第114話 詩音の手紙(9月)
寺本ゆん様
ていうか、ゆん、もうこんな調子で大丈夫だと思うんだけど、大丈夫かな?
ゆんが待っていると書いてくれたこと、そしてその選曲はずるいだろうと思ったことをまず書くよ。
つい口ずさんでしまうじゃないか。
ただただ嬉しかった。
俺がSpotifyでやたらと聞いてるのはゆんのことだからチェックしてるよね。
その曲の歌詞そのまんまなんだ、俺の気持ちも。
笑っちゃうくらいに。
そう来るかってドキッとしたけど、そのまま返したいよ。
うん、最高の選曲だよ。これ以上に今の俺たちにピッタリの曲って他にないよな。
伝えたいことがあるんだ。
でもそれは実際に会ったときにと思って、今は文字にもしたくないんだ。
んーでもその曲聞けばわかっちゃうよね。
ゆんも同じかな?
でもまだ言葉に出来ないんだ…って歌詞もそうだよね。
今度会った時にちゃんと伝えるよ。
待っている、すべて受け入れると書いてくれてありがとう。
嬉しくて仕方ないよ。何度も読み返してる。
でも今度は俺がゆんの元に行くべきだから、もう少し待っていて欲しい。行こうと思えば行けるけど、ちゃんと自信をもってゆんを迎えに行きたいんだ。だから、もう少しだけ…といっても半年以上あるけど、待っていて。
自分でもまだどうして手紙なんだって思うけど…落ち着いてゆっくり書きたいことを書けるんだ。すぐにやりとり出来る手段だとまた何か起こってしまうんじゃないかって…まだ少し臆病になってるんだ。笑ってもいいよ。ぶっちゃけ格好悪いけど。
何かあったら花梨に知らせて。しょっちゅうLINEで連絡取ってるのは知ってるんだ。花梨が色々教えてくれてるよ。
あ、そうだ、知ってると思うけど、花梨は修介と上手くやってるみたいだ。
すごく素敵だよ。ゆんのおかげで二人と出会えて本当に良かった。
もっともっと色んなことを話したいし伝えたいんだけど…
次に会ったときに。
これからは気軽に手紙を書いてくれると嬉しい。
そっちでどうしてる?
学校は大丈夫?
早く会いたいよ、ゆん。
野々村詩音
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