第84話 ゆんは気づく
らいん〜♪
ゆん:花梨に聞きたいことがあるの
花梨:なんなの
ゆん:花梨が高上さんのこと好きってどういう気持なの?
花梨:は?????
ゆん:どうしてどの時点で好きって思ったの?
花梨:あのねぇ、それを聞いてどうするのよ
ゆん:参考にしたくて…
花梨:あのねぇ。言っておくけど、あんたの場合と全然違うから参考にも何にもならないわよ
ゆん:それでも
花梨:やーだ
ゆん:ちぇっ
花梨:詩音先輩なんか書いてきたの?
ゆん:うん
花梨:返事書けないの?
ゆん:うん…
花梨:先輩待ってるよ
ゆん:わかってはいるんだけど…
花梨:あのね…あんたが問題にしてた部分はもう問題なくなっちゃってるわけでしょ。わかってる?
ゆん:うん…
花梨:じゃそういうことよ。問題に思ってたところが問題じゃなくなったのなら、素直になればいいだけのことだよ
ゆん:好きと恋ってどう違うの?
花梨:あっきれた
ゆん:え、でもでも…
花梨:恋は好きの進化系なのよ。あーこの人のこと好きだなって思うじゃん、それでその人見てたらドキドキしちゃったり、一緒にいたいなって思ったり。さらには抱きしめて欲しいなとかキスして欲しいなとか思ったりするようになるじゃない。そしたらそれが恋なんじゃない?
ゆん:そう…だよね
花梨:あんたが無駄に難しく考えすぎてるだけ
ゆん:ううう
花梨:もーじれったいな。好きなら好きって言うだけでいいんだよ。その様子だと先輩は好きを伝えたわけよね
ゆん:わたしが疑問に思ってたこと全部書いてくれた
花梨:ふふん、好きって言われたとは言わないのね。ふーん。でももやもやしてたことが解決したんなら、もうただ好きって言えばいいじゃない。好きなんでしょ?それともそっち行って金髪のイケメンでも捕まえた?
ゆん:そんなことあるわけないじゃん
花梨:つまんないわねー。そっちのイケメン紹介してくれるかと思ってたのに
ゆん:花梨!!!
花梨:冗談だってば
ゆん:大丈夫かな…
花梨:あんたバカよね、ほんと。今更何言ってんのよ!詩音先輩がどれだけ寛容で忍耐強い人だってことあんたくらいよね、全然わかってないの。先輩はずっとあんたのこと待ってるんだよ。今もだよ
ゆん:うん……わかってるよ
花梨:たった一言「好き」で全世界は救われるわけよ。悩んでるあんたたち二人もね。わかった?んじゃ落ちるよー
花梨は相手にするだけ無駄無駄と頭を振った。これ以上ゆんのぐずぐずには付き合ってられないとまた思った。まぁいつものことではあるけど。でも先輩素直に伝えたんだね。うん、それならきっと大丈夫、いくらあの頑固なゆんでも今度ばかりはちゃんと考えて答えをだすだろうと花梨は思った。
うわ、落ちちゃったよ花梨…。
ねぇ、「好き」で救われるの?
それで合ってるの?
ゆんは思い出す。
詩音に触れられてドキっとした瞬間を。そのあとしばらく胸がドキドキしっぱなしだったことを。まさか恋?と思ったのに忘れようとしてしまったことを。
今はどう?自分に問いかける。
毎日詩音がどうしてるか心配になってる。詩音が作ったプレイリストを聞いてつらいのに嬉しくもある。レンがくれたレンが撮影した詩音の写真をぼーっと眺めてる。詩音と過ごした毎日を思い返している。そして…
ここに詩音がいて欲しいと思っている。
詩音に笑いかけて欲しいと思っている。
詩音に抱きしめて欲しいと思っている。
「好き」なんだ。お兄ちゃんに恋してるんだ。
ゆんはやっと自分の気持ちを表現する言葉に納得した。
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