第25話 「好き」の意味は何?

「お兄ちゃん?まだ起きてる?」


二段ベッドの上と下でごろごろとそれぞれのことをしていた二人。


「うん、起きてるよ」

「ね、花梨びっくりしてたね」

「そりゃまぁそうだろうな。初めて見たんだし」

「あそこまで固まっちゃうとは思わなかったけど」

「だよな。思い出すと笑える」

「ね…お兄ちゃん、花梨と息ぴったりだね」

「どういう意味だ?」

「お兄ちゃんがあんなふうに誰かと喋ってるの初めて見たから」


これは…妬いてるのか?


「もし、素敵な女の子っていうなら花梨みたいな子だと思う」


ははぁん


「それで?」

「お兄ちゃんが好きになる女の子ってどんな子なんだろうなって」

「ふーん。でその候補が花梨?」

「ん…わかんないけど。花梨って素敵な女の子じゃない?」

「アイツは頭の回転は速いけど気が強すぎるぞ」

「え?」

「これ見てみろ」


詩音は上からゆんにスマホを渡す。例の高上修介の手紙だ。


「ぶっっっっっ何これ???」

「それと、LINEの花梨とのやりとりの一番新しいところ見てみろ」


ゆんはLINEを立ち上げて、花梨が送ってきた文章を読む。


「え!!!!!花梨ったら、あの失礼なやつと対決してたの?」

「対決ってほどじゃないだろ。してきたんだ」

「えーえー!花梨凄すぎる…」

「これでわかっただろ?今晩花梨を招待した理由が」

「うん、そうだったんだね」

「花梨はいいやつだよ。信頼出来るし。言うとしたら、同士とか戦友とかそんな感じだな」

「好き…じゃないの?」

「はぁぁぁ?お前何言ってるんだ。お前が言う好きってどの好きなんだよ」

「男の子が女の子に対して持つ感情」

「飛躍しすぎだろ」

「そうかな、お兄ちゃんそんな気持ちしたことないの?」

「あるよ。お前はどうなんだよ」

「…ある」


あるのかよ!!!ちょっと待て、落ち着け詩音。深呼吸だ、深呼吸。


「じゃ俺の花梨に対する気持ちは好きは好きでもその好きじゃないってわかるだろ。友達に対しての好きだ」

「うーん…でもね、でもね、よく妹の親友を好きになるとかあるじゃない?」

「お前、ドラマの見すぎ。アホらしい」

「だって…お兄ちゃんと花梨、めっちゃ息ぴったりで話ししてたから」

「ノリが合うんだよ。何言ってもぽんぽん返してくるからな、アイツは」

「ねぇお兄ちゃん、好きってなんだろう」

「何考えてる?」

「うーん、ちょっとね、よくわからなくなってきてるの」

「何が?」

「うーん、別にいいや。もう寝る」

「おやすみ、ゆん」


わたしはお兄ちゃんが大好き。その大好きはどの好きなんだろう。家族だから好き?お兄ちゃんだから好き?ううん…多分違うんじゃないかな。よくわからないんだけどそんな気がしてきてるんだ。これって…良くないことだよね、きっと。










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