第115話 ゆん、ジェフリー・ミケルソンについて知る
ゆんの学校も始まった。
ハイスクールの3年生だ。
現地の年齢的には一つ年上になるが、途中で編入したのでそれはそれで、サマースクールのおかげもあってゆんもだんだん慣れて来ていた。
「ゆん!久々!元気してた?」
ルーシーが早速ゆんを捕まえる。
「うん、色々充実してたよ」
「何してたのよ」
「へへ、内緒」
ゆんは軽く笑うとルーシーと一緒に教室に入る。
そして、ゆんは周りのみんなに尋ねてみる。
「ねぇ、Into The Caveってとこの服知ってる?」
「もちろん!!!」
何人もが言う。
「あそこの服カッコいいんだよね」
「そうそう、なんか小技が効いてるっていうか、痛いところに手が届くっていうか、着るとかっこよく見えるとこをめちゃ考えてるっていうか。超ハイブランドじゃないから買いやすいし、僕らの世代向けだし、みんなよく着てるよ」
「そうなんだ」
「どうしたの?なんでそんなこと聞くの?」
ルーシーが不思議そうにゆんを見る。
「んー、その本店に遊びに行きたい人いる?」
ゆんが言う。
はいはいはい!!!何人もが手を上げる。なんなら男子もだ。
「はーそんなに有名だったんだ」
ルーシーは驚く。
「ゆん、興味あるの?」
「ないよ」
ゆんはバッサリ言ってのける。
「じゃなんで?」
「なんかよくわからないけど、遊びに来てもいいよって」
「誰が言ったのよ」
ルーシーは驚きながら尋ねる。
「そこの社長?」
「は?????どういうことなのよ???」
ゆんは意に介さないといった風で答える。
「よくわかんないけど。遊びに来ればいいって」
「一体何があったのよ」
「わたしにもよくわからないんだけど。パパの仕事の関係でうちに来たんだ」
「マジで?行くならわたしは着いていくわよ」
「ん、ルーシーが居れば安心」
「行くの?」
「行きたくはないんだけど、誰か行きたい人いたら連れていってもいいかなって。そんなに有名だと思わなくて…でもみんな知ってるんだね」
「何言ってるのよ」
そう言うとルーシーは今着てる人手を挙げてという。
何人もが、それこそクラスの半分ほどが挙手する。
「こういうことよ」
「はぁ〜全然知らなかった。社長が言ってたの本当だったんだ」
「え…ゆん、社長に知らないって言ったの?」
「うん。だって知らないもん」
「あーーーーー」
ルーシーは頭を抱える。
「あのね…ブランドもわたし達の世代には絶大な支持を受けてるブランドだけど、その社長も超有名なのよ。UCLAに在籍中にブランド立ち上げて起業したの。その世代のトレンドを色々取り込んで、色々と面白いことをしてるの。服だけじゃなくね。色んなイベントもやってるし。わたし達からすればあこがれの人物と言ってもいいのよ」
「知らなかった」
「まぁ、春にこっちに来たのよね、それにゆんってあんまり服装にこだわってないみたいだから知らなかったのかもしれないけど」
「うん」
「今日も超ラフな格好じゃないの」
「だって。別にいいでしょ?」
「ノーノー。少しは気を使うべきよ」
「そうかなぁ」
「当然でしょ。有名人の娘じゃないの」
「考えたことなかったな」
「呆れるわ」
ルーシーはやれやれと頭を振る。
「とにかく、店に行くって言うんならわたしも行くからね」
「うん、ルーシーが一緒なら安心」
ゆんはニコニコ言う。
「ほんとにあなたって…」
この後巻き起こるあれこれをゆんは全く予想していなかった。
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