手はある

「合成人間ってのがどんなものか見てきたんだが、ガキばっかだったよ。

ありゃあ、俺の思ってることが正しけりゃ――」


「それ以上はやめとけ」


「俺に人のこと言える義理はないんだけどよ、それでもさ。

さすがにこれは駄目だろう。

坑道で作業するっていうのに薄っぺらいマスクだけで作業させられてたんだ。

俺たちでさえ、密閉された防護服着せられてボンベに繋がれてるのにさ。

何かよくないことをしようとしてるんだ、お偉方は。」


「つまらない人権意識はよせ。

俺たちに何かできると思ってるのか?

それとも、ここの管理者にでも訴えるか?

あいつだってただの雇われだ。

半年もしないですっかりハゲあがっちまって、俺たち相手に愚痴るようなヤツだぞ」


「いや、手はあるぞ」


「いいか、たとえどんなに優れた解決策が思い浮かんだとしても、それが最良とは限らない。

むしろ厄介ごとが増やすだけだ。

お前だって、身に沁みてわかってるだろ」


「それでも――」


「よし、わかった。

今後な、お前がなにかやろうっていうなら止めはしない。

俺は何も知らないし、お前も俺に何かを計画してるなんて仄めかしをしたことも一切ない。

いいか。」


「すまない」

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