第4話 学校からの帰り道

「お兄ちゃーん!!!」

わたしは毎日校門でお兄ちゃんを拾って帰る。友達の花梨も一緒だ。

「我が校名物か」

「なんなのそれ」

「あんた達二人のことよ」

「意味わかんない」

「2年生のイケてる女子ランキング上位のあんたに話しかけたい男子は山程いるのに、毎日毎日ダッサイ兄上を伴って通学するから話しかけられないってさ」

「そんなランキング聞いたこともないよ」

「ま、あたしの中でのだけど」

「ゆんが一番だ」

お兄ちゃんがぽそッと言う。

「は…ごちそうさまとしか。ていうかなんでそこだけ口挟むの。妹可愛いはよくわかるけど、呆れちゃう。ていうより、可愛い妹のために見た目もかっこいいお兄ちゃんになろうとは思わないわけ?」

花梨はわたし以外で唯一お兄ちゃんに好き勝手言える貴重な人物である。

「考えたこともない」

「はぁ?ゆんがどれだけあんたの兄ちゃんダサいって言われてるか知らないの?」

「関係ない」

「まぁまぁまぁ花梨落ち着いて。お兄ちゃんが今のままでいいって言うんだから今のままでいいんだよ」

なんてホントは思ってるわけないでしょーが!だからの週末イベントなんだし!

「ゆん、あんた甘すぎるわよ」

「ん、まぁ正直わたしも諦めたって言ったほうがいいかも」

そんな会話をお兄ちゃんは俯いたまま何も言わずに聞いてる。

「あのさ、詩音先輩、ゆんが惚れ込んじゃってるインスタのイケメンさんでも見て少しは見習ったらどうなんです?」

ぎくっ…

「何それ」

ええええええええ。そう来ますか!!!

「ちょいま」

花梨はスマホを取り出すと、さくさくと例のイケメンさんのインスタを表示する。

「先輩、コレです、コレ!毎日ゆんが見てはニタニタしっぱなしなんですけど。ついでにコレも。これはゆんが大好きな俳優さん。ゆんは面食いだよ?お兄さんがそんなんでいいんですか?」

ちょっと待って…面食いってわたし面食いなのか?お、お兄ちゃんの反応は…

「ふんっ!」

え、怒った?そんなんで怒らないよね?今までもしょっちゅう花梨に言われてたよね?今日の反応はなんなの?

「だからどうした。関係ない」

って言いながらお兄ちゃんはスタスタと先に行ってしまう。うわん、何か触っちゃいけないとこに触れちゃった?

「あーじゃお二人さん、わたしはここで。バイトあるから行くね!」

波風立てたまま花梨はとっとと行ってしまった。気まずい。

「お兄ちゃん待ってよ!」

わたしは小走りでお兄ちゃんを追いかける。急に立ち止まったお兄ちゃんの背中にぶつかる。

「急に止まらないでよ!顔ぶつけちゃったじゃん!」

くるっとわたしのほうに向き直ったお兄ちゃんがつぶやく。

「何を毎日みてニタニタしてるって?え?」

あちゃー。どう答えたらいいの?

くしゃっと頭をなでられる。

「可愛い奴め」

え、え、テレてます?ひょっとして照れてるんですか???いやこれ珍光景すぎて理解が追いついてない。うちのお兄ちゃんに照れるとかいう概念あったんですっけ?お兄ちゃんの辞書に照れるって載ってましたっけ?

あっけにとられてぼーっとお兄ちゃんの顔を見つめる。

「なんかついてる?」

「いやいやいや、そういうわけじゃなくて…」

「とっとと帰るぞ」

そういうとまたスタスタと先に行ってしまった。

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