第三章

火は味方か?恐怖と暴力

 第三章 第一節


 一時間は寝た。誰かが出所したのだろう。そう思えるのは光のせいか。強烈な光とは人を修復し、平穏にする気持ちにさせるのか。風来はそう思った。いつもの場所への動きはジャミングの様に動かず、身体が動かない。


 見るからに年上で失礼なのだがゲームで学習したかのような言葉をかけられる。

「あー、生きてたかー」

 初日にトレーニングと共に話を挟みこんで来て、極めて短いボウズの方が話しかけて来た。

「後で用事がある」

 調度、剃刀の仕様を終え歯ブラシを持ち、食事の所だ。何か話したい事があるらしくあきらめる気はなさそうだ。手招きと共に先輩が対面で席を確保した。状態としてはそうだ。

 風来は従う。意外と大雑把だ。手付きと手の振りがそんな感じだ。

「おー、ゼロイチハチか。確かに」

 適当に飯を食べながらだ。

「スリーワンと、黒磯、この二人が消えた。それに関して何か知っているか?あいつらは減刑の効力を稼げるからって対害用薬物を使うような連中じゃあ無い。ニュースか。あれでクーデターがあっただろう。ブルーのナイフ、トレーニングだと思うんだがあいつは死んだか?」

 初日の人間相手に、風来はこう思った。やり返すのではなくコンスタントには無し返さなければならない。情熱が支配している。これには誠実に答えた方がいいと脳内が命じた。

 A国製、対害用薬物あれは使用すると行動論理における減刑を幽霊を倒す分の半分手に入れる事が出来る。こうも続けた。

「クリスティアン・ディバーレイってスリーワンは言うんだ。俺の言ってる事嘘だと思うだろう。ディバーレイって名前に近い湖の近くなんだがな。出身、あいつは地元ネタプロレス技を使う選手になりたかったらしいんだが、近づく為にナイス嘘を思い付きたかったんだろう。察してくれ。あいつらは直らない。そこだけはどうしようもない」

 風来は最初の質問に答えた。

「えー、うちでした。うちの幽霊退治として組まれた班は、クーデターの混乱の最中一人がピックアップされ消え、手招きで現場に到着したので、詳しい場所は分かっていません。メタリックブルーのトレーニングナイフは、知り合い未満の有った事がある、記憶に有る人間でしたが、カニのように泡を吹いて倒れてしまいました。害意があった場合の幽霊の仕業のように見えました」

「あー、確かに思考が読まれて無い証拠だ」

「死んだだろう、ニュースで失敗が有った訳ですしと思います。ピックアップとされた組みですか。倒れた僕の目の前の人間はは異常な、いわゆる常軌を逸した状態だった訳ですし」

 彼の連続講義に対し、風来は答えた。目の前の人間に付いてこう思う。誘導するのが当然と幽霊の手法を体とかオーラで自覚させるタイプだ。完璧主義なのだろう。極めて仕事と言うか事を運ぶことは楽だが、当然こちらの答えも完璧であらねばならない。怒りのスイッチはそこだ。それだけに、楽なタイプだ。慣れからかゼロイチハチである風来は呼吸を楽にした。こう答える。続きを言う。

「残り三人になった所で、そのまま幽霊退治の現場に到着、全員セーフティでしたし、目立った外傷と言うのは無いはずです」

「それは良かった。それなら、クリスティアンと黒磯は取り調べ中だな。お前は来て期間が短い。あいつらは長いからな」

 脳内のコマンド、「誠実に」に従った彼ではあるが少しテゴシ達より年が行った感があるタイプだ。

「希望を持て。俺より年でもクリアした人間は山のようにいる」

 手を出して来た。握手の意だ。風来はゼロイチハチで呼ばれる理由はその番が唯一だからだ。目の前の人間の手に、風来は応える。握手は成立した。西暦二千百年を過ぎた辺り、勿論西暦だ。流石のコンクリートの建物でも一回更新が起きた。完璧の否定は落とし穴に陥るような物で、完璧で有る事だからその性質を含む。悲劇性を含む物に関してはやはり、避けた方が無難だ。風来玲央はそう考える。

 お前の方がプロレスラーだと思うような人間にあっさりと握手に誘導される。目が覚めるような感覚だ。彼はまだまだ続けた。

「クリスティアンは、プロレスのアマチュア時代、火を使ってはいけない訳では無いんだがな。癪に障っちまったらしいんだ。デスバレーボムってのがあるだろう。あれをせがまれ続けたんだ。それだけならプロだ。全く問題無い。負荷の一つと捉えたらしいんだが、ここからが問題だ。猛烈に地元の名前と同じ技ってのは強烈なインパクトといついかなる時も、つまり、常時応援しやすい技として見惚れられてしまったんだ。これが、ファイアーボールの事件と言う訳さ。アマチュア時代に潰されてしまったって訳さ。日本だから、勿論信頼性は高い。だから日本なんだよ。『実は、日本でやれ』だったんだ」

「ええ?」

「そう、プロレス道場のボヤ。あれ」

 腰を据えて、話しているが風来の経験上、完璧主義は強烈な効果を叩き出し、無視は損をすることが多い。積み重なると、効果が出ると言う訳だ。ルートを完璧を提示する側を選択した。

「それで黒磯の方は。俺は、ほとんど事務係は済ませましたし」

 風来は自分の事務仕事を済ませた事を伝え、話に集中しても良いと伝える。

「黒磯は、彼女がいたんだ。サーファーだな。奪い合いだと思うだろう。まあ、そんなところだ。男の仁義ってのはしかし、厄介でそのような物じゃあ、無い。囚人と幽霊が支配している世の中で彼はこう言ったんだ。『心痛でお前はお前のお婆ちゃんを殺しているんだ』これは、バイクの不正型の利用の事だな。22世紀を廻りますます偉くなったよな。あいつら。複数人にもこの趣味は渡り、まあ、やめられ無かったんだろう。しかし、これは事実だ。心痛と事故とのダブルパンチとイメージと孫への健康の願いだな。これに、思いっ切り反する。話さなきゃいいんじゃあ無い。人間ってのは厄介で、自慢してはいけないと言う訳なんだ。ケンカだな。それに気付くと。一定のコントロール不可の領域だ。自分がまあ、婆ちゃんを、心痛と言うのは心因のストレスから来る病気で殺していたんだ。しかも、自分はあいされていたんだ。目の前の人間は親切、これに自分の暴挙は耐えられるか?まあな、腕くらいは折らなきゃ人間は止まらないだろうよ。ある種でも、事実は犯罪者の作り方だった訳だ。うん、そしてここへの経となる。彼女がなんて言ったか。『T市に行ったら一緒に泳いでくれますか?』だとよ。あーあ。早期に出ると言うのを俺は叶えてやりたい。T市ってのはまだ、海の底が見える一メートル以上の深さの岩場も完璧だとさ。日の光に対し、海底が応えるんだとよ。暗い風景じゃ無くて明るいんだ。綺麗らしいんだ。黒磯は漢字は知らんがユウゴだぞ。名前、そんなやばかったのか?お前ら。後の奴らは、政治結社に利用されたな」

 ゆっくりと時間をかけて彼は話した。思わぬたっぷりした時間の使い方は聞き手に聞き手としての情報の漏れを許さない。当然だ。命がかかった生死をかけた戦いの話でもある。そちらを重要視する。

 ユウゴが幽霊と音が近いと今、風来は気付いた。「皆、気の使い方が独特だ」そして、こう答える。死の谷を連想させるから、黒い層は差別感を彼の顔には伝承系怪奇と同様の傷がある。確かにこれは、足を引っ張る。珍しく平和で本来珍しく無い。ゆったりと時間が流れる。そう、テレビモニター類は無い。ネット系も公務系のものでアクセスが限られている。勿論、何かに登録なんてのは出来無いが、人権のため自由だ。情報の遅れは人事的漏れを意味し、幸福に対して完全に権利を奪っているから、設置とその設備が義務だ。勿論、広報的アナウンス、ガイドも完璧でなければならない。あとは時間を切っているからとしらばっくれることができる。本来いらないものなので、あの時ああやっていればなどと言った報復の念を学習する。後悔はワガママでは無い、自由の代償は理解しない。風来はこう言う。カルト事件がよく起きないものだと前提を踏まえてのものだ。

「世の中、幽霊にエネルギーを捧げる事を信じる奴もいると」

「良く言いたい事が分かったな。イエスだ。確率論上、俺とお前が組む可能性が高い。それでな、問題がある。それを、先に話しておきたくてな。ヌンチャクを俺は使う」

 囚人の情報交換は続く。熱い会話なのは幽霊の影響と誰かのA国製、対害制止薬の使用で、幽霊撃退の半分の効力を入手したと言う事だ。凍るように寒い環境は対抗して熱い状態を作ろうとする。彼はヌンチャクに関しての知識を覚えている事を読み出す。鎖で繋がれた、主に護身用として作られた。発明の国は、C国では無い。カンフーの飾りや演出では無く、れっきとした発明が二つの国から発祥する。剣と同じように同じ発想が二つ、人を護る為に作られた。良くこんな明後日の方向に自由な物を仕込んだ。彼はそう思う。彼はしばらくうん、うん、と頷き待てと手で制して来た。続きがあるようだ。話に続きを待った。そう言えば、呼吸も有る。目の前の人間はタフだ。思い出す必要も有る。


 ヌンチャク!!U国では所持禁止区域や地域が多く、刃物や両刃の剣、銃刀法に相当する物よりも厳しく『所持禁止』である。その事を風来玲央は思い出した。

「空間制圧型と自分では呼んでいるんだが、逆手は駄目でな。仕留めれると言うかヒット出来る自信が無い。ヒットさせ続ける自信はもっと無い。130%説を知っているか?カリバーンの威力に対し、上限のその割合叩き出せるって訳だ。条件が揃う必要があるがな」

 ヒットさせ続ける自信は弱気であり得ないと言ったボディランゲージだ。

「最強に対しその説は知りません。良く、こんなとこに仕込みましたね」

「流石に二刀は無理だがな」

 首を絞めるのに都合がいいという発想事例の記載にU国らしいと思った事自体を風来は思い出す。こんなとことは収容所内の事を差している。

「A国薬ってのは、使用者は使用後見た目が変わらない。いいか、最悪、俺らと一緒な訳だ。そこで、使用率が最も低いお前を捕まえてミーティングをしようって訳だ」

「言葉に障害が残ると聞いた事があるのですが」

「ああ、一時のパニックだな。混乱だ。時間は経ってない。感覚が鋭いだけで、時間に対しピンポイントより鋭くより戦略的に拡大する。失意ぐらいで実際はそんなところだ。時間の経過は内部は凄まじい。最長五年近くの日本に対し、恩赦ポイントで払うとは良く考えたものだ。コンディションと初めての薬物の使用と言うのは、家に帰って様子を見たいと言う事になるだろう。三回連続まではいるんだがな。俺の経験上、しかし、係の人間に上手く話せない人間もいる訳だ。そこでお前だ」

「ああ、風来と言います」

「フウライか。神がかった名前だな。ああ。有難い。ラッキーだ。風雷益か」

 風来は思わず名乗ってしまった。彼は続けてこう、言った。

「俺は、永遠と書いて、永遠井 頼人(とわい らいと)って言うんだ。スリーワンつまり、クリスティアンだな。あいつには備考がある。あいつは、日系が入っているからな」

 鋭いと言うかは凄みの有るタイプだ。テゴシと覚えてしまった彼に対して少々体格は大きい。細い印象を与えるクリスティアンに対して、永遠井は太い。強靭なのは今日喋った彼の方だろう。

 時間は経ち、スケジュールは実行される。幽霊退治だ。捜査は捜査で、面倒だが光の焼殺の目に遭うよりましだろう。そう考えなおす。そう、事実は改変されないかと思う。レクチャーは完璧で誘導に従う。風来は、万全な方の準備が機能すべく、最強と言われるカリバーンの形状の考察に入った。ネジで止めないタイプのハンドル部分なのが特徴であり、一体成型だ。銀色は刃部分を包み込むグリップの形状の事であり、アルミとか適当な事しかわからない。詳細は伏せられたかのように完全に忘れた。そこの部分は抜かれていたのかも知れない。こう、思う。対幽霊に思考を限定して行く事に慣れる。目の前には、昼間の懐かしい永遠井頼人がいた。右手で挨拶をお互いに行う。右手を上げ、手の平を見せ合う。勿論指輪揃えるが、武器は巧く持ったままだ。ヌンチャクは鎖部分を親指にかけ、トレーニングモデルカリバーンは人差し指にリングを通し、握る予定の型だ。風車のように回してもトレーニングモデルだから失礼は無いだろうが、それでも失礼の無いように丁寧に行う。武器を見せるのは互いに嘘を付いてない証拠だ。


 珍しく、黒ツナギの管理側のスタッフが格子越しになる前に、手を後ろに組み、こう言った。

「彼は今日で最後になるだろう」

 特殊部隊かも知れないし、彼とは、永遠井の事だ。好青年の長身は普段の明らかに大きい体格でゴツイ、髪型も少々そっち寄りな覚えやすい管理スタッフでは無い。鋭い感じを受ける人物だ。定規の様な人間だが。手筈は手堅い。スムーズだ。弾力的に強力に進める前の人とは違う。欲が出れば終わりなので、管理側とは仲良くなる事は勧められてない。ケーキなんかは絶対に食べれない。なので、猛努力を黙々とこなす事になる。

 黒いツナギの管理側の彼らに襲いかかったらやはり死ぬかも知れない。知らない事には手を出さない方が良い判断となり、特殊部隊が紛れている事実を持ってしてもトラブルは絶対いい結果が無い。泊まり込みや、転勤などは勤務地の問題なのであまり考えられてない。囚人は特にそう。しかし、倒すならクーデターの件もありこう考えたくなる。昏倒させるほどの武器を、一瞬で相手を制止出来る物を持つ訳ではない。しかし、もうレベル3空間がルール支配している。黒と言う色はやや、幽霊に耐性を持つのか人間の屑の囚人を狙うのが都合がいいのか、詳しい事は解らない。ただ、正しいのはこの行動を執る事が、回路の作成に寄与する。そして、それが失敗なら死に直撃する。死への直結は避け、最も失敗の無いルートを辿る事になる。特に風来玲央は目の前で取り憑かれ、人間がカニの様に泡を吹くのを目の当たりにしていた。

 その後、昔どこかの夜中、会った事の有る人間は背骨を猫の様に丸め、強烈な腹筋の力は次に逆のベクトルに力を働かせ、猫が描きそうなアーチを人間が逆側に描く。白いツナギのせいで対して精神にダメージを受けないが、クツもそれには勿論影響している。意識で逆行しようとする背筋が瞬間的に鍛えられ、背骨を圧迫、砕けるように骨は脆くヒビが入り、筋肉の増大した膨張が締め上げ、頸椎までもその力は圧迫、脊髄への計算し尽くした攻撃は絶対に生きてられない。しかし、少々意識は有る状態を生みだす。風来は、あの状態の情報を思い出す。声が出ないから、問題は無いように思える。解剖学上、全く違う結果をもたらす。幽霊に依って引き起こされる死の中で、最も人側が対処しなければ行けない物、そのものでもある。その結論はこう。幽霊の手段に関して、代表的な技の状態。

 それは激痛を生む。

 ブルーメタリックの状態は、確認しなくてもいいが。害意が凄かったのだろうと思われる。そして、案外ラッキーな事に、地元新聞社の事件のページへのアクセスか、新聞の該当項目に死因が、「誰も触れずに筋力が膨張し死ぬと言う人が触れてもどうしようも無い、芸術の様な領域でのおぞましい死」とあった。幽霊の憑依によるものだ。続きは「科学技術で行うならば、EMSの再現不可に近い。極めて内部構造を知った仕様」とある。最後にこう締めくくられている。「解剖学でもほぼ完ぺきなスタイルの確認、把握は難しいので、内部からまるで別の意志が自殺や、自害を望んだかのよう。脊椎の数、それに内部筋力の少なくとも量、部位ごとの強さに加え、与えられる内臓からの栄養を含まなければならない。それは、パフォーマンスを含む。同様の死体は少なくとも三件は寄せられており、これを含めての三件は今回のクーデターの常軌を逸した異常性に物語られる。外部からの圧力は関係無く異常な状態の人間に触れるのは判断が難しいと思わせるが、内部命令は設計が完成しており、止めようが無い。カスタムした個人用内部殺害例として適度な熱が出て無ければならない」とこう締めくくられていた。「対処させられた状態で有った」こう締めくくるのがほとんどの新聞社だ。

 私心を消し、彼の為に永遠井の為に自己を消したっていい。黒いツナギの言葉にそう、思える。その為のミーティングであったとしても、完璧なサービスと言うのはやはりいい。感謝する。風来は念でそうした。事故を消す事も正しい。ギャグだと少々思う。

 二人組で、型が付きそうだ。目の前の人間は、黒いツナギの管理側の人間は、鉄格子に入るのを待ち、彼の為、永遠井に優遇した様な感じだった。

 死んだ彼からのメタリックブルーのトレーニングナイフが応援だと認識させる。普通だったらニヒルに否定系だろうとタカを括るとか、まあ、戦闘系の準備をする。しかし、用意周到に意図的に狡猾に抜け目なく途切れることなく隙無く、集中をしなければならない。


 実際は、囚人が無事に減るのも正しく、帰還は模範的でありカリキュラムを踏破した様な物なので、正しい。武器がヌンチャクで大型の身体がエゴに見える彼、永遠井頼人に対し後ろから襲い掛からない人間風来玲央を選び、ダラダラでもリスクの少ない環境をセレクトしたと言うのが黒いツナギの事実だ。幽霊退治において幽霊出現予測は経つが実際には人間技なので少々ぶれる。ぶれが存在する幽霊予測だ。出現は確定している。

 実際はレベル3は危険なので幽霊だけ監視されている。異常などうしようもない状態に対し黒いツナギの安全もまた大事だ。安全は確保されなければならない。

 白でペイントされた鉄格子の中へ囚人らは入りガシャンと外部との遮蔽と鉄格子が化す。飲み物は二つ、これが二人分。確かに、江戸の鉄の様な漆黒のヌンチャクを所持している。大問題が一つあるはずだ。それは、すっぽ抜ける事これでは無くて、手から抜けるのでは無い。摩擦と遠心力で強力に鎖が摩耗する事だ。それは、二本の鉄棒を繋ぐ部分が途切れ、武器がその本質が、二本の鉄の棒へと変わる事だ。黒い鉄棒は暗闇の中では目立たない。これは、黒磯の時に気付かなかった所だ。

「俺が、前に出る」

 飲み物を手に取りながら、彼が堂々と言う。風来は答える。

「解りました。慣れてます」

 それは、鉄の棒と化したらカリバーントレーニングモデルが前に出ると言う事だ。何となく怖いので、両手で刃と付かの底の丸い指を入れれる部分を持っていたのを思い出す。思考矯正を行う。そろそろだ。赤いランプから、幽霊ははじまる。レベル3交戦空間だ。臨戦態勢で、軽くジャンプした。予測のイメージは風来にそれをさせた。

 緊急体制とか緊急事態とかアナウンスは無いものかと思い、蜘蛛の幻覚も見た気がし、悲しい事に虫一匹もい無いぐらいの清潔さだ。癒しやセラピーになる。ここまで来ると流石にそう、思う。赤ランプの時間だ。風来は、飲み物を持ち、自分のサイド、左側を持ち激しい戦闘が予想されるのだろうとひたひた音を耳を澄まし探し出した。案内されたとこはここ、4F-3-Fフロアだ。そう、前回のは6F辺りでフロアの3とは囚人用を示す。1は管理側、2は運営側、食事などに用いる等、食堂は含まない。3が囚人用だ。基本2や1区間には入れ無い。権限上横を通り過ぎ見る事はガン見等は思いっきりしてもいいが、設備や施設は完全に利用出来ない。変な事をすればあっさりと、死だ。『傷』型一発くらいは喰らうだろう。徘徊しているし、そこら辺と言うのは監視に都合が良い。効果も調度良い。風来はそう、見る。ヒトの不幸を願うからだ。

 レベル2の脅威を思う所に静かな、それでも確かな足のひたひた音が聴こえて来る。死を覚悟した。右前の人間はヌンチャクを振り回しクルクルとまるで準備運動だ。長時間に渡ると手首に水が溜まる様な軟骨の消耗が起き、擦り切れる様な熱さとすり減る様な痛みが患部を支配するだろう。「そうそう、その通り」と言われそうだ。強力な筋力から繰り出すので、失敗した時の代償もまた大きそうだ。細かなケアが要る。気付かない時などがあるからだ。そう言う意味では最強と謳われるウェポン、カリバーンは強い。

 ぎっちりとこちら側は逆手に持つ。右手の人差し指をちゃんとリングを通し、刃の向きを確認し整える。刃に開いた円形の孔が五つ並び弧を描き、それが視認できるのはまだここは光が支配しているからだ。トレーニングモデルの特徴だ。

『病』型が不用意にやって来た形となった。何が起きたか。紫の炎がヌンチャクを包み襲いかかった。特殊な構えから繰り出されるのがヌンチャクではあるが、引っ張りからのリリースと言う、チャージをした状態の力技を使ったのでは無い。見たのは袈裟斬りのただの早業だ。一閃幽霊は掻き消えたと成ったかと思ったが、あっさりといつもの力技で後退、距離を離した。フォロースルーと言うか、木刀クラスの距離を取らなければならない。そして、連撃とは思ったより関節技の様な極めに近い。風来は印象をそう思った。打撃はやはり打撃で、連射が効く。バッサリと入った。ヌンチャクの打撃の事だ。そして、堂々と両手を使って、反射から反応、軽い動きのはずがエフェクトと化し、カウンターを取る。左手で事後の動きをカバーしていた。それは、日頃ヌンチャクの整備を怠らないそれで精神の鍛練をしているようなものだろう。そう、考えた。

 Hフロアまでここは有る。正方形に管理側は動ける。ロの字に調度『占』の字みたいな感じになっているとこれが巧い事二つと覚えたが、勿論、地図なんて無い。フロアマップなんて無い状態で記憶勝負となる。

「ここのフロアは当たりなら、がらんどうとした空き部屋なんだがな。そこは俺達と同じ、食堂だ。仕事部屋系だと、柱が広めの空間に配備して有る形になり、武器なんかで攻撃すると減点となる。やっぱ憑依だ。ペイントの鉄格子があったから、これは……。ここで俺達は、カタカナの『コ』の字に近い囚人房に来た。三階から天窓が無いからな。ここには、経験上あるだろう。期待しないでくれ。外れているかも知れない。なーにスタート地点は皆同じさ」

 有用に聞こえるが悠長な話し方だ。

「ええ、気を取られててそれどころじゃありませんでしたが、幽霊の後ろに鉄格子が見えるなんて事はあまりありませんでした」

「ああ、しかしここはそこだ」

 意外と怖い。ズシリと腹の下に黒い重みが来るのを感じた。「逃げ場が無い」こう言う所だった。蒼光りする黒い囚人用の鉄格子なんて止めてくれ。通常の神経なら切にそう、思う。後ろ姿のまま喋る。集中と言うか、暗闇と言うのは鉄格子を上手く隠す物だと風来は認識を改めた。辺りは幽霊の光で黒い鉄格子などが視認出来る。

 地形を知っているのは強く、地の利と言う感が極めてする。極めて短いボウズはさらに神がかっており、普通は事故の為に頭髪を防御に使う。そう、ヌンチャクは双節棍と書き自分に襲いかかる。ナイフなどでも勢い余った手の振りが牙を向き襲いかかるなんてのはよくある。素手の格闘技等でもあり、勢い余るとちょっとかわいい失敗だったりする。

 無理して進む事をせず、余裕の構えで幽霊を待つ迎撃の構えだ。五人位で幽霊退治の今夜の事に当たると風来玲央は思っていた。脅威的ひたひた音で無いと言う事は、案外数が少ないと言う事だ。階段を昇り降りする、複数人でのグループでの細いヒールでの足音とその圧力感に似ているが限界はある。この場合3体の幽霊、そう予測する。

「俺は、ここに刃物で傷つけて来たんじゃない。俺の名前は目立つ。そして、利用したい奴には実用そのものなんだ」

 段々蒼白く人の肌が見えて来る。変化して来るのは霊感ではなく感覚だ。支配が恐怖に変わった瞬間だ。経験者から前に並ぶと言う不文律が風来には今理解できた。こう彼は答える。外側の邪な論理は決めてかかる事に対して金を使い、異常な事態を正常な常識に変え正義を味方につける。抵抗しようとも手の出しようが無いと言うやつだ。これを加味し、風来は答えなければならない。直撃で失敗は死では無いが、しかし、ここは戦場だ。

「ええ、ああ、よろしければ続けて下さい」

「トワイライトは悪事を胸にここに眠る。暗黒の夜は終わり、黎明が訪れると言う意味だ。俺にはなれているが黄昏るよな。俺は背が大きいせいで、少し反応が遅れる。刻むのは、木版に対して粘土で一度肩を取り、陶器の様に焼きつけて石の加工品や本物は金属だがな。金属に変えられる。これの儀式に利用されたんだがな。飛ばしだな。U国で昔見られただろう。視界のトリックの様な大規模なマジックでは無い。犠牲にすると決められて大規模に細かくポイントを稼がれた。その上にいじめと言うのは完全犯罪性、つまり、隠匿性を果てしなく引き上げれる。ストレスからあー、細かくやったなー。女どもに負けたんだよ。口は災いの元では無く、言葉は拷問系から持ってきて、身体が大きい事に頼ったんじゃないのか?技術差と知力差で意思決定には負けるんだよな。

 刻むのに使われるのは、電気式のドリル等の工具では無くカリバーンである事がまた多いと言う事だ。

 そのせいで、刃物を見ると腹が立つ。消されたと言う訳だ。ここで処置されるだろう。刃物がここでは使えないと言うのは致命傷だ。ここで処理されると言う意味だ」

「了解です」

「やるなよー。完全型のいじめ」

 喪失してからでは遅いですよ。そう風来は言いそうだった。感情を激すると不味い。他人を犠牲にしてもいいのは有名人だからでは無い。金を稼げるからだ。その結果、何も分からず肯定され、ティッピングポイントを超えてしまった状態だと言うのが現代の状態だ。確かに正義は勝った。一見理想的だ。しかし、そこには看破出来ない邪険さが隠れていた。


 風来は元の職業上思う。こんぐらい余裕だ。


 むしろ興味が持たれているのは、重力の製造と固着、指向性からだ。宇宙ステーションに使われる。それと日々の活性の為の、人間のカタチの不完全さ。そう、逆もまた真なりで人間は完全でない事を知っていた時代のU国もまた強かった。最強の時代への懐古でこれが導き出された。


 例えば、理解が出来ないが少々の利便性が全ての事がある。宇宙はこれが全てでもあった。


 黒い深淵と奈落の組み合わせは、死と隣合わせだからだ。静寂が支配する。ここで死んだら、余裕だろうが、晴天の夜空の星空に抱かれるのだろうか。そう、風来は思う。例えば今日の、戦いが余裕でも。そして、いくら死と隣り合わせの詩的な状態でも現実に引き戻される。待ち構える方が都合が良い。確かにそう考える。意志を持ち理性を働かせ、こちらに留まり、居続ける事が正しい。視界は暗闇が行く先を削るかのように消している。「ほら、もう影響を受けた」そう言われそうだ。くそ。孤独との戦いは正確には違うが家族を思わせた。似た境遇が居るとは思わなかった。ここまで、45分以内だろう。

 ひたひた音はやはり近づいて来た。多少ミスをするという意味だろう。積極的に思考を書き替えた。次は出来たら、前髪を降ろすのではなく、ニヒルに見えるので自己演出として前髪を上げよう。それ位はギリギリ出来る。仕事の上で出来無かったのはキャパシティが持たないと言わなければならないが、神経がそれ以上伸びないからだ。消耗に神経が耐えられない。そんな感じだ。絶対勝つ。支援は戦力として期待できるほど得意な方だと思いたい。ほとんどはこの、目の前のエースが決めるだろう。大きな体と付き合って来たという人生を受け止めれた事を有難く思った。それと同時に、嬉しかった。目の前の人間は強制される事無くそれを喋った。

 サイリウムに光自体は近い。神経に侵蝕するレベルにまで常軌を逸した状態になると光過敏に似たうちの業界に多いそう言うのでは無く、異変をきたすレベルだ。段々戦闘用に制御しなければならない。折って光るアレだ。幽霊が作った幽霊製の病気の一つだ。サイリウムを飛ばす、贅沢ガンで帰ったら遊ぼう。久し振りにそれ位はいいだろう。ブルーが飛び交うので、セラピーになる。殴るより遥かに良い。22世紀である現代は大量生産が効くし、ピンクは綺麗だと言うのは人間はそれを認めなかった。花なら認めるのにな。ネオンだって効果上、山の様に死骸を出すかのように結果を出して来た。ピンクのライトは意外とそう言うものだ。新素材で、ピックに来そうだったのも曲芸と呼ばれる人種用の夜光であり、少々頭に来ていると、放射能系の色は無いのかと堂々と来る。目立つのが手元と、上手くリスクを分散させれば出来る。因みに夜に沢山紙吹雪の様にばらまくと知られていない日本語の完成だ。夜桜の姿を変えた形そのもの。夜空と月と野外で有る必要があるが、気分は充分だ。百花繚乱は完成するので意外とおすすめなんだが。ああ、俺に集中砲火と言う意味か。ひたひた音は現実への帰還のイメージを、思い出を妄想へと変えた。

 最悪なのはと考えつつ三体同時だと反応する。小股で歩くと思うだろうが、堂々としたもので、それは大地を踏みしめるようだ。これもまた、一つの型としては完成しているのでコンプレックスに強烈にアクションがかかり、そう、まるで商売に利用されるように細かく傷が心や感性に付いていく。対策は立てる暇は無かった。手術着の様な状態の『傷』型が二体、『病』型をカバーするように三角形が飛んで来た。陣形が二人の『傷』型が前、『病』型が後ろ、『傷』型は笑っている。飛行は突撃へと本質を変え、咄嗟のガードを囚人たちは強制を超える速度で命令、顔を守らなければ成らなかった。飛び膝が完璧に入った。瞬間的に頭をホールドされ片手で風来の目にはガイド、両手式の保持では無く、貫き打ち砕くかのような奴だの右膝だ。瞬間的にこれをやられた。ボディを守れが今の命令だ。

「グシャとやる予定だったのにねえ。愚か者君、愚者共よ」

 ボディを入れられる前に反応しなければ、風来の命令に身体は衝撃の影響でのけぞり吹っ飛ぶのでは無く、グリップの限界を超え後ろに引きずられたかのように移動していた。

 足が鉄格子に触れていた。足元を取られればバランスを崩し理解できない状況はそのまま死に直結する。視界は柔道の上手い技を喰らったかのように反射神経を超えて、コンクリート製の床の急接近、墜落の様な感じを与える。スタミナは奪われる。俺の目の前の『傷』型がケタケタ笑うかの様に完全な弱点を指摘する。そう、長身の人間は顔面を狙われる事を慣れていない。奴らが行ったのは飛んでくる事では無く。そのまま飛行し、メカの様な挙動の膝を囚人の顔面に入れる事だ。武器もそれには対応していない。多少の損害には目をつぶっても衝撃を入れれば、的確に勝利に繋がる。慣れてない事はそのまま、脅威に直結するからだ。前の永遠井は背中で衝撃を受け止めている様だった。マンガの様なクロスガードを俺も許可しようかと思う。幽霊はそれほど、クリエイティブだ。そう、人間の世界では特に百六十センチ前半台の人間が、手術着を着て顔面に膝をそれも空中に舞って行う訳が無い。経験が無い事は、脅威としてプロの試合でも片方の盤石さが崩れた事が有る。これだろう。素人ながら考えを改めつつ幽霊の台詞を聞いている。聞かされているのでは無い。思考が生きている。『傷』型はこう言う感じだ。『死』型の強制感を超えて来る事は無いし、手の平の上の様なロングレンジでの戦略は無い。ただ、細かく攻撃力が高い。この手法が次々と飛んでくる。光の世界で忘れていたが、幽霊はこの手法を使って来る。こういった事を忘れていた。許しを幽霊に与える行為は、弱体化してしまう事を意味し、肉体が閉所に閉じ込められる事で弱くなる事では無く、対処の喪失なのでソフトがダウンしたかのように意味の無いルーチンワークをもう一度させられるかのような、指摘待ちの様な、上司の為のミスの誘発の命令をもらう感じとなる。呼吸器系の自由と想いの自由は確保されている。

 思い切り、踏み込んだ。左手をただダラーッと前にガードとして出していたのでは無く、引き込み、右手旋回させる。視界は霊感系の変化がかかり刃は金色の牙と化す。ナイフのエッジの軌跡が空気を切り裂く音がそれに変わったかのように、龍の金色の牙と化し幽霊に襲い掛かろうとするが、魅せられてボーッとしてしまう形で引き込んでしまうのも、感性だ。風来は脳内で繋がった。水を掻いている。いぶし銀である。金になる。特徴を視覚で覚える為の幽霊の為のルールに支配されているのも事実、前回エフェクトが出無かったのは『死』型に抑えられていたからだろう。脳の命令が身体にコマンドされる。そして、当たれば最強の右フックはダッキングでかわされる。次に警戒すべきはタックル系なので即座に刃を元の位置に戻し、幽霊の視界上邪魔な位置にする。スリーワンなら、ガードが高い位置に保持され続ける事だけでも褒めるだろう。「長時間疲れるよな」ぐらい黒磯なら言うだろう。そう思いながら、膝を狙う。右手が都合良く幽霊の頭を遮り、ホールドする形になるから、ヒザはあっさりとはたかれ、重心が軽い事を利用され壁に膝が激突する。少々の痛みは気付けだと思い、弱気こそ『死』型の狙いの一つと対抗心を燃やす。

 

 幽霊退治は三日間一度位から、週に一度、少なくとも十日間に一度と言うのを聞いた事が有る。囚人同士の立ち話だ。それを、わざわざお節介に言ってくれる奴はいない。向かい側の人間のやってくれそうな事だ。幽霊退治は行わなければ収容所の効率が悪くなる。最大キャパシティが減少、高回転で回す等刑期の関係で無理である。


「まず、一体倒す」

 怒声と覇気が支配した。そう、人によっては破棄された人形の様な物で、自分の人生と照らし合わせるのが心情上多い。死を前にして無ければ、幽霊の攻撃にギリギリまで耐える。「私も同じよ」と。これは女子に多い。この情感の利用は、幽霊の最たる特徴だが、悪魔になる事でクリアできるものではない。死の元の平等がここ、日本の収容所の実態である。かけ合わない。関わり合わない。これでも足りない。

 風来達のグループは意志決定が決まり、まず、一人倒すと言う、旧型でも問答無用の、軍隊式が取られる事になった。運用上端から倒すだろう。そして、これは風来の念だけで、言葉のやり取りをして無い。ケタケタ笑いを止め、幽霊への有効打としても良い。絶対解法の様な気がする。これは、リスクが少ない。こう判断しついて行く事にする。

「あ、大丈夫です」

 風来の前職はエレキギター関連の仕事である。エプロンを着用し下手すりゃ中学生扱いの応対から接客でも、その姿勢は前屈みで有った。終始派手な不良のレッテルを意識しながらのもので有ったのが、事実だ。現実は違う。

 色情魔として葬りやすい対象だった訳だ。一見暴力に関連性が有るように見えるが、案外そうでもない事も有る。暴力はプロでは無い。しかし、空気が慣れを作り出す。彼は右手を触りながら進むだろうと思っていたが、ヌンチャクと言うものは、右側を前にする構えを取る。よって、迎撃が都合が良い。人数が少なければ尚と言う感じがするのが今の空気だ。実際有っている事を望みたいが、手首の痺れは完全に解除された。向こうの50㎏憑依にも対応出来るだろうし、今なら仲間の憑依を引き裂く自信が有る。なぜなら、カリバーンだからだ。進み、堂々と光を辿る。どうしてこれが思い付かなかったんだ?思考を辿る行動に等しい。風来は幽霊の真似をしている事に気付く。『死』型がいない今、最強のコピーもまた『死』型を手に入れた様なものであり、有効打としては申し分無い。なぜなら、あの、異様な惹きこまれる様な『死への誘い』が無いからだ。中性と言うのは都合が良くどちらにも機能し、仕事をする。テクニックの盗難の様なコピーに耐え続けているのも彼らの技術であり、『死への誘い』は惹きこみは壁を超え、遠隔で収容所に誘導する。次々と、そうして死んで行く。幽霊の元へ。正確には『死』型の元へ。

 つかつかと進み曲がり角を一つ、そうして、足音を消し切れないが軽い浮いた足音は、重量の有る、ズシリと言う音では無い。何も考えないのも得策だ。十五メートルが五十メートルに感じ取られる世界の中でひたすら、目標に向かって進む。光は死との邂逅であり、楽園などでは無い。足音を遠く成らない程度に、ヌンチャクの廻す音を頼りに付いて行く。暗闇が支配するが予定通りの構造にほっとするが、凍える空気と化したのが事実だ。死へのアタックは平常心では到達できないのか。それほど呼吸は苦しいと言えば苦しいが持って行かれたのは皮膚感覚で有り、筋肉は動く。呼吸器系は確実にリミッタ―として機能、人体は負荷が跳ね上がり、疲れが速度として目に見えない物として圧倒的縛りの量だ。

 最後の曲がり角の先には終点より前に幽霊の光を頼りに中間地点に『傷』型メインのグループは存在した。突撃するよりも早く、『傷』型一体が、風来が幽霊を視界に捉えた辺りで、飛行からの空中での回し蹴りを粉う。ミドルキック軌道だ。ヌンチャクでは最も対処し難いだろう、技と認識させるが、ここで問題が起こる。ヌンチャクにはヘルプが入り難い。風来は息を止める様に身体を挙動を止めの動きに入る。向こう側を視認し。右足前の状態の自然体な風来はお節介では無く『無為自然』基本の方法思い出し念頭に置く事故でこちらを殴ったら、永遠に彼の出所は無い。考え方はこうだ。

「ああ確かにヌンチャクのサイズは、三十センチ足す三十センチ足す三十センチだ。柄、鎖、柄の順だ」

「え、ああ木刀と同サイズじゃないですか」

「意外と」

 永遠井が彼自身の説明をした。『傷』型憑依の影響だろう。味方の不幸を巻き起こす。そんな感じだ。右を前にした構えから左膝を入れながらの、防御が地面にたたき付けるモーションなんて有りか、と言った感じだ。鋭い膝は小型化を明確に狙っていた幽霊を捉え無くても空間の余地は残す。そう、通常の人間は弱点の克服なんて絶対にしない。この生態を利用し『傷』型は幽霊の中で最も成果を出して来た。多人数戦を最も得意とし、攻撃が的確なので『傷』型の攻撃は最大の防御と化す。ページをめくる様な学習ごっこがはじまった証拠だ。『傷』型メインだ。即座に空を裂くヌンチャクが音を立てる。即座に憑依し惹きはがされないか、キャリキャリキャリキャリリンの音を金属音に変えた感じだ。相変らずファイトが沸く、紫の炎付きだ。

 幽霊は忍者の様に、十五メートル先に元の位置に戻る。幻影のように輪郭が残っていたのは光のせいか、発光体のせいか普段なら尾を引く。必ずそうなるはずだ。

 俺の存在は役に立った。その、幽霊の憑依行動の狙いによってと風来は思った。片手の袈裟は完璧だ。そのヌンチャクは地面にも触れない。アスファルトに間違って当てた時のヌンチャクの底の削れ方これしか、素人のアーカイブでは役に立たない。その筈だった。風来はそう判断していた。しかし、状況が変わると依存先が変わる事を思い知らされる。武器はカリバーンだ。対処する力、対応力は高い。トレーニングモデルは極めてその力が高い。攻撃力の替わりに得たものだ。ヌンチャクはコンディションの維持が極めて大変だ。これは、無視していたと言う方が正しい。何度も言うがマニアになれば引き寄せられるかのようにバッサリの幽霊に刀で袈裟に斬られる。家族がこれは囚人が死んだ時に良く見る夢だ。呼吸を整えるチャンスは有る。タックルを喰らわなければ。地形上タックル封じに神経を注ぎ込み、痛みは救済となりそして、まだ死ねない、不幸の死が襲いかかる日々の現実が化す。効果は必ず出る。病気など軽度の物は精神力だ。カバーだ。

 死が話しかける日々が始まっていたのだろう。目の前の人間に対して風来は感想を持つ。『傷』型の正体は、判断が狂い死への階段を進む事。これに尽きる。道中の不幸はそれは、計り知れない。現実は多数の人間が必死に対処して来た。少しは人間を信じたくなる。霊能とは金と利権を集める積み込み癖が必ず有る。駆逐とは他人が正しく無いマーケットを作成する。金の力はこれを絶対と変える。愚かにも正しさが支配するのではなくウケが支配する。それでも美しさを必死さの中から感じ取った物だ。崇拝したくなるレベルの『死』型に対し、絶対的カリスマ性、破壊の化身これが、現実化したのが『傷』型だ。今は、こいつと戦う。風来はワクワクして来た。

 凍える様な寒さと突き刺す恐怖を感じながら。それでも、『死』型のあの制動には遭わず身体に自由が有る。

 求心力すらある。『死』型に対し、悪意の塊の次元の違う戦力持ちどす黒い。そしてそれは、連携するかのように、『死』型へと導き、死へと誘う。片腕、片腕が少しずつ動かなくなるような感じだ。対抗して無く意識をはっきりさせて無ければ全滅へのルートを確実に辿る。レベル3は全人類の脅威だと言っても過言ではないが、現実は今目の前だ。学習は現実の物となる。

 さっさと消そうと、永遠井が二歩踏み出しもう一度右足を前のサウスポーの構えになる。剣術に多い型だ。これを、ここに入ってから覚えようなんていうのは普通は無い。相当苦労しただろうと思われる。猛烈な努力を課さねば、死をかけた命を代償とした環境でも、それはかつて鮮烈に戦場を駆け抜けたシステムでも採用出来ない。目は如実に接客の経験が風来に判断をさせる。左腕が重い。そう、そこに別の意識が有る。露骨だが、肋骨の間の隙間が出来る部分が有るだろう。三角形と三角形が縦横に組み合わさるがここは四次元の嘘だ。人間の身幅と言うのは厚く無く、そこをメインにターゲットを絞られる。正三角形の底辺の中央に同じ形状の三角を九十度に配置する。勿論狂いは有ってはならない。外道転生の方や、外道転生の行はそこに依存する。接点に接点を求め頂点を触れさせそれは身幅である。しかし、背骨までである。これがジャックされると、「おい」と頭がおかしくなり、幻覚が現実となるだろうと言われている。左腕の重さは幽霊だろう。風来は『病』型を自信に付いて思う。しかし、ここ製のものでは無く商用だろう。混乱するが、病1カウントは重く状況上のしかかる。ブンとヌンチャクが振られるが、返す刀が目に見える幽霊たちは反応しない。風来は弱い、成果の出てる『病』型を狙いたい。しかし、記憶は嘘をつき『死』型へのカウンターだった。自分のタイプを見誤ってはならない。左右に鉄格子が有る環境は独特の自由さへの疎外となり拘束する。「精神に自由は無い」そう思った瞬間、幽霊はそれを採用した。

「精神に自由は無い」

『傷』型は喋る。奇妙さと水の様な生温かさを持った音声だが。現物の音はそうでも無い。自分の声にコンプレックスを感じて来るものだ。タバコやアルコールで声に変化や影響を与えてしまった事が有るだろうとそう思うだろうが、透明なクリスタルを一瞬思わせる声は、瞬時に全てを瓦解させる。そしてそれは同時に、コミュニケーションンを潰し、意志の疎通連絡を消して行く。永遠井頼人の行動は理にかなった物と言う訳だ。クリスタルは勿論バックから光が輝き二重のおぞましいほどの美を感じさせ幻覚に酔い、全てを利用し死に到る。これが、言葉に出来無かった最大の脅威だ。風来に取って、これは致命傷だ。トランシーバシステムの連絡に慣れているからだ。「メチャクチャでもやれ」でもある。経験と現場はそう。その通り、脅威は喋られる事でもあった。しかし、現実は惨い。通路の利点を利用され、縦系のヌンチャクは空を裂いても現環境上スタミナに影響は少ない。最早無い。そのレベルまで身体は堅く無く柔軟に動いている。最大の汚点は横切りに頼り、一網打尽を見事に防いでいる事だ。横に並ぶ三体はそれを知らないだろうが、『病』型を中央に左右でカバーする感じはやはり、家族の中でも母親への回帰を思わせる。このサイズは連想が最悪レベルにしやすい事こそ事実。死に到るのでは無く、死に到らない為の技を封印してきている。左右から中央を狙えば同時でも交互でも攻撃の連射が利き激痛が待っている。『傷』型の戦力の高さは折り紙つきだ。変な理由と理屈に満ちた合わせさせる『死』型とは違う。圧倒的な戦力による失望だ。これを徹頭徹尾狙われている。そんな感じだ。差は完全に絶望と化すだろう。これは、男女平等だ。狙う事もまた、男女平等だ。

「風来どんな感じだ」

 幽霊の病型が右手を指差しポーズを取りこう喋る。そう、これはかすれ声の極致のかすみの感覚、これだ。そして、事実は永遠井の思考を読み取った。

「ああ、あれだ。不味い。実に、不味い。お前の解析を必要としている」

 即座に永遠井は反応する。経験から来る物だ。彼はほぼ命令を風来に下した。

「ええと、横に一網打尽にすることを防いでいる物だと思います。命懸けだと思いますし」

「了解」

 永遠井は即座に身体が判断、マジで横に薙ぎ払った。そう、希望の炎が紫の軌跡が支配する。片腕の長さが円弧を描き一瞬、フラッシュの様にヌンチャクがラインを描きエフェクトが追随する筈がやはり支配している。初めての事は三戦目の彼でも多い。十二戦はクリアしているだろうと思われる。これこそ、百戦錬磨を思わせる彼ら先輩囚人、経験者だ。経験則はやはり、強い。知力から来る物は現場でねじ曲がる。、これも想定としてはパーフェクトでもヒトのカタチであるので変わる。リーチだ。例えばそう。一瞬の制圧に対し、風来は目が覚め、目を見開きギラギラとした状態、油を塗ったような爬虫類の状態と化す。恐竜だ。

 把握する。

 全てを。

 絶対に。

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