第二章

「清潔さは、嫌われる事は無かった」狂気の爪と、カリバーン

第二章 第一節


 共通フロアに彼はいる。昼間昼食を終えたところで歯ブラシを加えもらいに専用のスペースに出かけた。長い椅子と机はプラスチックを思わせオフィスのようだ。漢字の「三」の字が横に五つ並んでいるかのような配置を取るのが上から見た図だろう。


 風来は迷惑がかかるので人混みではなく、入った側から見て一番左のテーブルの奥、中、手前の中側の右手前側寄りに着席した。歯ブラシ所は人が混んでいる。近くに人はいないから迷惑はかからないだろう。


 身震いがするほど怖いのはプロがいる事だ。近年の傲慢さからか、歯ブラシくらいは持ち歩く事が出来る。専用化とか、まあ、これも見事な物だ。なんて事の無い造形がここに来ると意味の有る物に見える。そういうものだ。基本マニアは居無い。ここに来るイメージが仕事をするからだ。対人用制動武器として歯ブラシを採用、柄を攻撃のバリエーションとする。食事は自室、共同どちらでも良い。質問などは基本、縫いへの説明に終始する。男は絶対に手を出さない領域だ。「先輩……」から始まり、適切な仕事への向上となる。手招きが同じテーブルの人間からなされる。手招きは、右手でこちらを向いている。


「ゼロキュウナナくんが消えたよね。病気かな」

 そう言えばここではこれが有り得る。予定通りのエゴイストの先導だ。体格も立派で、髪は整髪料は支給され無いので、まとまり難い。戦闘にロングは不利だがカリスマ性と、精神性を、幽霊との符合点を感じさせるロングだ。男の割に。茶髪だったらしく、先端が揃って茶色い。そう言う感じの俺よりも長身がいた。

 病床は別の所だが、新薬を試されるともっぱらの外部情報必須の所だ。遮断された状態ではこれが恐怖に変わる。そう言う意味で本人で無くなる。状態としては保護されてい無い状態で帰って来る。百パーセントだが、こちらにも満足度百パーセントだ。

「ゼロイチハチくん」

 風来は自分で自分を指差し、首を少し挨拶の様に傾けた。世間では「オレ?」と言う意味である。光のせいで、色白に見えただけで、皆一様にヒゲなど無く、クリーンそのものだ。時の流れを感じさせる。案外あっさりと日焼け出来るのか程度に思ってしまう程度の色の明らかに高性能で勝てない人間は長期間、日焼け型の人間が室内でまるで洞窟の様に、環境は機能しているかもしれない。放置されたタイプかと、思わせた。色黒は日焼けが加速しやすかったかと確認させた。

 狂気と鋭さが通常はカリスマ性にくっつくと思ったら、優しさの場合は、怒りかとも詐欺師かとも思わせる。鋭いと言ってもロックバンドの様だから、警戒する。風来は思う所をそう決めた。

「君だけがゼロイチハチなんだよ。覚える様に。みんな、名前なんて覚えないのでね。勿論、知り合いの場合は別、女子タクティクスを用いると良い」

 彼は続けた。ロックバンド風の人間の男の言葉を遮るものは無い。新人への歓迎はこれで終わった。秘かに静かに微妙に気を逆立てないように席を選び食事をした。三列あるテーブルの真ん中の列、5×3と横に並び縦に連なる。言ったところか。広々とした、日本ではあり得ないスペースの解放感が広がっているが。それはトレーニングを防ぐかのようだ。テーブルの置き方が全てのトレーニングの邪魔をする。狭い通路からは分からなかった開けた視界は、連携を練習できるだろう予測をテーブルの配置が覆した。

 女子タクティクスとは女子のように上手くやれ。情報戦を制せよという暗号だ。この暗号から戦場を割り出さなければならない。風来は切り出した。

「あの、クツヒモの結び方なんかは」

 彼は思いではさっきの話しかけた人間の前にいたが上体モーションだけは同じだ。

「ああ、それでいい」

 いつ見たのでは無い。堂々と話し相手の収容の長い彼はテーブルの下に上体をやり、視界をやった。動きからも柔軟性などが多少硬く成ってでも筋力を付けた方が良いなどと思わせた。自分に反省をさせた。一応は、サバイバルの先であり先に幽霊に有っている人達であることこそが事実であり認識しなければならない。風来玲央は少々認識とプランを変えた。人の様子が思い描いたのと違うから。それでいい。

 理由は後からついてくる。直感が全てだった。夜中にまとまったことは、今までの積み込みが効いたこと。全てのトレーニングは無駄にはならなかった事。しかし、目に悪いブルー、白一色、コンクリート、ライトグレーはコンクリートであり、白一色は配備された食器類など長椅子、テーブル一式、共通の衣服。ブルーなのは照明だ。少しとは言えないレベルに蒼みがかっている。プラスチックが進化して重量とコンクリートクラスの強度を持つ。詐欺はここで良くある。旧世代レベルの脆さなので危なっかしい。建物に使われるには素材としてはまだまだ弱いと言った所だ。


 自分の髪がタイガーの様になる事を、風来玲央は感じた。黒い髪が、金髪の部分美容師にそう呼ばれたからそう呼んでいる派手な茶髪を押し出しトラ柄になり、1インチクラスの短さを、髪型を考慮すると戦術的でベターで悪無いと判断した。

 周囲の人間はイスなどを使い早くもトレーニングに励んでいた。

 長椅子に昇り降りしなければ怒られないようだ。足をつけるのではなく軽度が多いが、付ける場合は足首で、注意され無いのは実行すべしだ。筋力低下から、凍えるような心境との戦い。恐怖と寒さとの戦いとの対峙まで計算しなければならない。

 筋肉疲労からトレーニングはプッシュアップやブイシットを始め、二人一組の手押し車、普通の腹筋は旋回を付けるか旋回上昇を目を盗んでやるのではない。やれる場所が他だが、栄養学上太るタイプとそうでもないタイプに大別される。そういう人にとってはタイムリミットだ。余計なお節介ではなく、その人を信頼するしか無い。全国区を超えるアマチュア用がプロ用を超えることもあるのが理由とか理屈だ。死者はここでは一応は出ないことになっている。外傷などは思い描いた通り、細くなるまで病床となるようだ。トレーニングできなくなるまで。失敗は許されない。疲労の結果は、労働作業が遅れてはならないが、個人との戦いだ。囚人服の白いツナギは手縫いのパーツが多いが、必要な場所に必要な物を運ぶだけだが、手力と監視が要って、囚人用白のツナギは出来上がる。機械のシステムはやや古臭くそれを採用している。どうせ囚人が作る囚人用だ。

「計算が合わなくても計算をした方がましだ」こう、考えた。悪い環境では脂肪分は敵では無い。むしろ好意的に受け止められる。ストレスだからだ。しかし、動きと自信と信頼は絶大に幽霊に効く。不健康は死に繋がるから、絶対にやらない鍛錬でも皆、黙々と自主的にやるのだ。

 目の前の光景はこれを意味していた。少しやろうか。確かに速くて明後日だ。筋肉痛は二日後と化しつつあるのを認める。たんぱく質の様な栄養素を意図的に取れる環境では無い。筋肉にはたんぱく質だ。少なくともここまで生き残った人間達を参考にするか自分を信じるか、思ったよりも最新情報を欲しがらない連中を尻目にどうしようかと考える間もなく、先の彼がこう聞いて来た。

「最新鋭の情報、ちょうだい」

 手をこまねきながらだ。白い顔に変化して見える。幽霊の圧力だ。続きだ。少しの間が白人系を思わせる。間のエゴだ。向こうはそうだろう。全ては空気だ。

「ゼロイチハチくん、殺人はここでは無い。今日で僕は終わるんだけどね。それでも、有終の美と行きたいんだよ。減刑の効力を駆使してやってきた」

 知り合いの中や情報の中から適合する情報は無いか新参者は考えた。犯行の記録は刺激になるとカットされる。この行程を経て面倒なので全部カットとなってしまった。全収容所共通である。

「戦闘技術は彼に聞いた方がいい」

 またも、バキバキに鍛え抜いた人間が躊躇なく話題を挟んで来る。パワー型を明確に思わせる形だ。後ろ側からだ。プロレスラーなんかに見られる、華麗なファイトスタイルの同じクラスの重量に対し、受け止め、テクニカルから技を極め最強の一撃で仕留めるタイプのファイトスタイルの選手、この二種類の違うタイプを同時に見れるとは思わなかった。風来は思う。ある種幽霊にあっているかのようだ。風来は初めましてな長身。そんな彼よりもさらに長身な先輩囚人達である。風来は少し考えこう答えた。手で答える意図を示すべく少し待っての接客業のあれを行い少しうつむいた。手はタイムの意で左手の手のひらを指を揃え、見せる。立ち上がり周囲を観察している。普段だったら鼻にてをやる。目と目の間だ。風来はその行動の筈だった。

「前の季節以降でしたら、秋は今ですから夏ですか。夏には改変が有り収容数が増えている事から、抗体型の幽霊がばら撒かれた事じゃないですか。つまり、商用の霊がばら撒かれ、それは収容所用のワクチンだった。その内容はここ、対幽霊用だったと思います」

 言葉を発しながら集団行動も慣れなければいけないと深く自認した。風来の初回は個人行動だったので、システム理解はこうなる。ほぼ必ずと言っていい。

「ほー、ありがとう」

「うん、ぼくも」

 トレーニングの囚人が先に答えた。質問をした先輩囚人と話題を挟んだ先輩はそれぞれにトレーニングと食事に戻った。「無責任だ。あーくそ。またカモられ詐欺られた」風来玲央は深くそう思った。ルーチンと思考は深く復讐を思い立たせる。失敗してはならない。女どもは消せ。「あの、女どもは消せ」深い刻み込むような神経を逆なでするような出来事だ。フラッシュバックに最早近いだろう。

 表面上は平穏そのものだ。戦術を考えなければならないのが、今の状態だ。今日終わりとは多分、嘘か、トレーニングか、減刑の効力を駆使した刑期のことだろう。こだわらないのも手だ。しかし、先程の彼はこう言った。

「うん、ゼロイチハチくん少々良いかね。基本は教えておくよ。集中と言うのはあまりにも勢い余る。その事についてだが、自傷に気を付けるんだ。他者への攻撃は幽霊が防ぐが、無心の自傷は防がない。自滅を狙っているかの様だ。戦闘経験とはこんなものだよ」

 また、先輩囚人はのんびりと食事に戻った。ゼロイチハチと呼ばれた方は歯磨き可能なスペースに移動し、時間を潰す。明らかにトレーニングをし続けてもいいが、悪化が脳内に連呼するのでやめたが、歯磨きを終えてからにしよう。そう、思った。

 ここに、来てしまった。鏡を見て、ガラス製のそれで無い物を見て涙すら出無く涙線が痛かった。早く出よう。意志決定は決まった。仲間を作り、徹底的な防衛線もいい。さっきの話に割り込んだ男の髪型は、短く刈り揃えた極めて短いボウズで、清潔性に定評が有る。つまりは、完璧だと言う事だ。「あいつ殺す。あいつ殺す。あいつ殺す」本気で願った辺りだった。

「風来さんお荷物ですよ」

 係の者が手を使い案内するが、女がそれでも幽霊がチラついたから、顔を動かさず平静心で全てを行う。最早、状況は怨念を許さないのだ。我々とは反対の色を来た黒の連中で、下手をすると特殊部隊が混じっている。そう、思わせる。これ自体がプレッシャーとして機能し、向こう側組織全体を守る。案内に従い、付いて行く。幽霊を見事に防衛に使っているのが抗えない上体を作り出す。それに成功している。管理スタッフの監視は外側の世界の例としては当て物に頼ることになる。

 個室に連れられ、小包が届く。白い紙で封をされた箱の物と手紙だった。のりづけも特殊だが、透過センサーなんかを通ったのだろうと思わせる余裕だった。もし、爆弾なら今ここで死んでいるが、通らないのもまた事実だ。手紙を読んだ。慎重に開けた結果だ。こんなに慎重に開けた事は無い。

「あなたは外傷をするでしょうから。こちらにしました」

 母からだ。トレーニングナイフが添えられていた。

 カリバーンのシルバーグリップ金属モデルだ。個室は襖で閉められた。係の者によってだ。「白髪でも入れてくれ」寂しさからか彼は突如思った。それと同時に絶対に許さないとも決意した。それでも、カリバーンだ。オリジナルに対して、九十一パーセントはパワーが出る。幽霊学の効力と言うやつだ。

 胡坐あぐらを組んでいたのを、正座にし星々が夜空から覗いても大丈夫なようにした。畳の上で有る。通常なら畳に爪を立てかきむしっている所だ。「人を無下に扱いやがって」こう火と赤と黒の光の様な念が魂に焼き付かれた。感謝し、深く感謝する事を忘れていたので、もう一度最初から。深く感謝をし、こう言った。

「因縁が付きませんように、ありがとうございました」

 簡素な物が手紙の内容だった。


 歯ブラシを手に持っているのも状況を悪化させた。トラブルのように幽霊は現れる訳では無い。カランビットのシルバーの刃に穴空きモデルは次の戦いから必ず風来玲央の身を守る。左手は強く握りしめられた。

 歯ブラシと言うのは生活感と思い出に強く彼を浸らせた。


 、荷物は預けられる。先程からの検閲済の手紙を読んでからの、風来玲央の出すメカが使用された。

 人前には平然と怨念鬼と化した、歯ブラシをする彼の姿が映っただろう。

 ストレス解消にも怒りの矛先にも良く有る事だ。

 無言で周りの囚人は一切理解し無い。

 戦闘状態によっては仲間だ。

「俺に言ったコール自体は覚えよう」

 色々なものを思い知らされた。

 キャッチ出来るエゴイストなど居る訳が無い。

 感情は限界を超え無かった。


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