔を鈍く歪ませるので対処が必要だ。防御力型は十キログラム保持で五十回、これは、幽霊との戦略上の応相談としか言えない。前回の戦いで一度も特殊エフェクトが出無かった事が反省点だ。速攻で出鼻を挫かれた様に、有効打や全力で振り降ろし攻撃等が炸裂し無かったのがポイントだ。クラシックも図書室では聞けない。とっとと片腕立て伏せと、背筋を忘れずに行いシャドーや型の練習を行い、柔軟運動をし次に備える。部屋に籠り、ガラ空きの扉だが、風来は壁に雑巾を張り、軽度サンドバックとした。掃除を新た後の話だ。幽霊の情報は基本外側の世界での伝播を狙った物だ。重量に耐えかね、情報を喋ると善意からか頭のおかしい人間のフォーマットを踏んでしまう。再度聞いた物だと、見下された感じが死に至る。これも、腹に立つほどの傲慢な考慮の無さ、自分は珍しく善意の仕事をしたと自信を持っても、永遠のエンドが待っている。「しつこい」スタンスと話しかけ方、聞き飽きた嘘を元々付く連中、これに対する対策だ。囚人同士だとこれが、そうでも無い。話し相手にはなってくれるが、幽霊の監視が基本となる。間違えば死が待っている。間違えば帰還は無い。スタッフ側は仕事の性質上、精神と役割の分担から管理の脳が幽霊との分離を意味し、そもそも狙い易さの点では囚人の方が圧倒的に良い的だ。

 蒼いアザが治る頃にはまた、次の幽霊退治が待っている。ヒトはコントロールを失い激昂しヒトで無くなる。依存症持ちなどに多く見られる死因だ。移されると叶わないから高速帰還のスタンスを張る。コミュニケーションとはその人のコピーを含む。観察の結果、最適な結果を出す。提示した物がどうであるか、相手が決める。スタッフの状態も万全とは言い難い。完璧を提示している訳では無い。模範や規範の塊では無い。幽霊の脅威の牙が届かないだけで、仕事をそれとしている腐った連中も居る。さながらトラップの様だ。これに引っ掛かると、悲劇が待っている。喋る事がストレス抜きになるのなら、喋る事もまた楽しく、先の様なクーデターも事前に回避できるだろう。クーデターを狙った程度の暴動で鎮圧されてしまったが、目の前の人間は何もなかったように、ヒトとしての機能を停止した。新聞にはクーデターの文字が踊り俺達が利用されそうだったと推測される。その事を手紙に書き、丁寧に事をしたため次に向かう事とする。基本は来る物としては充分だ。感謝している。非常に、感謝している。荷物には特にそうだ。

 腕の限界を迎えた辺りだ。ツナギを腰辺りでまとめた格好で、赤い拳がサンドバックの存在を強調しそうな辺り変色の跡が手にまだ残る。片腕立て伏せを慣れないまま終わらせ、自由時間は拘束時間となった。部屋への移動を強制的に行わさせられる。風来玲央は格闘技を習った事が無い。それは型を変に覚えると偏向した技術から、死に到る事をまたも意味していた。「習えばいいが」と思った矢先の当たりだ。

 光だ。A国製、対害薬の使用者がいたようだ。例に従い見なくても済む枕を顔面に持って不意の移動は無いがガードする。確かに安心感がある。女子が開発した物だけある。

「呼吸の確保、トラブルからの安心感、移動などの不意の安全性、見事だ」

 思わず口にしてしまう。環境が特殊だからだ。音響も耳触りに機能している。使用者を眠らせないためだ。枕は光を通さない。この異常な環境はまたも、妙に涙を誘う。三日間、正確には七十二時間これが続く。時計が無いままだ。光と音自体には人体に兵器の様な影響は無い。つまり、悪影響は無い。自由時間が七十二時間続きトレーニングをしてもいい。勿論今このタイミングで外道転生の法を試みても構わない。確かにこいつは厄介だ。彼は左手を見て、そう思う。ポコッと何かが浮かんでいる気がする。

「それよこせー。くそっ、光め」

 捨てられた霊の嫉妬からか幽霊は、旧型が徘徊する事も無く現れた。一応はビビるが、憑依されても、他者がいなければ意味が無い。鉄格子をガシガシする音が聞こえるが、妄想かも知れない。くたばるかのような終わり方をした前回はさらに前回のフラッシュバックを生むだろう。そう考えても構わない。

「何をするんですかー」

 鏡に写すなどと思うだろうが、所詮は自問自答だ。商用だから何かへの誘導で、ヒト型式神のようにかわいいのだろう。あー、確かにそっちを詰めてもいい気がする。孤独なコンクリートよりかは事実は良く眠れてしまう。この、効果かと彼は認識を深く改め、刻み込む様に眠る。そして、寝た。男らしく風呂にも入らず、男らしさを取り戻す時だ。機能マヒとは行っても最低限のものは投入されて来る。だから、剃刀等は最終日だろう。「人に頼る事になる」彼は、トレーニングのかいも有って、眠れたが、突如あの幽霊が怖くなり、あいつは憑依についてはどうだったかと、簡素でも清潔さを保つ事にした。

 ただし、レベル2なら、姿形が見えたのでは?と暇な商用霊について思いを巡らせるが、もしかすると外道転生の法を警戒してのことだろう。基本に忠実にビカビカの中を生きれば良い。基本は寝る。監視はされているかも知れない。前の人間がいないと言うのは思ったよりくつろぎを与える。思考は辿られる事は無いはずだ。だから、フラッシュバックや分からないと言う方が正しいと彼は考えを改めた。他人の影響を受けたとすぐさま思考の転換に入る。他人である彼らのパターンで上手く行くとは限らないのが、全員共通だと気付かされる。不味いのは自分で無い事だが、先輩のバトルプルーフは参考にしてもいい。風来は考えを改める。念頭に置くべきなのは、一刻も早く家に帰る事。ただし、視界は異常な白い光で満たされており、苦しさを伴う。聞き飽きたクラシックを尚聞かされるような、そういうノイローゼの音響では無い。機械的な工事の音が頭に来る事があるが、無神経に感謝すれば良いので風来には記憶の接点は無い。つまり、記憶と連結がかかっても穴が無い。他人の場合は違う。嫌な事との連結が出来上がると「最悪」の完成となる訳だ。環境はプレッシャーをかける。精神を圧迫された状態で、ヒマなただの白と言うのは、発狂が起こり得る。確かにと思うがこれは知っていた。この対応自体はテゴシ、黒磯彼らの影響だろう。手古史だったか、殺人のアーカイブには、つまり記憶には、調べた図書室での自由時間では調べようがなかった。警察側が発表し無かった事件の可能性がある。意外と単純、意外と近所なのでここら辺のテゴシは手古史姓だ。漢字では多分こうだ。

「んなろー叫びたい」本気でこう思った。執着や欲望を切るタイプや目的と言うのは通常それを含むだけで産業の邪魔とカットを喰らうのが定石である。検閲を喰らったかのようにあからさまな妨害が正しいと形を見るだけや謎の嗅覚が認識するらしい。「ぐえー、くそっ、死ぬ。抵抗むなしく、死ぬ」枕で顔面を抑えながらこう考えた。通常カリバーンは流行る。囚人サイドでも自分の身を助けたからだ。つまり、邪な論理と言うのはそこまで良く出来ていると考えられる。不可抗力でこれも、意味無く排除され、権力の虜となるよう傷と因子を痛みと共に埋め込まれる。セオリーだ。レベル2化脅威レベルダウンのは通常奇跡であり、護身刀の意味を持つ。弱化は有効打で有り奇跡である。医療が支配したならば、病魔の中では悲劇の量産の停止なので制止すべきは量産で有り、ステータス狂のあいつらは必ず有効打になるはずなのだ。「ぐあー」光が支配した中で、これでもかと時間を潰す。そうだ、通常三日間、トレーニングをしてもいいと突如データを洗い直し考えを改める。風来は弱くなった、やや暖色系の光に変わった強烈な照明の中、拷問用をこれは超える。蒼白い光は目に対し働き掛け、認識は暖色系と化した。LSDによる光だとも思えて来る勿論麻薬類の事だ。彼はこう考える。LEDかと思わせる強烈な白だ。ライトグレーに反射してライトグレーも白、ほぼ全てのものはコンクリートに属するので、通称白の世界が支配する。はじまるのではない。終わらない。これもまた幽霊だ。カリバーンと言うのは深く刻み込むほど認識を改めなければならないようだ。

「ぎえー」

「ありがとうございましたー」

 この手の言葉が他の部屋からも聞こえて来た。密室では無く鉄格子で有り、黒が白く変色している。ノイズの濁音抜き化のような音が支配する。これは慣れだ。しかし、寝る事の妨げには有効に支配する。技ありと言ったところか。記憶が飛ぶとも表現されるこの現象に対策は無い。知っているのは、自殺してはならない。自殺を促すシステムでは無いからだと言う事と、案外マヌケな病院に行ける事等が上げられる。そう、あそこではお菓子が出る。日常生活に余裕で支障が出る。投下されたものは何かでは無い。商用の幽霊をヒマに詰めてもいい。「しかし、許しを請いたい」こう、視界環境からか考える様になって来た。LEDを攻撃しようものなら目が潰れる。光の透過が起きるレベルだ。よって、身体は赤い。生きている。ガラガラギリギリとした喉の痛みによる良く自暴自棄に走らなかった。声や言葉も格好悪く無く出せた。周りの圧力もこれをカバーする。

 脳内ではこれを反芻する。風来の向かいには人間はいない。他の人間も旧型の対策等を施しているが、向こうの光が目に痛い。刺さる前に痛いとしか言えない。表現はそのままだ。体感が言葉の通りだろう。確かにここはネタ元なんだったか、枕を眼前にかめるかのように抑えカバーするに限る。上手くやれば快適に寝れる。「少なくとも自分だけは守る」だとか「少なくとも自分だけは守ってください」というのは何かの創作だった気がする。オリジナルがこれに対し、仲間を守れない理由を加えたアレンジ版が流行っている。確かに攻撃力は高い。そう、思う。囚人の全体認識だろう。初日のミイラ系の中性と言い、片目しか出て無いが歴史と加わると暗闇に独特の緑色から犠牲を思わせ辛くなる。暗闇が恋しい。それほど光がしつこい。サンドバックを殴り、壁に張った雑巾だが皮が破れ肉が裂け骨が露出するまで。そう、コマンド通り実行する事にする。支障が出たって構わない。体勢からのジャブ、ストレート全てが弱い。多少の音は誤魔化しが効くだろう。カリバーンは折れ無いが、面の位置と動の位置の突きは覚えなければならない。防衛には咄嗟出なければ成らず、仕組みがどうと捉えてはならない。躊躇は死に繋がる。やれ、そうだ。今だ。やれ。風来は風来に命じる。発狂者の振りをすれば、行動は絶対にばれる事は無い。狂気に触れる悪魔ども全てが悪い。殴れ。殴れ。殴れ。殴れ。殴れ。殴れ。殴れ。本気は拳を変え形を殴打用にするだろう。音は必ず疎外を生む。視覚から消える事は行動がばれる事を意味する。これは、冤罪と主張し続けて来た事自体が味方をする。軟骨が曲がり凹んだ感覚が残る中ヒザに移行する。これは痛めないようにゆっくり、プロレスラー特にデスマッチが全てだと断定する。狂気の世界は発狂が当然だと誤魔化しがたやすい。クロールのように打つ事が出来無くなったら、ノーマルのスピード型だ。相手との距離を離す事を先決しなければならない。対クリンチ用がクロールの馬力型、彼のバトルアーカイブはこうだ。自分と向き合い、自問自答の結果、これに到る。故障すると膝は致命傷なので、コンクリート本質の相手には本気で丁寧に二発か、軽度をあざ笑うかのようにヒザ蹴りをやり続けなければならない。胴部への突きは逆手型と通常の打ち降ろし型、打ち上げる手の形を何と言うか、調べようが無い。行動は恥ずかしく無い。良く使う順に打ち込み、つま先の弱さの克服に着手、どれだけやっても無傷で家に帰れる保証は無い。ブヨブヨが運と共に勝ち清廉潔白の悲劇もまたある。これが事実、死を持って償えでは無く完璧こそ明日への帰る道だと決めつける。効率から行けばより良い方法は有り、代償を無視した荒業なんて本来沢山有る。行動中に考える事の積み込みこそ、着火回路で有り、死の回路デスルートとなる。「死のルート」をこちらが幽霊に与えたい。再犯はなるほどこうやって出来るのか。訓練はそのまま制御不能に陥れば、一度再現された物をもう一度行う。想定はパーフェクトな内にイメージと共に打ち込むべきだ。「甘かった」認識を彼は改めた。肘が痛くて出来無くなるまで、それは続いた。彼の表現で、『鮮血の儀式』と呼ばれるだろう。

 これで意味が無いからムシャクシャする上に腹が立つ。こう思い、寝た。二度めの睡眠も例え三十分レベルでも取れてしまう。皮は裂け布は肉を穿った。両手だ。拳痛なら、伏すかもすれば治るだろう。そこら辺の知識はバッチリだ。妙に万全だ。U国では収容所だかでの教育に採用される。それがボクシングだ。ヒザは想定通り、苦痛が残ってはいけない。後で、スクワットをしよう。プロのものが案外公開されていて楽しく読んだのを覚えている。今は枕を目の上に乗せ、涙がなんだか出そうなのを抑えている。疲れと、苦しみストレスと思い出これらがあまりにも情けなく悪意の増長をすべく思い出される。

 そのまま寝た。


 光の日多分三日目、スクワットをしようと思い立つ。もう一度、基礎フィジカルと言って体幹系に着手、これ位では疲れ無いだろう。そう言っても全てを忘れている。休養からの回復系かスプリント系か悩むが、手にはかさぶたの感覚があるのでヒザの痣が見えない事は触れて確認するしか無い。悪く無い。思ったよりハンマーでたたいたような状態であり、スクワットは出来る。周りを確認してメニューを考えなおそう。トレーニングはそれでもいい。

 定期的に叫び声が聞こえる中で、光の火の様な感じがして来た。ファイアーとか火事とか炎の領域のことである。これは麻薬系物質か。脳の異変は?本気で悩むが今のところ教育の一環上全く問題無いとされている。強制的にそのような目にあわせたという気がしてくる。弱気なら、詫び倒し意味も無く「申し訳ありませんでした」と言い続けるだろう。

 大学が体育会系でも文系と化す状態の中で鍛え上げなければならない。ブヨブヨは最早、幽霊の宣伝のためだ。利用された。そう、決まっている。

 彼らは腕立て伏せなどであそこまでの筋力に鍛え上げている。囚人先輩たちは皆そうで、幽霊退治の生き残りだ。全員、同じ火をくぐっている。言葉は少ないが、皆黙々とトレーニングを続け意志の疎通は取れている。言葉が多いとケンカになり、つまり、トラブルの火種から話さない方がいいのだろう。静寂もまた精神に来る。沈黙もそう。トレーニングになる。社会への。

「ひゃあー、火がー」

 定期的に聞こえて来るのは、男の声がそれは囚人のもの、こちらなので思考はそちらに向く。光と音が組み合わさり、ギアが噛み合うと火に包まれた感じになって来る。錯覚だ。裏返る前の理性が支配したようなヒステリーでない声だ。観察する。まるでインターネットスラングだ。飯だ。飯を喰おう。多少の歯ブラシ剤など言うものは味で理解しろと言う事だろう。幽霊で全て吹っ飛ぶ。記憶や過去の大事なそれにアクセスが難しくなる。ゆっくり考えなおし、虎が近づく様に警戒しながら、思考を幽霊のように辿る。こちらが辿るのは有効打だ。

 水は無制限にではないが一応自分で綺麗にすれば出る。疲れがたまるのに対し、体重増加系の加速力で誤魔化してもいい。馬力で補ったって良い。彼はこう言い聞かせる。

 気を失う。それほど、色々してしまったらしい。飛ぶ様に寝ていた。簡素にでもシャワー類を強制的に済ませ、万全の状態にする。敷居が全ての悩みを解く。女子の方は、騙しと襲い掛かりがあるので、一応カーテンが支配しているらしい。あちこちにとあると聞いたが、何度も言うがそんなものイメージング上、不幸を呼び込む殺生石の様な物だ。白の強烈な天井を除きこみ、自傷の様な事をしてしまった。収容所マニアになるなら他人に狙われるのでそいつに対して強力な法力をぶち込まなければならない。それは、不幸は消せませんよと言う意味だ。スッと光の光線のような状態は消える。今は消灯時間らしい。最低限だ。世界は変わり現実は本当の事を教えて来る。フィクションから凶悪な現実に戻った瞬間だ。目はぼやけ、甘い事を言っていたい。視界は合い、鏡を見る。髭やその他が日数の経過を示す。ギリギリ掴める感じだ。爪も悪い。清潔が行き届いている感じだ。腕に爪でリストを作り、爪で書いた赤い引っかき傷を元に、行動を開始する事にする。視界は慣れもうそろそろ、ゲートが開く頃だ。意識までU国式になってしまう。爪、髭、歯、眉等美容、エベレスト登頂用、アタックへの呼吸へと。


 そして、思う。「目の前の現場は、死んだ現場だ」

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