第5話 冒険

 どの位立っただろう? 


 白雪様のおかげで、ぼくはご飯を普通に食べれるようになった。


 さらに、動いたり走ったり出来るようになった。少しでも動くとママに怒られるから、最初のころはびくびくしながらだったので、動いても大丈夫と教えてくれる為に、白雪様が一緒に遊んでくれた。



 動くようになったら、今度はじっとしているのがしんどくなった。あの時、動かなかった自分が信じられないぐらいだ。だから、自然と部屋から出れるようになった。


 白雪様の部屋の周りは、自然溢れる遊び場だった。


 水のこんこんと湧き続ける池には、色とりどりのお魚が泳いでいて、手で掬って捕まえてみたり、大きな亀がいるので、その背に乗って泳いだりと楽しい遊びが盛りだくさんあった。


 果物がたわわに実った木も数種類あるので、登って実をもいで食べるのも楽しかった。


 遥か先に、お世話をしてくれる女官の住む家があるらしいのだけど、そこまで行ったことはこれまでなかった。


 すっかりここでの生活に慣れると、ここのことが知りたくなった。


 この庭の向こうは、どうなっているのだろうか?


 今まで疑問に思っていなかったけれど、太陽は見えないのに明るくなり、時間がくれば暗くなる。星は見えるのに、月はそういえば見たことがなかった。


 ここで生活していく内に、自然と体力はついてきて、走るスピードも速くなり、遠くまで行けるようになっていた。そうすると、行動範囲も広がっていく。


 ぼくは、冒険をしてみたくなった。


 ここは白雪様の作られた世界で、ぼく以外は、みんな狐。そして、みんな白雪様の家族。


 危ないことも、ここではそんなに無い。(が、うっかりこけたり、落ちたりしたことはある)


 だからぼくは、冒険の準備をした。


 白雪様の話によると、普通に歩くと「外円」までは、約1月かかるらしい。さらに、迷子になる可能性も高い。迷子になった時の対処もしっかり聞いた。


 「白雪様、行って来ます!」


 ぼくは、元気に出発した。「外円」に向けて・・・。

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