第116話 エリシャ 貪欲ゲハジ
列王第二5章に入りました。この章はナアマンというシリアの軍隊長が主役です。ナアマン……彼は筋肉ムキムキのイケメン戦士です。シリア軍を何度も勝利に導きました。ただ、残念なことに重い皮膚病を患っていました。
ナアマンの皮膚病とは、「らい病」とも呼ばれるもので、簡単には治りません。イケメン戦士ナアマンは愛する妻や子供たちに接することが叶いませんでした。心身共にズタボロになっていました。
「サマリアにいる預言者なら、ご主人様の皮膚病を癒せます!」と少女がドヤリます。
この少女が何者かと申しますと、シリア軍がイスラエルから略奪した捕虜でございます。可哀想に、親と離され、ナアマンの家の奴隷として働かされていました。
この少女の言葉を聞いたナアマンの妻は、藁にもすがる思いでこの事をナアマンに話します。
ナアマンは自分の主人であるベン・ハダド王に相談し、紹介状を書いてもらってイスラエルの王エホラムに届けました。
「ナアマンの皮膚病を治して欲しい!」
エホラム王は皮膚科の医者ではありません。ベン・ハダドもおバカです。エホラム王に戦争を仕掛けてくるのではないかと疑われます。
エホラム王がパニックになっていることがエリシャの耳に入りました。エリシャはすぐにナアマンを自分の所に来させるように指示します。
ナアマンは銀10タラント、金6千枚、衣服10着持参でエリシャの元を訪れます。
エリシャは自分の従者を使ってナアマンに皮膚病の治し方を伝えさせます。
「ヨルダン川に7回身を浸すように」エリシャの言葉はこれだけでした。ナアマンはエリシャにないがしろにされたとご立腹。自分の前で膝まずいて祈り、身体に触って優しく癒してくれるだろうと思っていました。残念。
ナアマンは部下に説得され、仕方なくヨルダン川で7回水浴しました。
なっなんと、エリシャの奇跡です。ナアマンの皮膚病は治り、少年の肌のようになりました。
ナアマンは大喜びで、48㎞の道を戻り、エリシャに感謝を表します。持参した贈り物を受け取ってもらおうと、しきりに促しました。エリシャは神様からの力だと認めているので、一切受けとりません。さすがはエリシャです。聖なる神の預言者はこうでなければなりません。
しかし、それを見ていた者がいました。意地でも受け取らないエリシャにイラッとしていました。私だってご褒美か欲しい!と心の中で叫んでいたことでしょう。
その者――ゲハジです。ゲハジはナアマンの後を追いかけました。ナアマンはゲハジに気づいて馬車を止めます。ゲハジは図々しく
「私の主人の気が変わりました。エフライムの山地から来客があります。その二人のために銀一タラントと2着の衣服を下さい!」
嘘をぶっこきます。エリシャの気持ちではなく、自分の強欲を捨てられないのです。
ナアマンはとても喜んで、銀一タラントではなく、ニタラントを渡します。男前だよナアマン。
そこへ本当に二人の預言者の子が通りかかりました。ゲハジは銀ニタラントを運ばせます。
ゲハジの汚い所が露出。一タラントは重さ34㎏あります。64㎏を自分で運ぶのは無理だと計算していました。いやらしいですね、ゲハジ君。
自分の家、つまりエリシャの家のそばの丘に着くと、ゲハジ君は二人を帰らせました。
64㎏の銀をエリシャに見つからないように、自分の部屋に隠さなければなりません。
強盗犯のようだねゲハジ君。こそこそ運んでから隠し、エリシャ所に行きました。
「ゲハジよ、どこから来たのか?」
エリシャの問いただす声がしました。ビクッ。
「どこへも行っていません!」
ゲハジはまた嘘をぶっこきました。残念。
エリシャは全てお見通し。めちゃくちゃ怒ってゲハジ君に説教しました。聖なる神の預言者と預言者に仕える者は、清く正しく美しく生きなければいけないのだよ!ゲハジ君分かった?
エリシャは説教だけでは、懲らしめにならないと、ナアマンの皮膚病をゲハジに移しました。
ゲハジの体は雪のように白くなり、つまりナアマンの重い皮膚病で苦しむ事になりました。
教訓一銀64㎏を一人で運ぶと腰を痛めます。
嘘をぶっこくと、神様からのお仕置きがあります。気を付けて下さい!
ところが、ゲハジ君皮膚病で寝込むかと思いきや、また登場しますので、お楽しみに。
憎みきれないゲハジ君、私は嫌いになれません。
師匠エリシャ、がんばれー!
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