突撃へ 死の歌の中へ 死を讃える歌の中へ

 第二節



『病1 番号018……』



 手をかざしデータを読み取られ、自分の名前の表示と共にと現状を彼は知った。足を引っ張れば行動論であの世に引っぱられる。上手く気を使わなければならない。幽霊に取っては生体エネルギーを欲する以上自殺は有ってはならない。世間の様に幽霊と言う奴らは利己主義な上に抜け目が無い。

 精神構造を理解され、正体を見破られるのも一定時間、一定区間なだけなので、あまり問題が無いが理不尽な仕様でここに来たとしても怒りをそろそろ納めないと行けない所だ。

 恋愛の理不尽な邪魔だと言う事でここに送り込まれてしまった。法知識の暴力と、権力という奴だ。色情魔に成るからと女に冤罪を駆使されて送りこまれてしまった男、「風来ふうらい玲央れお」まだ全てを失った訳では無い。

 彼は気を取り直した。こんな名前であるが男である。


 体術の心得は多少あるが、捨てられた幽霊と言うのは上の階にはびこっており、閉鎖された区画と化しており、囚人達は受け持った区画のものを退治する。時間は計れる訳も無い。有利なのは与えられた飲料を巧いタイミングで飲み、百七十九センチが百八十センチに修正されそうな彼は、有利になるには正しく丁寧に置く事と細かく筋肉に力を入れ、準備運動の心構え程度をし、筋肉がブチッと行ってダメになった例も事足りない。

「そう言えば金髪でいてもいいからか」ふとそう思ったが、死線をくぐる時間は強制的にやって来る。視線を彼は下に落した。殴るしか幽霊に対抗策が無い。

『5F-3-D』区画、飲み物は二つだ。これ以外は遮蔽物で干渉してはいけない事になっている。そんな罰当たり的な、口伝の教えなど無い。「7Fだったか」彼はこの建物の最上階を文字の形と共に思い出した。U国式収容所システムが来て以来、縦に建物は伸び、広大な敷地に囚人達は管理された。

 しかし、使われるのは地下一階から良くて三階部分まで、脱獄を考える分には、影響はあまり無いはずだ。赤い色が、変わったライトが時間の告知を示していた。恐怖の空間は独特だ。念から想いから意志決定まで全てが異なる。一人でいる風来にとっては、ラッキーな事を思い出すしか無かった。イメージでは無理矢理記憶上最上の武器を思い描き右手に持っている。彼はこうも考えた。

「一匹もやって来ない事も有る」

 まなこは魔物を見ているかの様に見開いたままだ。都合の良い事を彼は考えた。カリバーンに相当するのは、フィクスドのカランビットV字型の両刃に恐竜を思わせる事だ。幽霊に対し右手に持ち、対峙する。市場の知識をフル動員した。家族になんて言おう。寒気と異様な心臓の音が支配した彼の身体は、準備運動を命じた。彼自身は隙なくソツ無く行う事に成功した。蒼い光がトの字を左右逆にした曲がり角を曲がりこちらに来る。

 落ち着けー。

 背骨も寒い思いの風来はあきらめて右拳を固め直した。観察の内容はこうだ。普段だったら言っていただろう。

 整えた状態に呼吸を直す。


 カランビットとは円型のリングを柄の底に持ち、逆手に持つ鎌のように内側に歪曲した刃を持つナイフのタイプ構造である。戦闘ナイフの一つと言えばそう、その通りであり幽霊に効くのは不思議でもある。小さな声で言おうかと思った。小声で言うのが正解と思い細かいが言う事にする。かなり口パクだ。

「本当だ。光っていて周囲の様子がよく分かる」

 照明の要らない幽霊と言う蒼光りと言うのは正義だ。正義を示していると言う念を深く刻み込む様に持ち、寒い、八寒地獄という物を初めて情景まで思い出した。彼の心情は刻々と変化している。


 ニヒルな眼をした、幽霊がひたひたひたと適当な列でやって来た。全部で三体だ。

「蒼蒼緑、勝負!」

 風来はジャブをガイドに完全なフェイントとし右ストレートを先頭の幽霊にステップインしながらぶち込んだ。

 幽霊なだけあり、髪も長くセンターで分けて男女性別不明、最悪の恐怖を自分の部屋だったら味わうだろう。悪霊対峙法というどこぞのものを繰り返すしか無かった。

「ふっ!」

 呼吸を強く吹き出し、一・五メートル吹っ飛んだ蒼型の幽霊は死のタイプによく見られる特徴を有していた。緑と言うのは珍しいが、旧型だろう。包帯に片目だが、黒の革パンだ。黒の革パンツに裸足のミイラ男に髪が所々飛び出て、片目を隠し、片目は露出している。

 緑光と言うべき状態は百七十センチの身長と相まってそんなに怖い訳じゃない。オリジナル、素の状態がこう。名画の特徴、独特の圧力感と中性感は保っている。オーラのように発光しているとか色々だが、実に安定して、瞳の部分は発光して無い。黒い髪も共通で、中性感も確か共通、風来は記憶を瞬時に洗った、というよりかは身体が反応した。

 発光部分は黒い髪の部分が非常に難しく状況に応ずと言ったところが正しい。黒い髪がバサッとなびく。

 それほど長い。

 近年、収容所から出るのが楽になっている。確かに。続いて彼は容赦なく右側に逃げた幽霊を追いかけず、壁側にいるのを確認し、三匹目が怖いが、思い切り右足を前に踏み込み左手を櫂を振り降ろすように前から後方に振り戻し、左膝を叩き込んだ。水を思うのは死期が近いからか、左腕は「かいな」と言う奴は水流を描いた。眼は見開いたままだ。うずくまる幽霊を踏み、緑色が大きくなった。今までのは卑怯な感じのしない顔に対し、クラシックにでかくなるか。という思いに対し、ニヒルな眼は弱者らしく先輩強者だろう感じの奴らを踏み越えてやって来るし情報伝達を伝えて来る。

 旧型だ。対処から駆逐され切った。弱者は弱いはずなんだ。風来は冷静にそう感じ取った。実際には何度目かの「クラシックにでかくなるか」を思った。背中を踏みつけるバカが居るか。介入するバックアタック可能の蒼光り幽霊をバックブローで突き飛ばすバカがいるか。彼の眼は状況二たいし先程までより軽い負荷で判断していた。三体の自由な連携攻撃は最悪の結果を俺にもたらすだろう。個別識別化可能な技術も人権は行き届いているのでここにもいつか有り得るか見落としている筈なのだが、こいつにはそれが無い。

 利己的なのは感情が読みやすい。サイズがでかいのは腕の動きが阻害されていて、条件下によっては投げれる事を意味する。条件さえ整えば投げれる。

「ああ、事実のデスマッチだ」

 判断からか彼は正確にアゴを引き口元はニヤついてしまった。三体と言うのは正直、脳に負荷がかかる。鈍重寄りの一体と言うのはゆっくりやればいいと言うのとゲームの再現という陳腐感で精神が楽だ。ただ、干渉能力は別で知能があるのが幽霊の特徴だ。

 グアアアァァァ

「幽霊が叫ぶか。そして向こうの蒼いのが拍手なんかするか!」

 囚人らしく下衆に喋ってしまった。一人しかいないし、叫び声も聞こえない。脳内で絶好調時の曲でも流れてればなーと本気で思った。後ろの足跡が早まって来た水音や水辺の音と言う奴が逆に冷静に彼の身体を速く正確に動かす。「腕は強力だ。よって」彼は習った事の無い中国拳法系膝へのストンピングを試みる。緑色の旧型との戦いは続く。ボディ攻撃は恐怖が支配しており実行する事が出来ない。布一枚でも欲しい所だ。空転では無く掻き消える事無く、反動があるのが幽霊戦の特徴だ。「ああ、所詮ゲームだ」腹を括った。掻き消えたら幽霊に対して勝利だ。

 右足で思い切り一撃、オーソドックスの二・五メートルとしか表現できない相手に取り敢えずのローキックとも言えない一撃を見舞う。

 続いて暇が有ったので、最初から狙いたかった右のアッパーをフワッと右足がこちらもオーソドックススタンスに戻った所で一気に地面からエネルギーを吸収衝撃からエネルギーを再度放出するかのように一気に突き上げる弧を右拳は描いた。

 右拳が視認すると銀色に光った軌跡が残っている。どうせあいつら幽霊共が利用する為に作った騙しのテクニックの一つだろう。なにせここまで死骸や屍累々の成果は彼ら幽霊の成せる技の集積なのだ。普段はこんな芸当出来る筈も無く、特殊磁場と言う物で出来ており、それ用の技術やあやしい集団は存在する。えーと、と思うが強い相手であることには変わりないので気を引き締めて行かなければならない。

 死因ナンバーワンは慢心や驕りから来る。油断や隙という奴だ。右の反動を利用し一気に再度右を用い右ストレートを叩きこむ。突き上げた拳をもう一度挙動させ、首から何から何まで使っての特殊仕様だ。有効打を取れるなら、プロレス技でも使わないと負ける。負けるとは、死を意味する。

 気持ちを奮い立たせても恐ろしく、視線を外してしまいメンタルの弱さが出て、視線はやや後方を剥いているのでは無くかなり後方に振り回してしまった。右足は機能している。この勢いで、左を返す。左は自信が無い。そして何より、旧型幽霊の足元と、右側にいる蒼光りの幽霊共が奇妙で怖い。「戦う」と決心しているから良い方なもの。


 神経が弱かったら泡を吹く事例が聞けそうだ。年間3000人は下ら無い、幽霊退治の死者はここに依存するだろう。恐怖に対する対策が先だ。

「恐怖を支配する」

 飲まれていても口が先に判断した。打ちやすいと教えられた左ボディに逃げ、空転した拳を壁で擦るのが怖いのでコンパクトなボディフックだ。ボシュっと音がした。パンチの炸裂音はバシュの予定だった。顔が嫌味な歪み方をする。「噛まれる」風来の直感はこう。

 巨大化はこれを可能とし、グラブ即ち掴まれる事は宙吊りを可能とする。

 侵入的な憑依が目的なので、一切の暴力行為以外のものは無く、喋るときも交渉は有るが、セクシャルに代表されるそう言う関係は何故か無いのだ。こいつは今、体重が有り、腕も強く身体も強い。

 巨大な男ぐらいのアゴと歯は持ち合わせているだろう。もう一発、アゴに行きたい。そこの力を弱めたい。刃物はやはり便利だ。

 ネガティブなイメージを持ち続けていたら、そう強い腕で持ち上げられて対抗出来ないイメージだ。これで、幽霊たちがニヤニヤと歪んだ笑顔をこちらに向けた潰されている奴含めて全員だ。小型が最強の状態であり、最新型だ。大型は旧型であり、絵から出てきた奴だ。そこの時代は1500人推移、恐怖とパニックの噛み合い方が違う。そう、脳が走るような視界の中感じながら次の判断を命令した。

 重量は有るが、軽量のはずの存在に対して何故か筋力を用いるのが、幽霊と言う奴だ。350ミリリットル缶位の重さのはずが、50キログラムの重量を堂々と与えて来る。後続の足音がとにかく怖いので、ダメージを信頼し、「そこの蒼」を念と同時に叩く事にした。普通は飛びかかって来たって良い視界だと判断、強い蹴りは外すと死ぬので、コンパクトに何かいいものはと、走る。

 肩を掴み、もう一度あいつから喰らった箇所に打撃を与える。本によれば狭い室内では掌底だ。肩を左手で掴み、壁へ。頭部を逃れられないようにし、掌底を思い切り叩き込む。


 その動作は怒っているようだ。実際はそうでは無い。正対では無いので現実的には相手の首はねじれる。チャンスだと言わんばかりに数発叩きこむ事を決定付ける。死は蒼い光、本来白だろうデカTワンピース系の巧みなフィットが多く、太股は完全に隠れ、期待は出来ない。白と光の印象値で長さは異なる。ここも引き込むポイントだ。脛辺りの半分が多い。違う。機能美を追求したかの様な蹴る為の仕様、全員適度に膝隠れの位置だ。Tシャツと言うだけ有って綿の印象だ。それも一切透ける事の無い目の詰んだ厚手だ。蒼い光は生地をそう伝える。

 後は手術着の様な入院着が多い。それもガウン、つまり、メチャクチャ暴れやすい事を意味している。『病』型に代表される、まるで本来のスモウの髪型の様に若輩者は髪が短い。

『病』型と思われる病気を司る幽霊は先輩に気を使い髪が短い事が多いのが特徴だ。

 伸ばしているのはスモウの様だ。モデルの様な長さを超えると一人前という事だろう。手入れの有無も関係無く光の歓喜で満ち溢れている。幽霊は身体が発光する事のせいでそれはそれは非常に怖い。

 戦中の収容所にその傾向や情報が見られる。ボヤーッと光る漂う恐怖を聞いた事が有るだろう。

 今、目の前にしているのは、それだ。条件が必要なので、干渉可能のそれが整う事自体がかなり特殊だ。

 掌底は二発叩きこんだ。肩をしっかり掴み肉を引き裂く様に恐竜の様に押し込み当てながら、分析込みの思考を読まれただろう。幽霊は思考を読むのが基本だ。

 二発決めた所でパワーが襲い掛かって来た。ツナギを後ろに引っぱられ、詰襟の襟元が立った部分を掴まれた様な、首元を掴まれたかのよう苦しみが身体を走り、後方に吹き飛んでしまう。踏みつけた奴の腕が伸びたかのような挙動だった。見えない挙動なので何とも言えない。サバイバル情報を思い出す。

「生存の可能性、定期洗浄が幽霊が消えるタイミングその一」

 病1と測定された俺の侵入済幽霊まで感知出来出した。違和感が体感レベルで意識的に損時する。意識化に存在するか意識化に上ると言った表現が正しいだろう。鋭敏化した特殊な環境に置かれた感覚は新しい事を可能とする。しかし、堅実に行きたい。無謀な挑戦は傲慢さを意味し死への道を平然と突き進む。他人にやる事は自分にも当然、簡単に出来る。環境が感覚を新たな状態にしたので彼の物だ。新境地は告げる。


 高速道路の車のライトの様な頭や視界の去来の中全てを一瞬で感じ取る。しかし、記憶が焼き付いて離れない。普通の世界では廃人の入口に入った所だろう。フワリと着地し、あのザコから取りかかりたいが、緑のデカイのは蒼光りセンパイを右足で踏み付け、制御しているとも言え、予定では五体なので厳しい戦いが続く。天才という奴はやはり、一対一にし、ジャイアントスイングを壁に決める荒業等でクリアする事が多い。ヒトが勿論勝つ。勝利の方程式を何度も叩き出し起こし、寝ていた記憶を読み起こすのだ。思考は読まれる。この事自体は恐怖だ。未知というか、前代未聞の恐怖だろう。異質な感覚に対する対策をと平常時だったらこう考える。

 情報網が向こうにも有り、謎の技術向上が計られている。囚人と言うのは妙に警戒深い。幽霊と言う種族のせいで、世に有るいわゆる怪しいライト系呪文も弱く、ダーク系は喜ばれてしまいリスクが伴う。なので、体術だ。

 弱いものは切り捨てた。風来玲央は、技術体系を組み直した。赤い軌跡なら勇気が沸いただろう。レーザービームのようだ。得意でも無い限り、無駄な思考は解除だ。後ろ歩きで飲み物に向かう事にした。余裕と余力と冷静は、高速道路の仕様から、徐々に新幹線の前窓なんて無い運転手の視界へと変わっていった。勿論夜だ。そして、男らしく余力が有るのか冷静だ。2本とはこう言う事か。飲み物はソフトで、ストロータイプだ。ダッシュを幽霊がしようにも限界があり、襲い掛かっても、あ、予定通り着た。「もう、麻痺しているのか」思考への答えは俺がアゴがガチガチと制御不能に陥っている事が答えだ。「コイツ、幽霊を台の角に頭をぶつけ」突如思考は途切れる。しかし、彼の行動決定の……。プログラムは完了した。

 リリースゥ

 緑色の旧型通称ゾンビが足元のセンパイを解きはなった。見ようによっては中性の美形なのだ。「左手で……」飲み物を半飲みしている右手、幽霊の頭をキャッチから軌道を変え、そのまま角に押し込む。スローモーションは全てを実行可能とした。

 左手はいい子で余裕で幽霊の頭を捉え、イメージ通りの挙動を可能とした。左手はフックのような軌道を爪の様な形で幽霊に襲い掛かった。右手はストローが出た柔らかい素材のボトルの飲み物を飲むばかりだ。トイレも逃げ道だったような。ださいから。なような。たしか。舞うような挙動を可能とした風来玲央は右手の余裕でのボトル保持と共に、目の前の黒い害悪が掻き消えるのを確認、目視する。〇・二秒以内と体感は語る。

 しかし、命の危機は続く。右目で見たのは軌道を変えれ無かった、幽霊のジャンピングからの右ストレートの誤爆の壁への突撃だ。ステップしたかのように身体は背を向け縦の連携をかわしていた。何か縦二つに立体と認めたのはそのせいか。こう、想い最悪の手が飛んでくる。音の無い衝撃に余韻に浸る暇も無いものだ。

「タックルだ」

 目を押し開いたままと言うのは心霊物や憑依何かに見られる現象だが、驚異と言うのはまさにそうさせる。鈍重な緑色の幽霊が完璧な行動を選択するのが分かる。壁に押し込まれての大型のパワーからの憑依は逃げ道が無いだろう。素直に台を使いハイジャンプをする。それしか脳の命令コマンドに表示が無い。

 物理的事故の様な炸裂音がなる筈が、ポルターガイストで言う所のパチパチパチパチというラップ音が拍手の様に鳴り響いた。そういえば俺、すげー。タイミングが合い、大型緑の上に今いる。意識と言うか、視界と神経系のシンクロが恐怖のせいで無理矢理噛み合い、武器となる。妙に長い。短い時間しか経ってないかもしれない。空中の永遠の一瞬と言う奴だが逃げなければ、死だ。

 ここで倒すには、プロレス系のバックドロップでは、蒼いのに取り殺される。左右どちらでもだ。ここまでしか、感じ取ることは出来無かった。

 リミッター系特有の恐怖のモーションによく耐えていると自分で自分を鼓舞し、筋力限界の性能の恐怖を素直に感じながら飲み物を持ったままダッシュ、仲間割れに期待し、緑色と言う事は『絵』名画から出る弱点は、確か……。まあ、近年ポスターとして優れたものに擬態する事を覚えたので、仕方ないレベルに喜びとかは無い。殺風景な、延々とした日々に緑色系に変化したポスターなど緑色化は知っていたような……準備していた事の一つだ。対策は機能し、身体は動くし頭脳や判断も誤ら無い。



 絵は全てバックブローで誤魔化しが効いた筈と、逃げ回る事にした。カウントは入らないが安全が正しい。嫌な足音からすれば正しいだろう。自分の足には不安は無い。緑に光る名画は無い。直線の最中の左側には病型の髪の短いのが構えていたがユニフォームが『死』だ。分かれ道には驚異がいた。もう、訳が分からないので、日が上る頃と言われている洗浄時間まで逃げ回る事にした。瞬間、風来玲央が目にしたもの、それはー


 奇妙な眼で纏わり付く様な笑顔だ。『病』型が一番美人だがそれでも怖い。


 しかし、こう思った。

「男かも知れない」

 しかし、口は動いてしまった。予定の五体では無く四体だ。厳しいが、「安全祈願、安全祈願」などと思い、幽霊自体の特性の発光体を利用する事にする。立派な、これでも立派な『撃墜一』なのだ。

 虚空が基本有るが無い。これが幽霊の瞳だ。

 これで、少し罪が祓われ恩赦の様なサービスが受けられる。おっしゃー。暗闇に対し、光は自分にも見方だが暗い事が人間にも見方だと言うのも分かり辛く、足音もまたゆっくりと消し続けることも出来る。もしかすると二人以上で無い事も不幸中の幸いと言ったところだろう。彼はそう思った。「俺が正しかった」認識をはっきりし混濁したかのような混乱が生まれる事を防いだ事を良しとした。「ねー、怖かったでしょー」とか脳内で聞こえるのは、廃人とストレスの証拠なので、付き合うが向き合い対処する。正しいのはこれが一番だろう。「暗闇が味方だ。暗闇が味方だ。暗闇が味方だ。暗闇が味方だ」ライトグレーは黒色へと変化しているのだ。奇妙な事に脳を読まれるので正しい事に速攻が好きな彼は気付く。一番怖いので有名なのは、想いや念をダダもれの状態を読まれ。

「そこねー」

 幽霊の言葉と共に魔王の様な恐怖を持って、震え死ぬ事なのだ。実際は失神に憑依と言うあっさりとした、罪悪感など無い物なのだが。リスクに死が伴う以上、防備型の死体チェック機構と言うのが必ず来る。ここは、ドローンとか清掃機にカメラの様なものでは無く人力だ。

 ウチの国が日本だけあって、やはりどれもウチ漏らしが無い。ラッキーだったのは過呼吸と口呼吸のし過ぎによる喉の渇きを完全に防げる事だ。発光体は話し合って作戦を練る。センサーを拡げ、まるで想いを拾っているか壁を見てべとついた念を採取しているかの様だ。向こうは光る。ハンディライトの様なものは持たない。発光体の脅威に対し陰となり、白い着物は死に装束とし、死地に生きる。ありとあらゆる有効打を読みだすのだ。記憶の中から、そう、全て。

「マップ上の見付かり難い優位点、ありとあらゆる記録からの交戦録、情報からの遮断は完璧だ。罪が確定してからの日々は完璧に準備など無い。特に俺はそうだ」風来玲央は口を動かした。そう、音に成らない音で。強制的に過呼吸を防ぎ、ストローも噛み込むのにストレス解消のアディクションのようにするのにいい。ラッキーだ。分析ではこうだが、三人目が白い格子フロア遮断用のそれに突っ込んだ奴らに近付いて行ったのが確認出来る。「蒼光りは見ようによっては美人、これで安らかに死ぬのか」そう、考えた。

 悪意と言う奴に、または善意でもミスと言う奴に足元をすくわれるだろう。経験則と新型の情報持ちだ。更新もこれにかかる。囚人同士の会話があったらこうだ。彼は予測する。暇とプレッシャーとの戦いだが、逃げ道の確保と一定距離の距離を離し、フロアは白い光が一応暖色系の光が灯っているが、これだから飲み物が取れる。カウンターと言い、安心感が有る。しかし、油断と言う奴は死者のアーカイブにものすごく多いのだ。

 また、これを読み起こす。イメージが眼前に来てしまいそうだ。もし、来たら死のイメージと言う事で脳内にインプットされやすい状態となってしまう。初動の俺には無理は禁物で抵抗か対抗の方が良いだろう。

 ただし、変な事を思うと蟻が甘い物を見つける様に自然と死に到る。技術は依然とこの対応を取れてない。世間はそうだ。『好きだ』とかが例えばそうだった気がする。

 現実は、展開が少々違うだろう。死者は、現実世界に対して情報を提示するか刻印する事が出来ない。死ぬ目に会うと生きた証と言うかそう言うのを刻みたくなるのだろう。そもそも私を見てと思う癖のある連中揃いだが。可能性があるなら女子だろう。


 息を潜め思考中と共に三体の様子をうかがう。「しまった、思考読みか」彼は考えると、ビュンとこちらを幽霊が向く。一瞬の出来事が、視界から入る感性に対する働きかけとしてはほぼ全てだ。



 髪が長いので精神力を思わせる。



 髪の毛を演出のためにサイコキネシスで操作している様だ。その姿がまるで切り取った記憶の中の写真の様に、一々感性に訴えかける。そう、まるで記憶を読むかの様に。


 精神力を感じさせるだけでも恐怖の凍りつきとしては身体には充分だ。行動が控えめになる状態での勝利は強制力しか無い。厳しいな。と彼はゴクンと唾を飲んだ。指をこちらに差しているが、追いかけっこと同じで一定距離を離し続ければ耐久戦はいい。1インチクラスの場合によっては3ミリクラスに整えようと思った金髪は光に対して不利だが、ノブリスオブリージ思考や潔癖性志向に良い。不良的気迫を死に物狂いで起こすのにもいい。これが、身体的事実。ホストだと思ってくれていい。光は弱く三メートル………。『死』型がさっきのジャンプストレート型の構えを取って来た。ダッシュでは無いストレートが他のスルーっとしたジャンプだ。幽霊だから、ここら辺の音はオミットされている。短距離の用意の体勢に近い、彼は壁を蹴り、エアガンの弾を避けるような要領で通路に消え、ターンをし、ストレートを叩き込んだ。利き腕の右ストレートなので余裕かと思われたが、幽霊に取っては運用速度でもあったのが事実、反射神経は鍛えられているか向上していた。そうでなければ、学習していたのだ。完璧に着地、ふわりとした“それ”は遊びでは無く、美や神秘性を思わせるものだった。中性型と言っても、着用下着は女子型と同様運動系の妨げなど無い、結局よく知らない所詮問題の無いインナースパッツだろう。高性能ではある。こう思いたい状態なのでは無い。引き込まれた状態で精神を柔術の様に捩じ曲げられているのが事実だ。

 着地に対し呼吸を合わせると、避ける事は不可となるが、それは余裕でこちらを向き首一つ首の傾き一つでかわした。こちら側から見て右側だ。幽霊へ向けたはずの、空転の拳は問題無いのでは無い。肘が伸びた勢いと、鍛錬不足から来る慣れの無い部分の血流がメチャクチャ痛い。スピードが速い証拠だ。普段だったらそう鼓舞するだろう。



 しかし、速さの運用とは機敏そのものであり、幽霊は、俺の意識とは別次元で俺の左手を伸ばし取り憑いていた。掴んでいた。形としては両腕で行っていて、その表現が正しい。右腕は恐怖に対する対抗から、神経や反射等の命令系いわゆる「コマンド無く畳んでいた」

 瞬きする間のようだ。




 左ストレートの型に変えられた彼は、さらに小型化しつつある『死』型幽霊に対応する事になる。他の幽霊の気配は全員突撃の気配だ。五十キログラム有るはずの充分な『死』型幽霊の持つ制動に対し、集中とフルパワーを投じ無理矢理でも行うことにする。何度も言うが目の前の『死』型は小型化している。


 そんな特性あったか。彼は目が覚めた。壁際に置き去りの飲み物を確認、巻き付く様に登って来るような挙動をとるそれに対し正しい判断をしなければ成らない。巻きついて来ているのは人型だ。蒼い光は彼の判断通りに、軌跡を描く。骨の長さに対し筋肉寮でのパワーは無いのでこれをテコの原理と言う。振り回し、左腕をバットに見立て組み付いた幽霊だけを距離感を計り、曲がり角の角部分に激突させる。蒼光が円弧を描く。


 ジンジンする右手など無視したままだ。普通意識はこちらを集中する。


 対処成功だ。飲み物をキャッチしうずくまる幽霊に敵意を持ち蹴ると死ぬ。感じ取った彼は逃げる事にする。集中では無く異様な敵意だからだ。ベッタリとした触感がまだ左手に残る。それは死の誘いで有るかのようだった。うすら笑いからきれいな完璧な笑みに変わるのを彼は角への道中、見逃さなかった。幽霊は、柔道で言う所の亀のポーズを取っている。元の大きさに戻り、なんとも邪魔くさい。残りの二人は猛烈に応援していた。一瞬だがポーズはそんなところだ。ジャンプして喜んでいたのだ。「あ、なるほど勝ちか」勝ちのシーケンスには行ったか、プロレスで言う所の決め技が決まったのだろう。残りはゆっくり料理と言ったところか、改めて身震いする思いだが、男で有るのでやはり、逃げ惑う事にした。


 俺の方が幽霊だと言うほど白い訳ではないが、頑張れば幽霊役が出来無い訳ではない。あいつは強かった。ターンからのラリアットの様で格好良かったと言い廻りたい。しかし、牢は孤独だ。能面の様な顔揃いだが、白い上手く出来た能面は名画と言うのも能面揃いでもある。ミステリーな部分だ。幽霊は能面の様な顔で、四・五次元を思わせる不思議な連中だ。手紙に書けば生々しい手記が家には少なくとも届く。世間と言うのは家族からも叩かれるようにしてしまった。俺の場合は冤罪、殺人罪でも減刑への効力でガンガン軽くなる。減刑効力が手に入りとかそんなもの調べていたらここへの呼び水だ。不当でイライラするよりかは冷静さが支配した方が良い。食べ物も支配されているので健康は基本外れ無い。外の世界では、ミスらせる霊と言うのを巧みに入れ替えして、取り返しのつかない所になってしまった。これが、商用の霊だ。色盲と思うだろうがそうでは無い。ショック何かを持ている霊何かを取り憑けるとそれに対して見たく無くなる心理が働く。つまり、認識したくないのだ。これを作為的に引き起こし、ヒステリー持ち何かがこれにあたり、人間側がマスターになり、協力させる。流れはそんな感じだ。ほぼ、人間の中には憑依されてない人間と言うのはいないのではないか。人生なんてのはましてやと言われている。


 つまり、人生において一度も取り憑かれた事の無い人間なんていない。


「俺が、その特別な人間だ」


 そう、思った方が良い。ここに来たら、そのチェック機で驚異の事実を目前にし、ショックで死ぬからだ。死まで、あと一つ。賭け事でのリーチと言う状態の人間がいた。やはりというか、初日の幽霊退治で亡くなってしまった。心の痛みの中でも生傷の様なようなものはあっさりと利用されてしまい、日頃の言葉と行いと言う事になる。真っ暗な今、目の前の戦場は思考までも考える次元に入れるからだ。クセがそのまま実行されると言ってもいい。

 閉鎖された区画にいるが、合理的なんてものは無く、エゴそのものの形だ。U国制は管理する側の人間を優先する。当然と言えば当然だが、今のご時世は、簡単にここに入れて処刑仕様とする。これもここにニーズの全てだ。殺人罪でも三カ月で出られる方法と言ったら、エクソシズムと検索結果は表示されるだろう。それほど悪や、害意、害悪に対して対峙し、戦ったというのは良い事だと言うことであると同時に、皆の為に命を賭して戦った。つまり良い事をした。少なくとも強制的にその学習をしたと言う事になるのだ。しかも、浮かばれ無い霊と言うかそう言う訳でもないらしいのだが、幽霊と言う奴は、退治数に対して平等に扱われ難易度は加味されない傾向が高い。


『死』型の方が強い。そして勿論、奪い合いになれば幽霊優位に成り弱者救済の論理のように、強者から倒れて行く。思考を延々と読まれてる証明は延々とダラダラと続く。その行動論において。そろそろ深呼吸をすることに彼はした。嫌でもこの世への未練と言うか、外の世界での出来事は怒りを呼ぶ。怒りが呼びさまされれば勇敢だが、対応された結果、適合した状態に移行する。憑依が一つまた、憑かされた状態にその人体がなる。怒りと言うのはパーセンテージ上リスクが高い。彼は延々と外の世界で読んだ必ずしも詳しいとは言えないまでも彼なりの情報網を駆使して思い出していた。


 悲しい事に室内戦闘に対しては足音は必ず鳴る。憑依と常軌を逸したトランスは筋力のリミッターを変える。ヒトと言う種族の中では上位互換に相当する。新たな頂点捕食者の完成で散々研究された挙句、断裂は禁止と言う概念だけが残った。漂うように。


 足音は支給された靴では上手い締め方なのも有り、防護は固く火災などが起きても全速力で走れないと言う事などは有り得無い。U国らしい。実にここら辺がU国らしい。短すぎる非実用的な紐式としか言えない。紐は他の物に転用可能なもの、自殺は防がれるので何とも言えない。

 そう、悲しみに暮れ、自室でショック死しようが、容赦無くその部屋は使われ、『洗浄済み』となる。彼は地面に手を置き、片膝を着き、音を漏らさないように気を使いながら、独特の暇さをクリアしている。間違いの思考は、幽霊を呼ぶ。

 眠気が襲って来ないのでねむい顔と言われた、女なら褒め言葉の表情に戻ってきた。風来玲央は平常心と、大地震パニック物をひたすら思い出す事によって、その対応としていた。ワクワクする気持ちが正直何処かに有る筈の状態が、正確に言うと戻ってきた。

 大怪獣ものなんかを思い出していると恐怖の測定や査定をされ、その状態を再現される。こちらにとって良くてこれで有り、幽霊の手法と言うのは、恐怖で固めて動けなくする事であり、彼はこれを知っている。侮蔑のクセは、壁に貼り付けにされ、胴部にズッポリと入られるなど恥な結果が待っている。話そうものなら、負けのイメージと言って嫌われる。自然界でも憑依が有るのである日奇妙な天寿の全うの仕方をするというのがかなり上澄みの良い方だ。

 散々叫ばされ悲鳴を上げさせられる事でいい方。仲間意識と対抗意識、報復心や復讐心が正しくなるからだ。遊びの延長の知識であるが、実際彼は上澄みクラスに持ち込み憑依が少ない方だ。「システムを良く知る奴が、これを行ったんだろうな」彼は自分がここに来る経緯を想像した。あまりにも、不利な事項が続き理不尽な出来事が続き誘導されたかのようにここに来た。凍えて死ぬような形が普通で向こうの理想、なぜなら何の対策も立た無いからだ。意識下に有った商用だろうこいつを利用するか外すには通称「外道転生の法」を行う。そう言う奴は環境に適しており、魔術のように幽霊を倒し尽くし、まるでこの環境に適合したかのような人生が目前の環境でもどうにかしてしまうだろう。

 実際は体験談や手記より、そっちの方が有用だ。今ひしひしと感じさせられている。「年間3000以上の死」と言うのは人間をおかしくさせているのだろう。確かに、今は外道転生の法のチャンスだ。しかし、機械は正しく、病一だ。目視は機械と同一、弱気か焦っているのだろう。「外道転生の法を行わなくていい。外道転生の法を行わなくていい」こう、自分に言い聞かせた。色事の邪魔者でここに飛ばされてきたのが事実、覆すのは難しい、分類上そう、ナンセンスだろう。最短を目指してもいい。理不尽が世の常なので、理解者は必ずいる。就職も弁護士に金を払うだけだろう。それほど、適当であるが不完全さを認知したかのようなシステムだ。五千円位か。まあ、のんびりしていないと、死ぬ。なので独特のひたひた音の集団の音に気を使いながら陰に潜み続ける。

 彼ら、幽霊たちは次々に結果を出し続けていた。手を引っ張る事に成功した幽霊たちは、普通弱気の心情から、「私達を探す」「私達に依存するかのように」はっきり言えば「私達を求める」この作戦から、待ち構えて目視百八十センチの長身に対して別次元での音声通話から、他所では死者を出したとか、つまり成果の事、また一つ年間3000人は下らない死者への階段や、記録に相当する物が積み上がった。男の叫び声と言うものはみっともないが、「あいつのため」と決意をこう、固められると困る幽霊側の事情が有る。一応は死者が減らないのはメンツも有り、システム側は気を遣っている。つまり、風来玲央に対しては手を引く事に成功した。以上の事から、依存心や慣れない暗闇を利用し、長時間の暗闇の心理を利用し光や女に見える優しさを求める心理を利用する作戦に出ている。


 幽霊は謠う。


 作戦は一気に畳みかけ、そう、彼は交戦場所を求める。


 光も珍しく味方だ。


 物も味方だ。


 私達にこれ程味方が多い事は無い。


 これ程まで味方が多い事は無い。


 なぜならば、飲み物のもう一つはここに有る。


 光は後ろに有り、一応の逆光まで確保、それは日光、日の出を思わせる。


 ゆっくりと思考を辿れば良い。


 あとはゆっくりと思考を辿れば良い。

 


 派手な声で男声にも聞こえると感覚だと風来の耳には届いた。感覚的には幽霊の空気と恐怖感に飲まれた後の印象だがそれでも自分の感覚的にはこうだ。大切だ。

 まだ、処理しきれず右往左往したり判断に迷う事や致命的戦略ミスのルートを通っていない。まだ、間違いは選択していないし、自殺型の提供の選択をさせられる事は風来には無い。


 ストレスと言うのは厄介で、叫ぶ癖が有るならば叫ぶ様に泣く癖が有るならば泣く様にひずみ、負荷をかけた結果、負担の重荷の代償は、神経に来た結果負荷はいつもの所に必ず出る。「幽霊分析同時だとこうだ」彼は負けないとは思って無いが、「静かにする」とはずっと思っているのが事実だ。

 思考を少しでも思索に切り替えるなど、思索を張り巡らせると良い。まるであなたに合ったかのような攻撃方法が待っている。この手のは読めば読むほど恐怖に囚われ抜けだせなくなる。そういう特徴を持っている。押せば良い相手には押す事も多いが、強制力と言うのは引く事に有る。慣れない環境と言うのは必ずストレスとなる。彼らが使っているのは顔相と呼ばれる認識法だけだ。


 囚人服は風来がちょっとくらいは憧れた事が有るだけあり、巧みに体格をカバーしている。フロアを左上に彼がいる所はドットを打ちこんだかのような英語小文字の「b」に似た形状の区画、フロアから一番遠い所に彼は居る。初めての区画だからこれでいいと神経が鋸が音楽を奏でる様に逆立っていたので気付かなかったが良く見ると、正しくは知る訳も無い初見であるが、記憶してわざわざ挑もうという猛者は少ない。そんな収容所の内部構造を記憶するマニアなんていない。幽霊と縁が付くと妙に畏れられるから、つまり、音の傾向と記憶を頼りに、もうそんなの忘れたと弱音を吐かずに立ち向かわなければならない。かと言って強制されてる訳でも無い。どちらかと言うと反射神経だ。今の所まではそうだ。


 彼は思い返している。ピラミッド状構造はさらに複雑化を進め、階を上がる度に内部構造が異なる。一定の区画内に対しての一室の広さから最適な構造が違う。この事は有名であり、事をさらに面倒にしている。ピラミッドは基本的に三階クラスの天井で終わる事は無い。一階だと簡単に抜けだせる可能性が有るから、足に最適なダメージを与えるために対脱獄として四階の天井からピラミッドの段差が始まる。一応は恐怖を与えるのに成功しなければならないので、脱獄伝と言うのは邪魔その物なのが、管理側であり、設計側と設計意図そのものでもある。緑色はかわいく無かった。旧型を基調とする絵画にも成らなかった奴は全く持って憎悪が沸く様に出来ている。これは、怒りに転化しそうまるで点火し怒りに着火、ボルテージが上がった状態となる。この事は死に直面か死に直結する。

 有名な逸話が多い。確か、怒りはやる気が沸き行動も出来る。ナーバスかつナイーブに神経消耗をし切ってしまうだろう。この公算が高いが、冷静な判断が出来ない事は計算すればできる事を完全に狂わせ、簡単に言うと自殺行為に走らせる。目的でも無い時に強力な技を使ってしまい消耗するようなものだ。特殊用途を持つことが多い強力な技と言うのは冷静に事を運んだことにのみハイスコアの恩恵をもたらす。ハイスコアを環境は要求している。感情的とは、不可効力を不利に変えるのでは無く、逆側のベクトルだったりする。自然と勝つと言うか無為自然が正しい。そしてそれは強力に阻害される。思考を読むと言う荒業を持って。能面の様な美形を基本とするのも劣情感を抱かせ不意に殺意が沸く。そのような仕掛けとして人によっては堂々と働く。歪んだ笑い方や基調が能面の様な冷静さと立体感、それにブルーで有ることなど美を強調して来るものだ。強力にシュレッダーのようにハマると抜けだせない。話題と言う事で人によっては訓練されている。悪口や噂、蔭口と言う奴だ。

 それは、依存心をかき立たせ、さみしさを感じたら終わりだ。憑依される事に陥る。抽象概念語しか無いのが攻略の特徴でそんなもの高校までに押さえた。

 学校探検なんかこれの為に有る。夜中に限る。

 人間に対して何も感じ無くなったのは仕事のクセだ。割り切りと言うか限界を知るとも言われているが、同時に可能性も知る事だと我流では思っている。

 メイクは化ける。これでいい。それが俺だ。


 彼は何度目かの思考に入っているが、監視することと対監視は抜かり無く、強烈に時間の進みが遅い先程の体験も有っての事なのだが、繰り返した方が良いかも知れない。突拍子も無い事を思い付き笑ったら最後だ。これも事実。成功例をくり返し、鼓舞するのもまた正しい。特殊環境下で有る今はただ、正しい事を実行すべきだ。

 特殊条件下で有る今は人生の全てでは無いが死がかかってる以上、基本はこの環境は全てでは無いが時期的には全てだ。地形を把握する事にする。もう一度神経を尖らせ、優位な状況に確実に身を置きたい。

「私達も地形を把握して無いよー」

 フロアから声が響く無音の方が怖いだろうが、『病』型の幽霊だろう。ウケそうだ。しかし、フォーマットだけあり憑依し殺すと言う、環境下で優れている。思い出したが脳の命令より先に腕を掴まれた事の方が先に思い出され、イメージに焼き付くので慎重に行くことにした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る