第74話 詩音の高3再び
「おっす!詩音先輩!ちゃんと帰ってきたんですね!」
詩音がバスに乗り込むと早速花梨がやってきた。
「おー!イケメンイケメン。そのままで登校しちゃって大丈夫なんですか?」
「もういいんだよ、元々こんな顔なんだから仕方ないだろ」
「あーらあら、ゆんがいなくなっちゃってヤケになってたりしません」
「なるかよ」
「うそくさいですね。はっきりいって」
「うるさい」
「まま、心配しないで下さい。登下校はこの花梨様がガッツリお供しますし」
「別にいいよ」
「なに言ってるんですかー!ゆんから頼まれてますし」
「あっそ」
「なんなら多分同じクラスだとわたしは思っております」
「そんなの学校行ってクラス分けの掲示を見てみたいとわかんないだろ」
「大丈夫。多分一緒ですって。その場合、学校生活全般に置いて、寄ってくる虫はわたしが蹴散らすのでご安心を」
「寄ってくる虫ってなんなんだよ」
「周りを見て自覚して下さい」
見慣れないやたらハンサムな高校生をみるバスの乗客の視線は熱すぎた。
「ま、何か面倒なことあったらわたしに言って下さい。遠慮は入りません。わたしのほうが今までこそこそ隠れて暮らしてた詩音先輩よりたくましいですからね」
「だろうな」
「あとわたし修介と付き合ってるんで」
「はぁ???」
「いいヤツですよ?土曜日バスケ来てくださいね!」
「しらねーよ」
一体何がどうなってるんだ?詩音はブツブツと文句をたれた。
花梨の予想どおり、詩音は花梨と同じクラスであった。
「ほーらね!一緒だったでしょ?これでゆんも一安心だわ。隣の席もガッツリ抑えた!でかした花梨!」
「お前、ゆんと連絡取ってるのか?」
「とーぜん!毎日ね!」
「そっか」
「気になりません?」
「別に…」
「やせ我慢しない!ゆんは元気にやってるよ、先輩…ていうかもう先輩じゃないのか。どう呼べばいいんだろ。ま、先輩でいいですよね?ま、とにかく、そこそこいい高校に編入して、行き帰りはあちらの両親が車で送ってくれてて、お父さんがカメラ一台プレゼントしてくれたから、今は写真撮るのが楽しいって言ってます。以上」
「そうか。元気にしてるのか」
「ちなみに先輩の報告もする約束してるんで、心の内側のことはわかりませんけど、日常生活に関してはゆんに報告いくことを先に断っておきますね」
「好きにしろ」
「っていうか、先輩、ゆんと連絡取ってないんですか?」
「………」
「いまさらってやつですかね。でもゆんも何も言ってこないんですよね?呆れちゃう。二人とも頑固過ぎますよ」
「何とでも言え」
そういうと詩音は机に突っ伏した。
「きゃー、花梨、花梨、あの人だれ?仲いいの?」
「何いってんの。ゆんのお兄ちゃんだよ」
「は???」
「ほらーゆんのお兄ちゃん、夏休みから学校バックレてたじゃん。戻ってきてもう一回3年やるんだよ」
「え、え、じゃあれって…ゆんのあのダサいお兄ちゃん?」
「だよ」
「うそうそ!!!」
「ホントだってば」
「でゆんは?」
「いない。ゆんはアメリカ行った」
「は???どうなっちゃってんの?」
「さぁね。ほんっと世話のやける兄妹だよ」
こうして詩音のことはまたたく間に学校中に広がったのであった。
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