第三章 取り憑く邪気
第7話 第三章 取り憑く邪気(1/4)
第三章 取り憑く邪気
今朝、
どうやら、苗字に兄・妹があるからのようだった。
そんな時、30センチくらいの小鬼が教室に現れる。姫肌は邪気と呼び、素手で捕まえてケーキに変えて食べてしまう。食べて危なくないのか聞くと、姫肌は巫女であると言う。
典高はビキニの巫女に気を取られ、先生に禁句と言われていた『姿』という言葉を言ってしまった。
すると、黒板の近くにいたクラスメイトたちが後方へ退避を始めたのだった。
「やっぱ、その言葉は言っちゃいけなかったのか?」
どうやら、典高は失言してしまったようだ。
「大丈夫なのです」
あっけらかんとして姫肌が答えた。
「大丈夫なの?」
典高の疑問を、先生の声が飛び越した!
「そそそ、その言葉を言ったら、ダメだって聞いているわ。だ、男性が言うと女性を襲うのよ!」
そう言う先生も、逃げる体制はできている。
襲うなんてとんでもない。典高には、そんな気など毛頭ない。
「俺は、襲ったりなんてしないよ!」
だが、典高の態度に安心する先生ではなかった。
「あ、兄石君、本人の意思なんて関係ないのよ。そ、その言葉を言うと、あの、じゃ、邪気が取り憑いて、じょ、女性を襲うのよ! む、昔からそう伝えられているのよ!」
早口で伝説を語る長老のようだ。
姫肌が間に入る。
「先生、違うのです。兄様だから、全然、大丈夫なのです」
姫肌は兄を盾にして、典高を擁護する。でも、典高は兄と言われたくない。
「だから、俺は兄さんじゃないよ。苗字に兄と妹が付いているって、だけじゃないか!」
「そ、そ、そうよ!」
巫女である姫肌の言葉なのだが、先生も安心できない。
「せ、妹石さん! わ、私は前に見たのよ! あ、あんなことを言った男が、商店街で邪気に取り憑かれて、女性を脱がせて回っていたのを! 私も必死で逃げたわ! そ、そのうちに警官に捕まって、ど、どこかに連れて行かれて、やっと安心できたのよ!」
警官に捕まったと聞いて、典高は焦った!
「ヤバいじゃん! 今度は俺が警察に捕まるのかよ!」
ウンウン
先生がうなずいている。
「でも、大丈夫なのです。兄様だから大丈夫なのです」
なだめるように、姫肌が余裕の笑みを見せる。だか、先生は治まらない。
「そそそ、そんなことないわよ! 妹石さんの姿を目の前で言うと……あっ……やっちゃったわ……」
先生は自ら『姿』と言ってしまった。顔から血の気が引いていく。
ジュワワワワ……
「えっ!」
変な音が聞こえた。
ゼリーをドロドロになるまで、かき混ぜたみたいな液体が、狭い隙間から染み出てくるような、そんな音だった。
キモイ感が典高の背中を走る。
キモイから見たくないのだが、キモイからこそ見てしまう。
邪気!
姫肌の横に邪気が浮いている!
あの黒い小鬼の邪気だ。ケーキにされて食われたやつと同じ姿だった。姫肌から逃げ出したのだろうか?
ススッ!
トップンッ!
ぶつかる! っと典高は思ったが、当たるというよりも、肉体へとダイブしたかのようだった。
「とっ、取り憑いてしまったのです!」
姫肌も慌ててる。
「おい! 取り憑いたって、引っ張り出せないのかよ! お前は邪気をつかめるんだろう?」
「ダメのです! 邪気が外にいないと、あたしは捕まえられないのです。……こうなると、あたしは無力なのです……」
姫肌からは、だんだんと力が抜けていく。
「だったら、先生はどうなるんだ?」
そう言いながら、典高が先生を見た!
ぬ、ぬ! 脱いでる! 先生は、ぎこちなく着ていたスーツの上着を、脱ぎ始めてるじゃないか!
「なあ、邪気に取り憑かれて、暑くなったってことなのか?」
「そうではないのです。とにかく見届けてあげるのです」
あげる? 見届けてあげるって? 典高には、どういうことかよく分からない。
その時先生が叫んだ!
「い、い、い、嫌ーーーーーー! 脱ぎたくない! 脱ぎたくないのにーーーーーー!」
口はと裏腹に、脱いだ上着を投げ捨てた。
地味なスーツの下から出てきたブラウスの白が輝いている! でも、それは白い色だからってだけじゃない!
ブラウスのサイズが少し小さめなのだ。
標準サイズっぽい先生の胸は、ブラウスをキュッと膨らませるように押し上げている。
膨らみが作る布地のカーブや、その膨らみの頂点に向かう放射状のシワが、輝く白をパワーアップさせていた。
典高の目は
それでも、上着を脱いだだけなら許容範囲なのだが、先生は腰横に小さくプランと、ぶら下がっているファスナーを
スカートのファスナーである。
それも脱ぐのか? 典高には期待と心配が渦巻いていく。
「先生! どうしちゃったんだよ! 言ってることと、やってることが合ってないよ!」
先生には余裕が無い! 涙目になっている!
「もう止められないのーーーー!」
「止められないって、邪気のせいなの?」
「いやーーーーーっ!」
先生は、もう答えるなんてできなかった。
シャーッと、スカートのファスナーが降りた。
先生が教室でスカートを脱ぐ! さすがに、まずい!
「妹石さん! これは、ヤバくないか? 無理にでも止めないと!」
典高は先生に向かって1歩踏み出した。
グイッ!
典高の腕を姫肌がつかむ!
「邪気に取り憑かれたのです。止めてはいけないのです」
姫肌は故意に典高を制止したのだ。
「そんなこと言ったって、このままじゃ、スカートが!」
ポトンッ
落ちた! スカートが輪になって床の上に載っている。
白いブラウスの裾から、ニョッキリと黒いストッキングの足が伸びていた。ブラウスは長めなようで下着は見えないものの、ムチッとした太腿が色気を放っている。
先生は先輩っぽいから、典高は悩殺されそうだ。
ヤバいじゃん!
さすがに典高はスカートを戻すなんてできない。先生が投げた上着は、遠くにあったので、典高が制服の上着を脱いで、先生の肩にかけてあげようと思い脱ごうとしたところで、姫肌が典高の腕をつかんだ。
「放してよ! 俺の上着を着せてあげれば、少しはマシになると思うんだ!」
姫肌は力を緩めない。
「そんなことをしては、いけないのです。誰も手を出しては、ならないのです!」
正気か?
言っておくが、ここは教室である。生徒が大勢いるのである。
そんな人前で脱ぐなんて、例え大人でも、かわいそ過ぎるじゃないか!
「先生だって、まずいよ! どうして、着せちゃいけないの!」
典高は理不尽でたまらない。
「先生は邪気に取り憑かれたのです。こうなると、もう巫女でも手が出せないのです。だから、誰も手を出してはいけないのです」
姫肌は巫女なのに、止めてばかりだ。
だからって、生徒が見ている前で先生が脱ぐなんてまずい。
「クラスのみんなが見ているんだぞ!」
言うに合わせて、典高はクラスメイトたちがいる教室の後方へ目をやった。
はあ?
みんなガン見だ!
後ろに避難してる男子も女子も、食い入るように脱いでいる先生を見てる! 同性の女子でさえ容赦しない目つきだ。
なんと! 近寄ってくる男子もいるじゃなか!
【2846文字】
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