手はある
「合成人間ってのがどんなものか見てきたんだが、ガキばっかだったよ。
ありゃあ、俺の思ってることが正しけりゃ――」
「それ以上はやめとけ」
「俺に人のこと言える義理はないんだけどよ、それでもさ。
さすがにこれは駄目だろう。
坑道で作業するっていうのに薄っぺらいマスクだけで作業させられてたんだ。
俺たちでさえ、密閉された防護服着せられてボンベに繋がれてるのにさ。
何かよくないことをしようとしてるんだ、お偉方は。」
「つまらない人権意識はよせ。
俺たちに何かできると思ってるのか?
それとも、ここの管理者にでも訴えるか?
あいつだってただの雇われだ。
半年もしないですっかりハゲあがっちまって、俺たち相手に愚痴るようなヤツだぞ」
「いや、手はあるぞ」
「いいか、たとえどんなに優れた解決策が思い浮かんだとしても、それが最良とは限らない。
むしろ厄介ごとが増やすだけだ。
お前だって、身に沁みてわかってるだろ」
「それでも――」
「よし、わかった。
今後な、お前がなにかやろうっていうなら止めはしない。
俺は何も知らないし、お前も俺に何かを計画してるなんて仄めかしをしたことも一切ない。
いいか。」
「すまない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます