第49話 この女性は誰?

やれやれ…これでどうにかゆんの気が紛れるといいんだけど。でもカメラの趣味ってなかなかいいよね?カメラ女子ってのも流行ってるじゃない?ゆんなんかモデルにできる超超超イケメンが家にいるわけだしさ。羨ましすぎるわ…


「持ってきた!」

ゆんはたくさんアルバムを抱えてきた。

「あーでもね、お父さんもお母さんも忙しいから、小学校以降はそこまでないんだよね」

「わかる、あんたんちのご両親仕事忙しそうだもんね。帰るのも遅いんでしょ?それで先輩がゆんの面倒ずっと見てきたんでしょ?」

「うん、だからお兄ちゃんっ子になっちゃった…」

うわ、まずっしんみりさせちゃった…

「あー、とにかく見せて!小さい頃のあんたたちがどんなだったか見たい!どうせ二人ともめちゃ可愛かったんでしょうけど。羨ましいわー」

そう言うと花梨はアルバムを片っ端から見始めた。

「まずは詩音先輩のからね!」

そういうとページをめくるたびにため息をつき始めた。

「あーあ、わかっちゃいたけど、小さい頃からイケメンなのね…」

「ぷひゃひゃひゃ、先輩が泣いてるなんて今は想像出来ない!」

「うわー目がくりくりしててほんとに可愛い!今目を完全に隠しちゃってるのほんともったいないわ」

花梨は目を輝かせながら写真に見入っている。

「幼稚園のころもすでにイケメンだね。小学生になるともうだめ、信じられなーい!」

「あんたたち二人で写ってるの本当に可愛いね。これってもう小学生読モじゃないの」

うわーうわーを連発しながら花梨は楽しそうにアルバムを見続ける。

「じゃ、次、ゆんの見るよ!」

そういってゆんのアルバムを開いた。

「いいなー小さい頃からやっぱり可愛い。わたしもあんたみたいに生まれたかったなー」

そういう花梨もとても凛々しい美人なのに、とゆんは思う。

「そうかそうか、小さい頃からこういう可愛い服きてるとあんたみたいに出来上がるのね。ナルホド」

花梨はどんどんアルバムをめくっていって、ひとしきり見終わると一度深呼吸してからゆんに向かって尋ねた。

「ねぇ、ゆん。一つだけ気になることがあるんだけど」

「何?」

花梨は数冊のアルバムのいくつかのページを開いて説明を始めた。

「ねぇ、同じ人がゆんを抱いて写ってるよね。これお母さんじゃないでしょ?」

「…うん、お母さんじゃない」

「だよね。この女性ひと誰なの?」

「お母さんの友達だと思う」

「ゆんはこの女性を知ってるの?」

「うーん、よくわからない」

「そっか」

しかし、花梨は思っていた。ゆんと一緒に写っている女性の顔立ちはゆんによく似ているのだ。今のゆんにそっくりなのだ。

「誰なんだろうね」

「アルバム見るの久しぶりだから忘れてた」

「聞いてみたことあるの?」

「ないよ。だって今思い出したくらいだから」

「そうなんだ」

花梨はモヤモヤとしたものを感じたものの、これ以上聞いてはいけない気がしてそこで止めることにした。しかし、花梨の第六感は何かを告げていた。



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