第6話 旅立ちの時

 白雪様に、行って来ますと冒険に出て3日後、ぼくは初めて女官たちの住む所を見た。


 こんな遠くから通っていることに、物凄く驚いた。女官たちのスピードはめちゃくちゃ速いということは分かっていたけれど、ちょっと悔しい。


 ぼくも、白雪様のご加護があるので、訓練すれば出来るようになるかな?


 女官たちの家は、平屋になっていて、一見して真っ直ぐに思える。でも、②の円だから、ここが如何に広いかを実感する。


 その先には、今までにもあった果物と、ちらほらと違う物が目に入る。見渡す限り果物、果物、果物。


 何かあった時の避難所がこの果樹園の先にある。それが、③の円。


 ぼくは、そこに向かってできるだけ早く駆けていく。そして疲れたら休みがてら、実った果実の中から好きなのを選んで食べる。


 その中で、ぼくは初めて見る、桃に似た小さい果実を手にする・・・・・・。


 どかーん!!


 突然、後ろから後頭部を蹴られる。


 「何考えている! 死にたいのかあほが!! お前どこの部署か?」


 ぼくを蹴飛ばしたのは、二つ尻尾の黒い毛並みの狐だった。普通は、茶色系が多いので珍しい。 


 それはそうとして、ぼくにはなんのことか分からなかった。ここにある果実は、どれも食べれるものだと聞いている。なのに、死ぬとはどういうことだろうか?


 「ここにある果物は、全部食べれるっ聞いたのですが違うのですか?」


 「ああ。全部食べれるが。果実に依ってはそのまま食べると毒になったりするものがあるぞ」


 そうなんだ、知らなかった。ぼくは、改めてさっき自分が持っていた果実の木を見た。


 「ああ。その木の果実は、梅と言って、完全に熟せば食べれないこともないが、先ほどのように青いと毒があって、子供が食べると特に呼吸困難や麻痺で死ぬこともある」


 「えっ?! そうなんですか?!」


 「そう。梅は、さとうや塩に漬けて加工するのが普通」


 「そうなんだ・・・、僕、知らなかった。良かったら他も教えて貰えますか?」


 「ふう。しょうがないので、教えてあげよう」


 「ありがとう、ぼくは真。よろしく」


 「ああ、俺は凪(なぎ)」


 こうしてぼくは、初めて友達が出来た。


 凪は、本当にいろいろ知っていて、教えて貰ってばかりいた。


 ダメダメなぼくに、呆れた凪が着いて来てくれることになった。


 二人? の冒険は、一人だった時よりと~ても楽しい。

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