第23話 おそるべし花梨の洞察力
「あ、あたしちょっとトイレ行ってくる。あと花梨がみたいって言ってたDVDとか漫画探してくるね。ちょっと二人で話してて」
ゆんは二人を居間に残して出ていった。
「詩音先輩。全てゆんのためなんですよね」
「さすがだな」
「でもイケメンだろーが、秀才だろうが、スポーツ万能だろうが、無駄に隠さなくてもいいんじゃないですか?」
「ひらけかさなくてもいいだろ」
「んんー。わたくし山奈花梨が考えるに、イケメンすぎると群がってくるやつが多すぎるから煩わしいと。それであんなダサ兄貴を演じているってところですかね」
ずずずっと花梨は紅茶をすする。
「ほぼ当たり」
「ゆん、文句言いませんでした?」
「ずっと言ってるよ」
「確かに、あんな可愛いゆんのお兄ちゃんがダサすぎるのはおかしいと思ってはいました。でも想像以上のイケメンだったのは予想外の反則でしたね」
「本当は、ゆんにしかみせるつもりはなかった。でもゆんや俺のことを信頼してくれてる君には本当の姿を見せてもいいかなと思ったんだ」
「良かったんですか?ゆんだけのものだったんでしょ?」
「君は僕たちを裏切ったりしないと思ったから。高上と話した内容送ってくれたの読んで、ちょうど土曜日だったしいい機会だなと思ったんだ」
「ちょうど土曜日って?」
「毎週土曜日だけなんだ。ゆんがどうしてもカッコいいお兄ちゃん見たいからって、毎週土曜日ゆんが勝手にコーディネートして髪の毛いじってこんなことになってる」
「ははぁ…ゆんらしいわ。それで写真撮ってインスタにアップしてるんですね」
「みたいだな。もちろん素性は一切明かさないように言い聞かせてあるよ」
「ですよねー。これバレたら大事になりますもんね。学校中が大騒ぎ以上のことになっちゃうの想像出来る」
「そうだ、花梨、ケーキも食べる?」
「もちろんもちろん!!!いただけるものはなんでもいただきますよっ!」
ソファから立ち上がった詩音は冷蔵庫に向かう。
はー凄いよね。背は高いし、今みてる先輩は背筋もちゃんと伸びてるし、めっちゃイケメンだし、後ろ姿だけでもやばいってなるし。隠したくなる気持ちもわからないでもないな…てか、先輩ナルちゃんじゃね?自分カッコいいわかってるってことよね。いやー確かにそうだけどさ…なんていうの…ちょっと笑えてきた。少しイジメてみようかなー。
詩音は小皿にケーキを載せて運んできた。
「どうぞ」
「先輩流石に渋いチョイスだね。レモンケーキ?」
ホワイトクリームの上にレモンの輪切りが乗っていてその上から軽くゼラチンでコーティングされてるケーキだった。
「甘ったるすぎなくていいだろ」
「ゆんには甘すぎるのにねー」
「ふん、当然だろ」
「先輩。単刀直入に聞きますね」
「なんだ?」
「先輩ゆんのこと好きですよね」
「好きだよ、大事な妹だ」
「その意味じゃなくて好きですよね?」
居間に入りかけて二人の会話を耳にしたゆんは固まっていた。花梨は何を言ってるの?お兄ちゃんはどう答えるの?怖くなってゆんは自分の部屋に逆戻りした。
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