第15話 ダビデ アブサロムの死
アブサロムのクーデターは成功したかに思えた。加担し、裏切り者アヒトフェルもそう確信したことだろう。アヒトフェルはアブサロムに断絶した事をはっきり示すため、ダビデのそばめを犯すように助言する。
アブサロム、それをやったら終わりだ。アムノンと同じ輩になる。しかし、誇りと野心に満たされたアブサロムは公然とそばめと関係を持つ。これにより、ナタンの預言が成就した。
「あなたの妻たちをあなたの目の前で取り上げ、あなたの仲間の者に与えよう。その人は必ず公然と妻たちと寝るようになる」サムエル第二12:1。
何をかくそうアヒトフェルはバテシバの祖父だ。ダビデに仕返しですか?
それに加え、アヒトフェルはダビデを追い詰めるため、一万二千人の軍隊を召集するように勧めた。人の寝返りの早さにびっくりする。それを聞いたダビデの部下がダビデに通報する。
忍者ですか? お庭番ですか? 風車の弥七ですか? 必ずいますこのキャラクター。
フシャイとの再会を喜んだのも束の間、ダビデはその報告を聞いて、フシャイをエルサレムに派遣する。任務はアヒトフェルの助言を覆すこと。頼んだぞ、フシャイ。
フシャイはアブサロムの味方のふりをする。
「イスラエルのすべての人々が選んだ方のものとなり、共にとどまります」サム第二16:18
アブサロムはフシャイを信じ、最善の戦略に関して意見を求めた。アヒトフェルはダビデの軍勢が組織されないうちに、致命的な打撃をすぐに与えるため、自分に軍隊を率いる権限を委ねて欲しいと申し出ていた。アブサロムもそれでいいと思っていたのに、神様が介入すると状況が変わるのです。
「アヒトフェルが進言した助言はこの度はよくありません。父上は戦士ですから何処かに隠れています」今、軍事行動を起こすのは無理だと述べて、貴方が自ら軍の指揮をとるようにとアブサロムの虚栄心に訴えた。
廻りのお偉いさん達もフシャイの意見に賛成。アヒトフェルは自分の助言が実行されないと分かると自殺してしまう。しかも首をくくって自殺する。これはまた預言となる。
「私と平和な関係にあり、私が信頼した人、私のパンを食べていたその人が私に向かってそのかかとを大きくしました」詩編41:9
ダビデのこの言葉はイエスキリストと、裏切り者ユダに当てはまる。ユダ・イスカリオテも首吊り自殺する。(旧約は新約の預言がたくさんある。深い)
新たに組織されたアブサロムの軍勢はダビデの熟練戦士たちに大敗北。アブサロム、考えが甘かったね。お父さんは強いんだぞ。
エフライムの森までラバに乗ってアブサロムは逃げる。逃げる。逃げる。大木の低い枝の下を通った時、あろうことか枝のまたに頭を挟まれ宙吊りになった。
あの自慢のふさふさの髪が仇となり、なかなか取れない。焦ったね。
そこへヨアブ登場。アブサロムの命はとるなというダビデの命令をガン無視する。ヨアブはためらうことなく三本の矢をアブサロムの心臓に放ち殺す。
ヨアブは聖書の人物中、サイコパスベストテンに入ると思う。逃げないように傷を負わせるだけなら一本でいいだろう。心臓ですよ。しかも三本ですよ。強すぎる殺意だ。しかも自己判断で殺害。あなたの従兄弟です。身内です。
そしてアブサロムの遺体を森の大きな洞穴に投げ込み、その上に大きな石を積み上げた。埋葬の仕方も雑すぎる。アブサロムの人生って悲しい。自分の娘にタマルという名前をつけたアブサロム。妹を愛していたんでしょうね。
アブサロムの死の報告を聞いたダビデは、
「我が子、アブサロム、我が子、我が子アブサロムよ! ああ、私がこの私がお前の代わりに死ねばよかったのに。アブサロム、我が子よ!」と大泣きする。思わず私ももらい泣き。これがお父さんの反応だ。だからダビデが好き。
そこへまたヨアブ登場。空気読んで慰めると思いきや、ダビデに説教する。
「あなたは今日、あなたのすべての僕たちに恥をかかせました。あなたを憎んでいる者たちを愛し、あなたを愛している者たちを憎んでおられるからです」 サムエル第二19:1~8
ずっと命をかけてダビデに仕えてきた、ヨアブの気持ちも分かりますが、今は慰めてあげて。
ダビデはこのヨアブの言葉で立ち直る。自分は神様に選ばれた王様だった!と。頑張れ、ダビデ。
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