第118話 エリシャ ハザエルの野心

 皆様、シュネムの女性を覚えておられますか?

夫婦でエリシャをもてなし、部屋まで用意した裕福な女性です。お礼に息子を与えられ、死んでしまうと、生き返らせてもらいましたね。


 なっ、なんとエリシャはまだその家族と関わっていました。お金持ちだからですか?いいえ、エリシャは感謝の念の厚い人です。あのあと、もっとシュネムの女性から親切を受けたのでしょう。


 北のイスラエルに7年間の飢饉が来ることを知ったエリシャはその事をすぐに、シュネムの女性に知らせました。フィリスティアに避難するように勧めます。


 シュネムの女性は大きな家と畑を後にして、エリシャの指示に従います。7年間、住み慣れない土地で過ごしました。エリシャに全幅の信頼を置いていたのでしょう。


 7年後、シュネムの女性は自宅に戻ります。当たり前の事ですが、家は誰か別の人が奪い住んでいました。あろうことか、畑も。


 シュネムの女性は家と畑を取り戻すため、王様にこの事を訴えます。


 王様は、エリシャの従者ゲハジを呼びます。


 ゲハジです。貪欲ゲハジ君です。エリシャに罰としてナアマンの皮膚病を移されましたね。


 治ったんですね、ゲハジ君。しかもまたエリシャの従者として仕えてるなんて、幸せ者です。


 ゲハジ君はシュネムの女性の親切な行いと、エリシャがとても感謝した事を話します。


 ちょうどそこへ、シュネムの女性が来ました。すごいタイミングです。息子を指差して、エリシャが復活させたことをアピールします。


 王様は感激します。ゲハジ君(*^ー゚)b グッジョブ!!


 シュネムの女性に家と畑を返還する王の命令が出ました。


「何でも話しなさい!」という王様に対してゲハジ君は自分が皮膚病にされた事を言いませんでした。というか言えなかったのでしょう。


 ゲハジ君、かなり反省しているのでしょうね。

 何はともあれ元気で良かったね。ゲハジ君。


 

 そんな頃、エリシャはエリヤから与えられていた任務遂行の為にダマスカスに向かいました。


 ダマスカスでシリアの王様、ベン・ハダドが病気であることを聞きます。


 王の僕、司令官ハザエルが「王の病気は回復するか?」聞いてきたからです。贈り物のラクダ40頭と一緒に。ラクダより乳出すヤギの方がいいのに。エリシャの家って貧乏でしたもの。

 

 エリシャは神様に祈りで確認します。

「必ず病気は治ります。しかし、回復した後にすぐ死にます。そしてハザエル、あなたが王様になるでしょう!」


 ハザエルは驚いた事でしょう。ベン・ハダドが死んだら王様になれるのですから。そんなワクワク、ニタニタしているハザエルをエリシャはじっと見つめました。


 ハザエルは違った意味でドキドキしたでしょう。エリシャは穴が空くほどハザエルを見つめた後、泣き出しました。


 ハザエル困ってしまったね。突然エリシャが泣くんですもの。理由を尋ねました。


 エリシャは重い口を開きます。ハザエルがイスラエルの民を酷く扱う様子が見えたのです。


 男も女も子供まで皆殺しするハザエルの姿を。自分の民がシリアの王に殺される……許したのはイスラエルの神なのですから。


 ハザエルはなんのこっちゃいだったようです。


 自分が王になり、イスラエルの神に用いられて、神の民を虐待するって言われたのですから。


 宮殿に戻ったハザエルはエリシャの言葉を、王に伝えました。

「あなたの病気は必ず回復します!」ハザエルは優しい僕です。回復することだけ伝え、死ぬことは告げませんでした。


 

 ベン・ハダドは回復したでしょうか?そしていつ死ぬことになるのでしょうか?本当にハザエルは後を継いで王様になるのでしょうか?


――次の日でした。ちょっと私も驚きました。


 チャンチャンチャーン♪チャンチャンチャーン。


 火曜サスペンスの音楽が流れます!


 なぜか?ハザエルは水に浸した掛け布で、ベン・ハダド王の顔を覆ったからです。


「さぁ、眠りなさい、疲れきった体を投げ出して

黒いその瞼を掛け布でそっと覆いましょう♪」窒息死、残念。


 ハザエル、せっかちさん。自分で殺しちゃったよ。ハザエルのメラメラ野心を見抜いて、エリシャも悲しかったでしょうね。一生、司令官なんて嫌だよね。うん、分かるよ。けど。


 ベン・ハダド死亡、ハザエルは王になりました。


 この町は戦場だから~男はみんな傷を負った戦士……カラオケ行きたい!違うか。


 次回はエリシャ、バアル崇拝根絶の巻。

エリシャ、がんばれー!


 


 



 

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