準備、そして死の眼

 第二節


 夕景を挟み、フィジカルトレーニングを開始する。


 体質上水寄りなので、トレーニングと食事が噛み合っていると、ぶくぶくに太り動く事が出来無くなる。一気に詰め、眠る。これを繰り返す。今はベッドを使った片腕だ。意外とどうにかなる物だ。対害薬物の前提があるので、使用をする為に思ったより広い。窮屈と言うには、少々リッチだ。

 パワーの為、なので片腕だ。片手腕立て伏せを延々と繰り返す。トンボが行うような感じ、それが延々と続く。筋肉痛は致命傷で、動きを完全に阻害される。八十パーセント辺りで止め、向上に努めても良い。


 しかし、余裕のキャパシティと言うのは百パーセントまで行い、抜けたかのような命令の効かない状態まで追い込んだ。確か、これを一日三回、たかが軽い腕立て伏せならば、百回だがされど百回だ。


 理想的には出来ない。筋断裂の悲劇はもっと上だ。膝周りを軽く、足が動かなくなると困る。胴部を基本的に。これも、食事が仕事だ。防御力と動きと回復行為である食事とをどれを選ぶか悩んだ。今は食事を取り、前日辺りに動作を求められるだろうから、仕上げに行う。これでいいだろう。基本のトレーニング脳は固まった。入院は要らない方だと予測するが筋断裂は、手術などを含み過酷な日程表だと断定した。復讐は冷静に行わなければならない。つまり、対抗意識からまたは、対抗意識を燃やしトレーニングに全てを投入し鍛える事は自滅を意味する。早々にこれに気付かなければならない。鍛えないのはもっと悪い。格好のターゲットだ。


 死を呼び込んでいるようなものだ。シャワーに這いプライバシーの確認に異様な鋭さの眼と化し、確認後、完璧こそ正しい。先輩の身体は無言でそう語っている。白い囚人服の戦闘アーカイブは主に二流派、自分のため、か、完璧か、ここではこれだ。これしか無いと言っても過言では無い。後は、行雲流水の如しベッドで手を描きながらナイフのイメージを持っていた。妄想を少しでも実践的にしなければならない。これが、彼ら先輩から受けた影響だった。しばらくすれば寝るだろう。


 予定を聞く。空白の一日は意図的に何もしなかった。休養と回復に努め、ストレスとプレッシャーに耐えるためだ。本など読んだら壊しそうだ。



 次の日、予定通り幽霊退治に駆り立てられる。


 眠いが仕方無い。やらないよりやった方がマシだ。これは、メンタル的にも「そうだ。正しい」と自分自身に言い聞かす事にする。老化を考え感じ取ると一日の休養はボクシングから気分はそう。しかし、一週間とも聞く。ここら辺の現実は厳しい。


 強気の方が良いので基本こう考える。正確にはこう考える事を選択する。幽霊から教わったある種の矯正だが、人生では必ず役に立つ局面が来る。初日を独りで切り抜けたのだ。そう、へりくだらず、卑下せず自分を罰さず、罪は無いのは他人には嘘であり、それでも初日を独りで切り抜けたのだ。事実は強い。

 センサーの前で結果を見せてやろうとも思う。しかし、自慢も無くあっさりとチェックに入らされる。誘導は厳しく後で、憑依状態の報告や気を使うこともあるだろうと思う。

『……病1』無視したい現実と機械には栄光のプラスゼロが表示される。これは、自分だけの優越感だ。家族を思い、踏み込む領域を増やしても良さそうだと接客業の癖から考える。


 サイコキネシスが使えたならと本気で考える。三百億とも言われる経済規模は、この界隈全てのものではない。人体は再利用され無い。幽霊媒介装置と言うのは非常にエゴイスティックだが嫌われる。切断された、人体の事だ。次の場所で仕事をしたい。幽霊の希望だ。そして、それは何よりも凶暴だ。


 母には影響は無い。

 父親にも社会的影響が無いと良い。

 与えられたカリバーンを、トレーニングモデルが適切に配置される。死にに行く者境地を分かっているかの様だ。


 父親は筆跡を母親に似せ、カリバーンを買いに行くような人だ。少なくとも全てを終わらせ、早くに帰る。それは、二番だが状態としてはいい方な物だ。態度としては最悪な物の中では、無罪に次ぐ。


 ショートの中分けの『病』型、今回は『傷』型がいるだろう。もう旧型はレア過ぎるだろう。冷静さがあれば対応できる。冷静さの度合いを超えて来るのが、現在の幽霊達だ。『傷』型は人の不幸を望むかのように、ヘラヘラ笑っている事が多い。怪奇現象などが大好きだが、冷静さを鍛えると言う人間の独特の論理が働くので、一直線に主に『』を与えて来る事が多い。


 その手法と言うのは傲慢さや慢心さを気付かない物を特にハイレベルなものの提示と上位互換の使用法で心を折り、そもそも慢心など無くても工作のように作り挙げて来る。

 それはさながら戦場のようだ。二度と使いたくないと言う有効打で有ったものを、封じを行って来る。会議を幽霊たちは延々と続ける。その続きはこう。「永遠について」それはもう、既に手に入れたものだ。



『メッセージは血を使っても二度とキャッチしないのではない。その者の為の崩御である。利用され良くて金にされる。金にならないと永遠に屈辱の上の罵倒を受け続ける。そう言うものはここには来ない。それが世界の真実、で有った。強制は無い。我が為に他を犠牲にするのみ。命を使えばそれは生け贄と言う。四・五次元の真実はこう。地獄でははっきりと言おう。ハクが付く。強者の為の世界だ。別名生きやすさの為の世界だ。癒される為。絶望をしても時間は止まる事は無い。無駄に過ごした。事実は延々と損失を痛みを無視し、知が失われる停滞の世界の予定だ。繰り返す。繰り返す。繰り返す。繰り返す。ヒトは昔から地獄のように、繰り返す。文章は文字列の単語選択と類推の自動選択が、感情を捉える機能が支配、最後は線をなぞるだけだろう』



 多方向からの音は一つの意志のように聞こえる。それは幽霊たちの持つ超えの性質のせいだ。饗宴しているように聞こえる。簡単に言うと、最強の布陣で締めるのも悪くないと言う意味だ。予定を意味する。言葉の持つ、剣の様な本質はこうだ。



 時計は刻一刻と、幽霊との対峙の時を差し示す。風来は、思考準備をし、考えなければならない。思考を辿られるとまずい順に考える。出来ればそうしたい。極めてクローズドな世界の話だ。それは、イメージをすると引っぱられると言う性質を持つ。その事からだ。本質は外れる事は無い。普通の善人である筈の人間が他者の介入により、囚人と化す。欲は憑依現象となり、他者を我がものとするのでは無い。明確に指向性そのものをコントロールする。やはり、生きやすさのためだ。個人の目的だ。

 好奇心と言うやつが命取りとなる。


 そう、逆鱗に触れる者に死を。これでは無い。


 男心と言うのは妙に弱く、依存心系と理解を繊細さへと組み合わせて昇華するのを風来玲央は認める。幽霊はこれを狙って来る。

 確実なのはこれだ。試合前のようだが、結論はこうだ。


 風来は考える。


 姿は『死』型と『病』型の中間で地域性が有るから知らないと行けない。つまり、やってられない。それでも生きなければなら無い。崩れない手術着系は存在しない。混入事件はそれはそれは凄惨な結果に終わった。誰かがその状態になった様に一瞬涙線が緩み視界に情報と認識してしまい、立ち上がった中くらいの姿と言うのは医療者の目標でもあるのだ。

 イメージとしては願い、汎用型の迷惑のかからないものを素直に横に貼り付けると言う事をしていないとトラブルなくやると言う事が、業務の性質上本当の所なのだ。凄惨さは医療器具も増して来るのが、嘘であり、傷は減る。与える傷は減り進化する。しかし、やまい側は変異したり対応する。そのうち駆除が可能だろうと時の流れと共に希望を持つ。その先の出来事なのだ。

 イメージでも立ち上がった姿は仕事を全うした姿であり、幻覚ならば身間違いを含め疲れのサインである。手法が戦艦の同じ音の主砲の様に確立した矢先、イメージングは『傷』型に崩された。最も凶暴性を持つのが、幽霊の『傷』型レベル3の出来事だ。


 病院着だかそういうものはとにかく『死』型では無い。数式と化した意識では無い。病院着はソフトな人形のように都合が良い。丈夫で、基本的に守ることを外れない。守ると言う衣服本来のミッションからは絶対にはずれない。

『傷』型は感情戦である。どうせ受け身の風来玲央は戦闘準備に足りない事の思い出しをしている。先の視界がグラつくほどの感情の起伏は、必ず幽霊に感情・足元・救済という意味で、

 足元をあっさりと狙われた結果だ。感情の起伏が多いそう言うタイプも居無い訳では無い。必ず勝つ。そう、言い聞かせるのが鉄則のセオリーだが、そんなもの今の心境では使えない。予定通りと言うか見越していた通り、声をかけられる。情報としては思い出せるものは狭い世界なのも有りやはり、少ない。

「やあ、僕はテゴシよろしく。スリーワンでも構わない」

 昨日の昼間の彼だ。胸部にアラビア数字で111から始まる番号が振って有る。やはり、白人系特有の特徴を有している。短い時の髪は想像すると誰かに似ている気がする。

 人間特有のすくみが起こっているが、囚人同士の争いは起きない。安心と言うか恐怖心に囚われなきゃいい。

 カリバーンの刃のモデルを彼は持っていた。


 囚人全員抜き身の刀状態である。経験者を筆頭にリーダーがテゴシとなり、後は空気の様な存在だろうという薄いスタンスが襲い掛かって来る。そう言えば、暴力や薬物で、脳がやられても闘うのだ。ブルーのトレーニングナイフが隣の人物、寡黙な右利き。小型のメタリックブルーだ。真っ白な半分俯いたようなかっこつけた感じに、話す事は無いだろうと言う独特のスタンスばかりだ。五人が一人取り除かれ、四人に「死人になった気がする」と明確に思ってしまった。笑い顔の『傷』型だ。明るい照明の中襲い掛かって来た。真正面から廊下を猛スピードで独特の飛び方が、異様な黒い存在感が迫って来る。『傷』型は言った。


 低い声だ。女の声だったらやや低い。ここは行ってもレベル2だ。そこに幽霊の声が空間を響く様に木霊した。影が隣の白の囚人服を着た意識目掛けて移動する。病院もこうだったのかと連想する。声は事実上支配を可能とした。見え難いが正しいだろう。全てを感覚と共にほぼ同時にこう。何故か風来は事態の切り分けを可能とした。カリバーンのせいか?エクスカリバーで何故無いのか?疑問に当然思う。うざいくらいに……次は、トラブルでかき消える。

 突如声が響く。音声で無い。幽霊だ。

「殺意、見ィ付けたぁ」

 ギギギギとした感でブレーキをかけた感で速度が質の違うものが襲いかかって来た。普通は見えないはずのレベルのはずの環境、レベル2だ。

 隣の奴にくっついた。ピトッなど無い。ぼーっとしているのも正しい選択の筈であり、今の与えられた条件は戦地への移動だ。白いツナギの影が伸び、人間は倒れ、カニの様に泡を吹き、バン、バン、バンと次々と黒い影と化したアピールの意識を持つ幽霊達がとばかりに入って行った。

『傷傷死傷死と感じた』が、そう、死んだ者等には触れないのが一番良い。今はモニターされている。意表を突くのでは無い。異様なのが正体だ。

「一人取り除かれたのは白い服によってだったかい?」

「ええ」

 スリーワンにゼロイチハチとコールされた側は答えた。

「なるほどね。スタッフは全員黒服なんだよ。君は知らないかもしれないけどね」

 何かあったと言う意味だ。企みか陰謀か、姿形は知れない。

「お前達は行け」

 黒い服はコールする。手で誘導する。ブンブンと強い体格から手を振る行為を繰り返す。

 手の平を自分側にこっちに来いという意味だ。左腕は強く振られる。プールで水泳なんかでは無いがかき回すようだ。オジサンたちばかりだが、特殊部隊が紛れていると言われるだけあって、警察だか軍だかどちらか分からないが、利害一致は警官の方だろう。

 オリジナルの言葉のニュアンスは警察の方を言いたそうだ。風来はそう考える。

 少なくとも屈強のラインを下回る事は無い。少なくとも細く他人を持ち上げられ無い囚人達は見るからに負けを意味する。そして、隠れ、暴力的にドアを閉める。囚人は何かを考えさせられる。五十メートル先の出来事だ。二十五メートル圏内だと、ナイフを飛ばせば届く。視界にはこう映るが幽霊は違う。幽霊は人間の判断とは違う。

「お前にナイフをやる。済まないって言ってるねー。んんー」

 遠くから『死』型の声がする。警報が響くが放送は関係無く誘導する。危機に瀕し、自分の危機に対し全く優しく無い。死後の声を、幽霊が話す形で、囚人の声を届けた。死体だろうカニのように泡を吹いている状態の囚人に一番近いのは風来玲央だ。強面の誘導は続く。放送が流れる。放送での誘導だ。

「通常通り説明通り配置につく様に。メカによる誘導が、必ず有る」

 抜き身の刀身は強烈な武器だと言う事だ。そして、夜中の会合では無いが邂逅の一つの不良が、全員ぶっている感じなのがさっきの奴だ。地元感があるというか眼は観察するかのようにスピードを緩めず、幽霊の監視に意識を集中していた。記憶の符号が有った。そういうことだ。諦めからかデマに乗ると言う事だ。


 戦地に付く。そしてフロアが閉鎖される。レベル3干渉には条件がいる。病気だったと願うのもまた正しい。経験順に単純に並んだ。予定通り怒声の様な、指示命令が飛び交い、年齢と身体の大きさはストレスに対する知良さの限界と付き合い方が要るという意味不明な多用されているテクニックを思い出す。報復と復讐が脳内に何度も去来するが、「絶対殺す」も、また正しい。憑依の瞬間を別の形で見たということだ。そうでもある。

「最強のテクニックを知っているかい」

 一個前の人間はこう切り出した。テゴシでは無い。二番の人間だ。自分より小柄な人間に話しかけられた彼は、道中五番の位置にいたのをグループから四番を抜かれ三番が倒れる。グループ内二番はこう言った。風来はそれに答える。

「ええ、知る中では、恐竜なのですが」

「実験の中では、お前を殺す。と強く念じる事だ」

 ストレス抜きの事も有る。突然の出来事だ。脱獄は成功者が、“金などを払い、居る事になっている。”つまりは、騙されてはいけないと言う事だ。二番の彼は自分の武器を黒い鉄棒を上に振って答えた。絶対に振り向かない、バトンを陸上用の物をギリギリ規定まで伸ばしたかのような感じだ。背中を見れば強靭な背中だ。立派な背中と世間では言われるだろう。今まで武器は一切見る事が出来なかった。見上げるような圧力だが、呼吸器系によるもので、実際はそんな人間滅多にいない。百七十四センチ位だろう。自信がそう見せている。黒髪は猫毛の様に良く整えられている。扱いやすいのだろう。隠し持ち、不意に取り出すことから慣れていると思われる。彼らにとっては振り向いてはいけない。消えた後ろの人間の話だ。

 番号と台の連動の持ち主を待たない飲料が空しさを醸し出していた。クーデターは成功しない。隠れている彼ら、管理スタッフを探し出せる訳が無い。管理された番号とコーティングから成る追跡機は、特に衣料の確保を第一に必要とするし、最高クラスの難易度だ。闇討ちは必ず成功する。

 流出して無い訳では無いが、管理は簡単だ。百億の人間の囚人は無いだろうが決意は読み取れる。連動するシステムは即座に犯人逮捕に繋がる。敷地内もノックアウト気味に出来ている。局地的には犬、勿論恐怖の対象だ。撃たれて死亡でもいい。優しく重量弾でゴムの弾が当てられるのがいい方。プロは殴打で殺そうが、基本プロレス技で殺そうが構わない。連れ変えれないのでは無く、連れ帰るのを目的として無い。基本より根本的に発想が異なり次元が違う。特殊部隊は締まり、新たな連携を経験する。管理スタッフにも双方にも良いともっぱらの評判だ。武器を所持しているので、罪が増える事の方が良い連中や、打算的に逃げ出した方が良いと考えた者達が逃げ出してしまう。闇雲に対し闇討ちは必ず成功する。

 しかし、メンバーの取り合いとは良く考えたものだ。卑屈な心は特に『病』型にやられる。『死』型に弱くなる計算だ。確かに良いかもしれない。風来玲央はこう考えた。しかし慣れない修正から訂正をする。赤ランプの時間までまだ時間は有る。その結果は悪化軌道の病院行きだ。良くてそうだ。そして、仲間の武装は、黒い持ち込みの長さ限界の黒い鉄棒だ。カリバーン、カリバーントレーニングモデル、この三人で戦う。

 持ち歩いていた時なんかはカリバーンは人差し指に輪の部分を付け、通した指で拳で柄を握らないで保持すると言う、珍しいカランビット特有の持ち歩きと披露をしていた。たまにチラチラ光る光がカリスマ性を帯びている。ほぼ黒の無い中でのカリスマ性は珍しいと観察する。今に成っての修正点は特には無く、グリップも抜けにくいものだろうと、勝手に善意の解釈をする。木刀で言う所の中刀サイズは持ち込めず、カットと言う手辺りが慣れを感じさせる。それも、真っ黒なものだ。専用品でもあるのだろう。

 少し情報収集が甘かったのが悔いられる。その彼はゲージの外に飲料を出し、もしもの時用な的波動を強制的に伝えて来る。組み付かれる事や組み付く事はほとんど無いが、的確な弱化は『病魔降退』そのものだ。理力で殴ってもいいが特別な勝ちだろう。それでも殴った方がましな事も有るのが個人に依る所だ。「迷惑さえかけなければいい」そう、決意した。

 ゲージとは全く良く行ったものだと少し自分の事を白い鉄格子の同じモデルの事を思った。空気感からは少し広そうだ。逆光の様に日照らすライトもまた、複数人用で明るい。左からテゴシと名乗ったスリーワン、鉄棒の彼、そして、風来玲央と前から武装が邪魔にならない様な形でナナメに並んだ。鋭利、殴打、トレーニングモデルである。幽霊の不思議さを利用した物だ。呼吸を整えゆっくりと待つ。

 赤ランプだ。準備運動は部屋での待機時に済ませた。これで関係無いだろうが、拍手がひたひたになったと考えられるだろうか。幽霊の声が戦争を告げる。『病』型の声だ。その割には強烈に低い。支配するようだ。『死』型のバックアップが考えられる。

「明るい所を目指そうよ」

 戦争の始まりだ。またリセットされた様な幽霊の声で少々頼もしく無い、カリバーントレーニングモデル、自分の武器を握りしめた。オプションがパンチに付いた感じが彼の感覚だ。いたってフツーに、前方の人間は構えている。そして、コンタクトだ。

 左を打てるタイプの飛び方で、『傷』型が本気で迫って来た。軸足をここから固め、経験者等は自分の技術を否定し今までの全ての支えを失う。失望と言うやつだ。5人なら、補給と休憩が行えた。

 こう感じるがそれは敵が、『傷』型だからだ。

 先輩は容赦無く、右拳の縦拳でカウンター、真ん中は鉄棒でアシストをしようとしている。しかし、マージンの取れたものだ。そのまま右膝が飛び、刃が空を裂く。軽いものでも有効打がここまで流れる様に続くとは思わない。“そいつ”はバックステップをしていた。そして、最も思い出したくない事を風来は思い出してしまった。仲間割れ用の思考を辿る事では無い。『傷』型が、最も最悪なのは弱点を探し出す所に長けているとこ。ここの一点に限る。

 ソツ無く余裕も何かを見つけるとケタケタと笑いだす。

 調度中間の顔なので嫌味が無い、美貌の持ち主だ。『傷』型二人目が曲がり角から顔を出す。能面のブルーの前に発光がもれる様に見えるのが特徴だ。異様なヌッではあるが、声を出してもいい。それほど恐怖感は強烈だった。もう、笑顔だ。取り憑かれてからの攻撃を可能とするカリバーンなので自信と勇気を持とうと風来玲央は考える。トラップもそう言えば有ると有った気がするが、それは前回のあれの事かと振り返る。二体目は異常な脅威なので何かできないかと考える。ラインを上げ、見たくない物を視認する。五体は固い。発光体の量だ。ブルーが支配している。遠くには相談する様なゆらめきが五体は居る。取り敢えず基本の構えを最初の幽霊相手に構えなおす。左側への曲がり角も前回と一緒何から何まで、デジャブで発狂しそうだ。「弱ったらこの思考に囚われる」風来は考え直す。

 リフトで人間は空を飛ばない。目の前の光景はバレエでは無い。戦場だ。そして異様な勢いの人間が他の異質な生き物と言わんばかりの存在はレベル3干渉可能幽霊の状態だ。

 天井が高いフロアで人力による誘導なので少々分からない。しかし三メートルを思わせるだけで圧巻だ。足元の空間には百六十から百六十五センチと言われる幽霊の身長がその分だけ空きが有る。そして、それは二倍に成る。正確にはなった後だ。「こいつを刺せば弱体化だ」眼を開き確実に幽霊その二を刺しにかかる。一切皆空邪魔にならないだろう。そして、有効打に成るだろうとの判断からだ。右の刃はあっさり刺さり、空中を浮かぶ幽霊は、三メートルへのジャンプアタックは通常有効打に成らない。三人の状態と言う幽霊に作られた悪夢を思い出しながら、T字路の直線をバックに、嫌な波動が宙を飛び迫って来るのを見ながら、刺した彼はこう言う。

「敵、襲来『死』型、一体」

 あの能面の完璧な判断が蒼い尾を引く状態だ。

 視界には、移らない人間がこちら側には二人いるのが事実、エッジを縦に持ち、刃を上に向け取り敢えず足を刺そうという構えだ。やや無理が有る。手首を相手に向けている。ツナギの下の手首だが、幽霊のそれがカカト落としへの構えへと移行、対処不可の判断は手でバックを示し自信はクロスガードと共に右足の襲撃に備える。勿論、バックステップをしている。病院着だか入院着だか、手術着がかっこいいと思った事は無い。確かに医者の理想だ。医療従事者の理想であり、夢だ。囚人にカカト落としを勇気を持ち、高空から襲い掛かる等、完璧に夢だ。そう思わせる。事実は逆であり、前人未到の意味不明の脅威である。世間の論理はそれでも利便性と一度手に入れた旨味を手放す訳が無い。

 手を壁に付けするすると着地、そこに攻撃が空間に余裕を持った二人の攻撃が空を切る。風来はこの間、二撃目を入れる前に構えられ、睨みあっている状態であった。

『死』型は三角飛びの要領で、壁を蹴り、『傷』型を避け、尚蹴りを狙う。弾丸ミドルキックの様な感じだ。つまりは、二体の『傷』型を避けたと言う意味だ。面に今なら入る。が、鉄棒は空を取り敢えず位は払う。パワーが弱いのが伝わるが、左手で払われ対処無理な体勢続きには、ありえないスウェーバックを披露こう、期待するが。テゴシはダッキングに近い要領で、身体を小さく畳み衝撃に備え、立ち向かう。面は守った。バシッと言う音と共にスウェーバックの体勢にまで持って行かれる。そこからコンビネーションの構えに入る。懐は完全な距離だが、刃が叩くのに邪魔なのを目視、目の前の『傷』型に対処する事に専念する。分断は成功したも当然だ。そう、動きからは仕留る事は極めて難しい事が窺える。左腕で、抱えてしまい、カリバーンを入れたそうな感じだ。

 風来は勇気を持って一歩踏み込みストレートを、左をブン回すように当てにかかり、筋力の向上は重さはこれを可能とした。スムーズになったと言い切れる。剛力が左腕で発揮できる事は喜びだ。

 しかし、向こうもはたく。拳をはたく技術はパリイングと言う。カウンターを取られたら、取り憑かれる事を意味する。これに引き剥がす係が居てくれれば非常に強く、頼もしい。そして二撃は加える事は出来ただろう。鉄棒は空を裂く音がするので、スピードに乗った状態だ。上手い、風来はそう感じる。軌道において、ほぼ封じ込めた。クリーンヒットを捨てなでる様な挙動の連発で、幽霊を、弄ぶ様に動けないようにしている。重量に依る加算が効いているだろう。防戦一方の体勢しか取れないが、これが一杯だと言う感じの息切れの前にどうにかしなければならない。まだ、敵は全容を明かしてはいない。撤退させるように仕向けてもいいし、全速力で逃げ回ってもいい。浄化装置が来れば勝ちだ。生き残りは確定だ。キャパシティに対して残り憑依可能数など嫌な戦術が展開するが投入されたからにはやらねばならない。コンビネーションを繰り出す事にした。ノンエッジモデルだから出来るものだ。このサイズ相手には圧力は効くが当て難いのが事実だ。

 払われて空転しても進め。彼は脳内にそう命じる。ズダダダという嫌な音がするが、コイツを倒せばそっちに向かえる。本気を彼は出した。幽霊のボディが開くのを見るが手が足りない等、基本形は空転する。ワンツー、フックの顔面だ。首を狩りに思い切り踏み込む。肩が掴めそうなら狙えそうな感じだ。もう一度と足を使う。ズドンとこちらも踏み込んでいた。

 トレーニングモデルのエッジが飛行機の様に飛ぶ。それはギリギリアゴを一枚くらいではないレベルになで、対象の幽霊はスウェーバックとバックステップを同時にし、右ストレートをそのままカウンターで行おうとして来た。こちらは咄嗟に刃の側を防御に使う。幽霊は規定と違うことを発見、圧力を咄嗟にかけてくる。残りの正体はわからない。

「わーい、二人減ってるんだわーい」

 残りの幽霊の声に騒がれながらの危険な領域だ。『病』型の声は適切に戦場に圧力をかける。今、正体がわかる。少なくとも風来玲央にとっては事実だった。

 背筋から腹筋を使用した反動型のカウンターは有名な技術で有り、幽霊はその動きを途中で止めた。そう、パリイングを教えてしまったのも事実、必殺の一撃は途中でやめる事となった。しかし、右のローをあっさりと入れられて、一時後退されてしまう。あっさりと後ろ姿を見せられ消えて行く幽霊に対し、仲間の方を向きどうにかし無ければならない。蹴られた左足は思い切りサンドバックを蹴った様な後で動かないが、場所が違う。状態はいくら悪くても身体を動かさなければならない。鉄棒はダメージを与え続け、テゴシはカリバーンの刃で払った右腕が空を舞っているのをいい事に、大外刈りが『死』型に決まる。

 腕は切れてるなんて事は一切無く、受身は頭を床にぶつけず顎を引き足の筋力でもって余裕で、T字路まで跳ぶ。その最中味方をレスキュー、足を掴み柔軟性に物を言わせ、地面を這うように高速移動する。風来は無防備な邂逅に一瞬飛び退く。まるで水中でもいから、飛ぶようだ。それは発光の所為だが。うつ伏せでは無く仰向けの、幽霊の挙動はそのまま、無理な体勢の風来をよそに腕力で、加速を付け肩に抱えながら去っていく。左腕で加速を付け、相手を右肩に腕を首の後ろに回させる形で行ってしまった。時間だけがダラダラと過ぎるのはまた、ありがたいものだ。痛みは芯まで響き蹴られた部分はその周りを含め命令の言う事を効かない。ジャミングがかかった感じで集中したこの環境で足は鈍い反応しか示さない。疲れが見える仲間が待っていた。まだ話した事の無い彼が話す。呼吸器系が苦しい言い方に風来の目には映る。

「顔、に傷が有るんだけどな」

 飲み物を取りながら、呼吸は深く低いハアハアと死にそうな表情をしない程度の感じだ。

「見せる訳には行かないだろ?」

 彼も飲み物を正確に取り、左頬に調度、怪奇シリーズと同じに見えそうな傷が有った。

「殺意は自殺で、気を使う」

 色々だと彼の言葉は風来に思わせた。しかし、別角度に取っては別の話の様だ。

「君か、全く頼もしい」

 スリーワンはそう言った。


 風来も飲むがそれから一時間くらいは幽霊は迫って来なかった。

「衣服も幽霊設定で切れない。容赦無く行け」

 鉄棒の彼は構えて行った。確かに不意の言葉は幽霊に思考を読まれる。厳しいのは情報戦も事実、情報戦の結果詰めの作業で全壊したグループも数知れない。

「横になった所に襲い掛かった方が良く無ーい」

 声がそう響いた。エフェクトが出ない事が悩みだが目の前の人間をいい人だと信じるのは非常に苦しい。利害が完全に一致し崩れるのはリスクを伴い話にならない。これを信じる。チームは個人個人で形成される。幽霊は中性であるので、気にしないのが一番良い。引き寄せられると、これも引き倒される。轢き殺される様な蹂躙だ。それも一閃、かかる時間は一瞬だ。睡眠の術等は無い。催眠の様に弱くなるばかりであり、正常な睡眠では憑依チェック機に憑依幽霊の数が増えるなどと言う現象は起きた事は無い。催眠の様に引き倒される方向に誘導を言葉でかけている。精神力が落ちるのを待っている。バランスを崩し、防御体制でもあっさり入られる事をさっきの現象は示していた。悪いイメージは持たないに限るので、この場合知力や経験が敵となる。古典的なダメージからの足持ち引きずる誘導から集団での止めや、対策を考えれば思考を辿られる。開く直るのも手だが、人の形を利用するのが一番良い。ガチガチ、ただの時間の経過が恐怖が空気から吸引していたかのように力を持ち、アゴのコントロールを奪う。何かを行動したくなるが、7体は居た事を風来は思い出す。しかし、地形上ここはいい方でもある。

「7体いた様な気がする」

「それはどうも」

 風来の言葉に黒い鉄棒を持った人間が答える。全員横並びだ。答えた彼は膝に、スリーワンの彼は散々殴られたダメージに来ていた。そう、冒険し無いのは手だ。確定した楽な状況から動かないのは手だ。リーダーと化した彼が全て知っているだろう。全権をゆだねてもいいが、一人孤立し、闇にまぎれれば、孤立無援から複数の攻撃を受ける公算が高い。無言で、何も伝えないのは何か計算が有るからか。ダメージの回復とは、先の風来のヒザの状態の様に、脳の命令に追随しない身体と化す事であり、壮絶な怒りで身体を動かしても、死へのルート進むのみ。頭がおかしい訳ではない。幻覚は恐怖のあまり見るが。非常に計算と身体の状態とを地道にカバーし続けていた。

「確かに無言だったが、戦闘可能なまでに回復した。身体の各部は脳の命令に追随する。ナイフで喉を裂くことぐらいは普段調子が良い時は簡単に出来る。90㎏を目指しててね。各部に負担がかかるんだ。トレーニングも特殊でね。ゼロイチハチくんに話した通り、トレーニングが終わったんだよ」

「行こう」と言わず彼が先導する、地形に付いて行く。飲み物も自由だが空気は極少量だった。手が、ついて来いと命令していた。確かに、刃付きの持ち物は後ろに回られると怖い。暗闇が次の条件だ。堂々と左に曲がってしまった。引きずられるよりマシと言う考えか。サービスもこれではいい方だ。ただし、幽霊は光るので一対多より複数の方がバックアップが効く。特に引き剥がす時等なんかは強烈に助かる。風来の脳はこうだが、悪いイメージを連呼すると死に直結される。いない。暗闇は続き人の足音を頼りに続く。特徴と言うものはこう言う時顕著に表れるものだ。グニャ、グニャと重量の踏みしめる音に対し、カカトがコツコツと言うタイプ、それに合わせ普段の歩き方なので、タッタッと歩く音を立て、風来は自分の音を認識させる。味方を殴るのもアウトなので距離感は厳しいが、一切の迷惑をかけてはいけないのは、特有の空間内の支配されたルールであり、彼は、そして一瞬外側の世界でもそれは永遠に続くと思う。

 ヒザは回復した。問題は起きているだろうが、確かに88%までは左ヒザを打てる。「前回の奴か」一瞬そう思う。躊躇をするが、不安は的中しても身体は動かなくなるだけだ。

「幽霊呼びの儀式って知ってる?」

 彼はこう聞いた。スリーワンは後列に問う。

「実は、無い」

 ほぼ真っ暗の中後ろを振り返る。それはどうやら後方の確認だと一瞬風来は思う。

「呼ぶぞ。思考を変える」

 そうすると、経験則から来る思考を辿る事を利用した、何かの念を意図的に発するのだろう。それか、他殺か、自傷かである。殺人鬼か。一瞬戸惑う。

「他殺は防がれるぞ」

 二回目の風来がやり返す。

「もう呼んでいる」

「確かに、所内殺人事件は無い」

 テゴシの名前を思い出すが、呼んでいると答えたスリーワン、つまり、テゴシに鉄棒はデータで返す。ひたひた音はし出す。幽霊の足音は主に二ヵ所、二グループに分かれていたようだ。挟み打ちは確かに最悪の結果であり、一瞬で型が付く。特に精神が弱くなった受け入れる状態なんかは、最悪だ。その型の一つ、救済感から来る依存心系の意図、これは読まれる。そして、死に繋がる。誘導は幽霊の手だ。考える事によって、三人仲良く生還出来ないなら、テゴシは死ぬ運命の攻撃を熾烈な鮮烈を今頃受けている。上手く行っている証拠だ。「凄いかも知れない」風来は考える。H型の地形のみ確定した状態に、幽霊側はただ、戦力の分散は悪なので、一気に攻めて来る。こう考えている。

 そして、何体の『死』型が要るか分からない状態の敵とコンタクトする。『死』型特集の頭の良さが発揮され無い上に注意しなければならないのは、『傷』型は不幸が待っている。商用の大敵だった、予定された不幸の様な魔物的存在そのもの、『病』型なんかは単純に病気になり、身体が弱る事からスタートする。病苦の言葉通り、苦しむ。メンタルやフィジカルのダウンはそのまま死に直面する。永遠のデッドだ。生きて出る事や自分は特別といくら準備を整えても、そこで死が確定した。そこで死が確定した、そんな状態だ。

 十三体いたらどうなる?と考えてはいけない。広い通路だが、丁寧に考える事、死の通路を味方を辿らせる事、これは計算が合わないの一点で失敗をすれば自分が媒介となり、死んでしまう。予定通りの調整の餌食となる。勇気が出ないの一点で、または、自信が無いの一点で、消極的にその場に留まる等の保身はノーカウントよりだ。対幽霊つまり、レベルスリー環境下は、特殊な条件に縛られる。それでも彼は経験からか、死地に踏み込む事を決定した。さらに、問題が有るなら一人で行けばいい。これも真実しかし彼はこれをし無かった。日頃の情報をかき集めるとこうなる。そろそろメモが無いと、グニャグニャと対処状況のみとなる。ストレートの理想的な状態から、ひん曲がった知識や技術が理想となった脳内にすり替わるのだ。勿論、付いていた二人も付いて行かない選択肢が有る。これの自信も必要だ。


 広い通路の右寄りにいるが本来ならアイボリーに塗られた壁か、コンクリートむき出しのままだろう良く見えないが、抜群に最悪の視認制性はそれを伝えて来る。チラチラと、蒼い炎が遠くでゆらめくのが見える。地面に依存しているので一列に規則正しい依存した部分が必ず有る。整合性と言うやつだ。幽霊であり、僕は呼吸を整え直した。現在を変える事は出来ない。善処は何かを考える事でいい方だ。幽霊はアーチを描いているように見える。それは、遠くでゆらめいている。炎は黒い闇の中で輝き、燦然と燃えている。存在を放っている。

 中央部で見れば、尚綺麗だっただろう。突撃だ。昔ながらの手法ではあるが、横一列をアーチを中央部に膨らみを持ち、頂点を前にサイドバック的な感じとしか言いようが無い。

 アラビア数字と数式で「5×3=15」脳内はそう反応した。風来は三番目として、殺傷力を持ち凶器とならない武器からの安心感からか、意外と判断力の居るポジションを任された。

 アーチは三連で突撃して来る。陣形は飛行用と、偵察用を含むだろう。自分達の存在は一方的に教えれるのに対し、思考を辿る形での策敵法を持つ、それは、年間三千人を下らない死者を出し続ける人間側のある種でも知力が及ばない領域。そしてそこに僕たちはチャレンジしている。風来はカリバーンの伝説では無く、未知への突入、未知の領域への冒険を思い出す。

 瞬間の反応式の思考に対し、容赦無く幽霊は囚人達を発見、光が武器で有るので前後遠近感寄りの飛行の移動は尾が見え難い。第一陣、第二陣、第三陣をやり過ごし、手を出そうものなら丈夫な向こうに引きずられる。秘伝級の技法だろう。世間ならそうだろうと思わせる。風圧から来る、痛みと恐怖だけでも充分だ。第三陣までは攻撃をして来ないが、通過、通過と来て、最大に準備の整った衝撃が飛んでくる。三陣は横側にストップ、乱戦の様相を呈しそうだ。体勢は崩れのけぞれ相手の打撃の通り流れるが、向こうはスリップし、鉄棒持ちの前だ。基本形の左のひざの様な回転系の印象だ。うちの先頭は頭をキャッチされていた。左手、幽霊での左手での頭部のキャッチは憑依を思わせるが、流線のような先発隊の軌跡を追うので、蒼の光は現代文明の囚人に取って交通事故を思わせた。体勢はガード寄りに感じと得るが、カウンターよりキャッチを優先した、幽霊文化独特の圧力でしか無い手を下げたかのようなうらめしやな、死へのこまねいている様な不幸への導きに感じれる動きを排除した嘘と“今は”呼ばれるあれに近い。現実にはプロレスラー何かが相手の腕をキャッチするのに使う構えだ。あれはスピードにも適応していたらしい。人によっては充分柔道にも見える。それは、基本とする警察に取って益々、身が引き締まる物だ。これが、機能し的確に最強のフィジカルを持つ囚人の頭をキャッチ、そこからミドルキックに見えるが、体当たりの軌道及び加速の乗った、ヒザ蹴りを側頭部に入れるモーションを動きにインプットし終えたところだ。

 憑依から単純に攻撃に移る。そんなところだろう。防御側は、身体を流し盾の様に軌道を変えることで受け止める事無く受け流そうとしたのが窺える。


 下を向かされた首は、力の強さ、視界の限定を意味する。ついでに、器用さも巧みだ。干渉ルールはそこまで、エネルギー保存の法則を破れないらしい。今それを行った幽霊はグリップが効くらしく、我々の二番手の目の前にいる。最悪の『死』型だ。

「憑依注意」

 俺は、小型化した事からエネルギーの集中を行ったのが分かる、『死』型を目視し、速攻で伝える。全員向きを変え、構えを整える。T字を逆さまにしたかのような立ち位置の関係だ。「防衛に刃は強いはずだ。グリップ無くとも形が機能する筈だ」飲むような呼吸の状態を意味する俺の思考は勿論読まれ解析され攻略情報として生かされる。その、情報は大抵の場合四・五次元と呼ばれる上の次元だそんな面倒な物ハコでいい。空気に完全に飲まれているが、自己犠牲を行おうものなら、最高の効率で次々と殺される。

 少しでもキャパシティを埋めてこようとする。人体に対してのキャパシティの事だ。加虐性と言うかそもそもの目的が違う。死への階段を上らせ生体エネルギーの利用と、そもそも死ぬ事を目的としているので、次元が違う戦いが展開される。互いに滅ぼし合うことは事実、論理性ならば、システムコアや、サーチアンドデストロイや集中砲火の論理が必ず働く。別け隔て無く、死へと誘う。こっちの効率が高い。恐怖を与え制圧しているのでは無い。少々、悪魔と呼ばれる種族と論理が違う。戦闘性など、全く次元の違う目的への直球を基本としたものだ。ヒトのカタチを取るので、永遠ではないかと呼ばれている。その苦痛やそれを含む悲痛な叫びは技術の進歩は有るが、拠り所、依拠している所が非常に上手い。ゲームは歴史上の悪魔を参考にし、戦闘を行う。この数学的、やり取りが役に立つ事が有り、であった。非論理的な物は切られる傾向が有り、流行ったゲーム等は基本、職員、スタッフ管理側にとっては頭が痛い。話題とついていけず困り果てたものだが、面倒ややってはいけない物の切り捨ては基本強く、高速の攻略を意味する。ゲームの存在において、また娯楽にハマる習性において人類の勝利は目前だった。キャッチされた思いは完全に思考を攻略をすり替えられ、そのまま採用されてしまった。


 そう、攻略戦争である。身体の強い人間に取って百六十センチというサイズは非常にクリーンヒットが難しい。打撃からはじまる格闘技のコンタクトはベストコンディションでも躊躇と言う言葉が頭の中に響く。強力な打撃を繰り出しても、同様の攻撃を三発もらえば流石のプロフェッショナルも完璧を期した思考トレーニングでも別の部分がすり減るようにダメージが潜行する。見えないダメージと言うやつだ。凹む寸前のあれを対策にエネルギーを注ぎ込み、大事な時の燃料に相当する物が出ない。こういう戦略を取っても来る。よって、意外と国防なのだ。外国からの挑戦者と言うのは近年、アップデートがかかって以来ほとんど無い。帰ったらそこで仕事をするという迷信か事実かが非常に嫌がられたのが事実、学習効果が素晴らしいと例え強制的に親などにポイ捨てされてもあっさりと帰還できるものではない。親をターゲットとした殺戮鬼と化すからだ。「とても怖かったよ」も事実、彼らは良くこう話しかける。止めは病魔礼賛、移動を狙ってしまうのだ。怨念もまた仕事をする。たった一言の「怖かったよ」に込められた恐怖がわからないのだ。これは黒人を初め人種を本当に一切皆空問わ無い。言葉も超える。サバイバーは音楽を超えた感覚を身に付け帰還する。その筈が、無駄な悪に対する防波堤を用意し無い等完璧でも、理解が無い。つまりは、システムソフトウェア上、軋轢や亀裂が生じる仕様だ。

 脳内に流線の様に、データが読みだされているが、5人を基礎パッケージとした蒼い光の幽霊集団との戦闘だ。無心とか言うやつは無意味な情報を読み出すらしい。応援の念が欲しいと真剣に考えた結果、先輩のより強い肉体のデータや成功例とその後の先例が優先された。武器は、膠着を思ったより簡単に作り出し、身の守りを容易とした。倒さなくてもいい。憑依さえ防げば、いや、家に帰ってから完璧でも良い。そう、ネガティブだが思考が支配した。圧迫感はアグレッシブな思考を排除から阻害し、負け感漂う敗北しても迷走し切れない特有の非壮な空気が漂うが、防衛や防戦なんてそんなもので押されている感覚は悲しい事に向こうに控えが構えている。脱水症状からはじまる身体の異変、呼吸を失敗すると喉が渇く。これに、気を付けなければならない。

 幽霊は補給線を断つ作戦に出た。確かに飲料にはあの柔らかさと握りの独特さと微妙でも保温の冷水への気遣いに依存する。危機的状況とはその様な物だ。しかし、身体は無自覚に要求する。脳のコマンドに言う事を効かなくなる事が有るだろう。筋肉は主にスタミナを消費し乳酸がたまった状態のあのダルい感じになると飲料に走りたくなる感じがわかるだろう。あれに、近い。が、しかし事実は遠い。精神力を消費した心理戦だ。テクニック等しては凡庸だろう……。

「うーん、罪のこくはーく」

 向こうで幽霊たちがやり出した。連携感を斬るために信頼感を切る作戦だ。音声は止める事は出来ない。思考を読まれた結果が出ていると思いたい。『死』型の声の圧力の高い状態だ。意識はしっかりと集中し、対策をしなければならない。音声処理をしなければならない。心が引かれれば死に、折れれば性能がダウンする。

「テゴシ、殺人罪」

「黒棒、ケンカ、腕くらいは折った。ノックアウト五名これに追加」

「風来、冤罪」

 次々と、放り込まれた理由を幽霊達が読み上げる。半ば遊びの様だ。それは、左側から聞こえる。ルーチンワークの中思考に逃げ別の事を思う。右から左に世界が流れる。覚えていない状態だ。身体のコンディションも悪く再現が出来無くなって来る。

 言葉の力だ。

 向こうの狙いはコンスタントに、シュレッダーの様に体力を削り切る、一件ミスは見えないがもう後戻りできないテクニック「イルペイン」上の次元の命令だ。上の次元の命ではそうなっている。意味は、苦痛を与えカバー出来なくなった所を殺す。格闘技の悩みを根源とするからだ。痛みが与えられない悩みなど考えた事が有るだろうか。そこを準拠とする。そして、それは対象点に狙いを定めポイントを付ける所からスタートする。英語の「t」の字は十字で書く。狙いで有った所が準拠であり、スペリングはペイントとなる。ペインは、ペイントと執着が抜けた時に初めて機能した。ノイローゼも立派な病理で、苦痛を与えたい願望はノイローゼになるほど考え努力したが、十字のマークを対象点にくっつける程度、狙いを定め的確な動作をする事へ技術の昇華がかかった時に初めて、苦痛を与えたい願望は叶う。

 願望が叶った結果、それは執着が抜けたかのようだ。脱力とはよく言うが。隙の減った完全体は、視界から技や本人を消す効果が有る。物理的スピードは遅くとも無かった筈のもの。そうなってしまう。ペイン+とペインプラスの意味で、

『強くなれ』執着の極致をメモに書いた所から、囚われからの脱却は初まった。

 か弱い、効か無いローキックは使えば、そのローキックを放った相手にチャンスを与える。脳裏では完全に嘲笑われる。その嘲笑は囚われを作り、相手を弱者の囚われに捕える。

 幽霊の情報源だ。


 至福である。


 白い光に包まれたとも表現できる恍惚の状態は、無上の喜びであろう。単純な動きが求めていた状態だったのだ。対策が急務と言う意味である。リラックスは脅威と言う。幽霊は奪うのでは無い。大抵その時に致命的代償を支払っているから統制機関の様な物がある。霊として送りこまれる事も、また事実であるエゴの代償をここでは払う。人に送り込まれた霊の変化の末が襲い掛かるのを、死のリスクを払い対応する。元囚人達は「昔は、おれもそうだった」と適当に霊を放り込んでくる可能性から、システム的には長続きする可能性は高い。恨みの自由を享受できるのも特徴、それが外側の世界だ。

 掟はこれで有る。『逆鱗に触れる奴め。ぶっ殺してやる』単純に言うとイルペインは喉を焼く。寒くとも時間と共に砂漠を歩ませる。上手く行けば肉体は筋断裂を起こしそれ以上の行動を不可能とする。何度も言うが恐怖は、妙だと感想を持つだろう。違和感と共に光を味方に付け、呼吸を奪う。障害が深刻化、無かった筈の見下していた物の完成だ。自分がプラモデルの様に『その状態』に完成する。ヒト側は厄介な事に右足前の構えが真ん中にいる。そう、彼は歴史上珍しく、全ての損時を味方につけた様な、十手の操法を編み出したか、繰り出し続け、その身を守る事に成功している。

 疲れは教えとなり、その身を技術の塊にする。

 その目の前の技術に対し、必死と言う事は謎の事象を生みだす。

 見えない力と言う物の中で奪いたいのは呼吸と言う事は、連動されると困る力は、横隔膜と言う事だ。酸素濃度を下げにかかりたいが、それでも懸命にヒトは頑張る。腐っていた人間だから容易に死に召されるまで、押し込む事が出来る。最早、これは技術だ。勿論これは「他人が君にやられたものだ。他人の為に働くがいい。そのエゴの為に」対策を立てられるとまずい、メモを滅多に撮る事の出来ない部分を利用した攻撃法は続く。バテたところを狙えばいい。ヒトは、レベル3の条件をレベル2に下げる事は出来ない。重量の有る武器と鋭さの有る武器は、彼らを守る。


 凍える様な恐怖を時間と共に刻み込む事に成功すると、記憶が飛ぶ。

 死への誘いの完成をまずは急ぐ。狙いが見えても恐怖が先行するだけだ。

 ミスは訓練されたようにほぼ無い。

 力技と力技の衝突と押収は続く。

 脳内でも技巧でもそれは同じだ。

 全員、中央にいる『死』型の恐怖に耐えなければならない。用意していても心の中を操作して来るように怖いアレだ。

 憑依だけは避け切った状態は続く。

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