第147話 ヨブ ヨブの自己弁護
ヨブ記26章から29章は、ヨブの神に対する畏れの気持ち、これからの決意、自分を正当化する言葉が書かれています。三人の友に対する怒りも交じっていて、感情をぶちまけています。きっとヨブに親近感を抱くでしょう!
「無力な人は見事に助けてくれたものだ!強くない人をよくぞ救ってくれた。知恵のない人に素晴らしい助言をしてくれた事か!役立つ知恵を惜しまずにこれほど明らかにしてくれるとは!」
はい、三人の友に対する嫌味ですね。
「あなたは誰に向かって話そうとしているのか。誰に吹き込まれてそのような事を言うのか!」
きっと普段はヨブを誉めてくれた人達なのでしょう。きっと誰かの入れ知恵だと信じたかったのかもしれません。かわいそうなヨブ。
「神は北の空を何もない所に広げ、地球を空間に浮かせている。神は水の上に水平線を引き、光と闇の境界を定める。神は力によって海をかき回し……息を吹き掛けて大空をきれいにする」
ヨブは宇宙も地球も創造された、イスラエルの神に畏怖の念を抱き、創造者を讃えます。
「私に息があり、私の鼻に神の息があるかぎり、私は正しくないことをこの唇で語らない。欺く言葉をこの舌で述べない!私は死ぬまで忠誠を貫く!私は正しさを保って決して手放さない!」
ヨブは神への忠誠心を一生保つ事を決意し、神と三人の友の前で誓いました。
「この地上に知恵は見つからない!知恵は純金で買うことは出来ない。希少なしまめのうやサファイヤでも買えない。サンゴや水晶でも買えない。知恵は真珠より価値がある。では知恵はどこから来るのか。神は知恵への道を知っている。神だけが知恵の在りかを知っている。神は知恵を確立し、知恵の価値を証明した。神を畏れること、これが知恵である!」
神を賛美したヨブは、人間の知恵は役に立たない事、神の知恵はどんな宝石よりも価値がある事を力説しました。そして神を畏れる事によってのみ、真の知恵を見る事が出来ると結論しました。全て詩的表現です。体が痛くて痒いのに、すごい表現力です。カクヨムに投稿すれば、ハートもお星様も一杯貰えるね。ヨブ。知らんけど!
ここで終わればブラボーですが、ヨブもやはり人の子です。試練に遭う前の幸せな日々を思い出して、その日に戻りたいと訴えます。そうよ、そうですとも。愛する子供達と幸せに暮らしたあの日に戻りたいよね、ヨブ。
「過ぎ去った月日に戻れたらいいのに。神が見守って下さったあの日々に。全能者はまだ私と共にいてくださり、私の子供達も、召し使いも私の周りにいた。若者達も私を見て道を譲った。老人たちさえ立ち上がり、そのまま立っていた。地位が高い人達も言葉を控え、手で口を押さえた」
ヨブは幸せだった事を回想し、言葉を紡ぎます。が、なんか雲行きが怪しくなりました。
「私の言葉を聞いた人は私の事を良く言い、私を見た人は、私の良い評判を広めた」
ヨブは自分が、貧しい人や、目の見えない不自由な人を世話し、親切に物を与えたと自画自賛します。
「人々は雨を待つように私を待った。私がほほえみかけると、人々はそれをありがたく感じた。私の明るい表情は人々を安心させた。私は指導者として人々を導いた。私はまるで部隊の中の王、嘆く人たちを慰める人のようだった」
自己陶酔、自惚れ、自己満足。他の人から高く評価され、他人の口から称賛されるならよかったのですが、自己評価してしまいました。そして、自分が忠誠を尽くしていると主張しはじめます。
不道徳を犯していない!金銭を愛していない!偶像を崇拝していない!私は正しいのだから、神に正当に高く評価して欲しいと願います。
ヨブの言葉に、三人の友はもう何も言えなくなりました。ヨブが自分の事を正しいと確信して話したからです。しかし、この場にまた別の人がおり、口を挟みます。何を言うでしょうか?ヨブがんばれー!
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